1) ブリ・マダイ養魚場における新生堆積物のAGPに関する基礎知見を得る目的で, ブリ成魚期 (1989年6~9月) , マダイ若魚期 (1989年10~翌4月) 及びマダイ稚魚期 (1990年4~9月) における堆積物の量的・質的特性を調べた。
2) それら各期における平均堆積物量は, それぞれ70.4, 41.8及び53.1g-dry・m
-2・day
-1であった。また, 平均有機堆積物量は, それぞれ19.3, 17.6, 及び11.79-dry・m
-2・day
-1であった。
3) マダイ若魚期にはモイストペレットが給餌されており, その前半 (1989年10~11月) における有機堆積物量は, 28~60g-dry・m
-2・day
-1と他の期間より高かった。また, 同期間における堆積物の栄養塩溶出液のIN及びIPはそれぞれ900~1700μg-at・l
-1及び150~250μg-at・l
-1と高かった。なお, ブリ成魚期におけるIN/IP比は5.0であり, マダイ若魚期及び稚魚期のIN/IP比は22.3及び37.6と算出された。
4) 堆積物の栄養塩溶出液の
Nannochloyopsis sp.に対するAGPは, ブリ成魚期で46.8×10
6cells・ml
-1と高く, マダイ若魚期及びマダイ稚魚期では34.1×10
6cells・ml
-1及び31.7×10
6cells・ml
-1と低かった。そのAGPの変動要因はその溶出液中の栄養塩濃度よりはむしろIN/IP比によるものと思われた。
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