アワビ初期稚貝の餌料として好適な付着珪藻
Cocconeis scutellum var.
parvaの増殖に及ぼす水温 (10, 15, 20, 25℃) , 光量 (12, 46, 78, 112, 135μE/m
2/s) , 及び塩分 (18, 23, 28, 31, 36, 40, 44 PSU) の影響を調べた。
設定した水温の範囲内においては, 光量が同じ場合, 46μE/m
2/s以上の光量で高水温区ほど速やかに増殖した。12μE/m
2/sでは, 水温による増殖速度の有意な差は認められなかった。同一水温下では, 46μE/m
2/s以上の光量区では増殖速度に有意な差は見られなかった。15℃以上の水温区においては, 12μE/m
2/sでの増殖はそれより高い光量区より有意に遅かった。塩分については, 28~40 PSUの塩分区で良好に増殖したが, 44 PSUでは増殖速度が有意に低く, 18 PSUと23 PSUでは細胞が最大密度に達しなかった。細胞が重なって増殖することはなく, 培養器の内壁一面に広がるとそれ以降の増殖は止まり, 死細胞率が増加した。
蓋殻長34.4μm, 幅23.1μmの細胞から開始した継代培養期間中に, 細胞の大きさは徐々に減少し, 204日目 (約130世代目) には蓋殻長9.7±0.5μmとなった。約95世代目 (蓋殻長13.4±1.2μm) に有性生殖が観察され, 大型の栄養細胞 (蓋殻長33.8μm) が出現した。
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