水産増殖
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25 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 福原 修
    1977 年 25 巻 2 号 p. 41-45
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    人工生産したマダイ稚魚の脊椎魚を中心とする骨格の形態異常をアリザリン染色し観察した。
    骨格異常は体長約8.0mmから認められ, 1975年は全観察個体の15.6%, 1976年は3.3%であった。
    異常発生部位は, 神経棘, 血管棘および椎体において認められ, 多くの場合はそれぞれの異常が合併して発生している。特に椎体の異常は, 脊柱の湾曲や折曲の原因となっている例が多い。
    椎体の異常は躯幹後方および尾部後方に特徴的に発生している。このことは, 骨格の構造や稚魚の運動性と関連があると考えられた。
  • 魚の動きにもとづく交流量
    浜田 篤信, 津田 勉, 鈴木 馨
    1977 年 25 巻 2 号 p. 46-49
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1. コイの動きにもとづく交流量は比較的安定した値を示すが日週変化は認められない。
    2. 交流量はW0.8に比例する。この交流量から求めた酸素供給量はコイの標準代謝量の15倍に相当するものであった。
    3. コイの動きにもとづく交流量は, 主として呼吸運動にもとつくものと考えられる。
    4. 交流量又は酸素収支だけから求めた収容量の限界は網生簀水容積の40-50%程度と考えられる。実際の養殖では最大でも10%程度であって, 酸素条件以外の要因がより重要と考えられる。
  • 関 泰夫, 小島 将男
    1977 年 25 巻 2 号 p. 50-55
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    群馬県利根川水系吾妻川産に由来するヤマメを飼育し, 0年魚での成熟, 銀毛の出現率ならびにその後の銀毛型群, 河川残留型群の比較飼育を行い, 生残, 成熟について観察を行い次の結果を得た。
    1) 0年魚中の雄の一部が成熟し, それらの魚は翌春銀毛化しなかった。
    2) 1年魚の銀毛化の割合は56%であり, また変態の時期は北海道および魚野川のサクラマスそれよりも著しく早かった。
    3) 1年魚でかなりの割合のものが成熟し, その成熟率は河川残留型の群に比し, 銀毛型群ではやや低く, 2年魚では大部分のものが成熟した。
    4) 銀毛型群から成熟した雄を得ることは難しく, 成熟するまでに雄は全て斃死した。
    5) 1年魚として成熟するものの場合, 河川残留型群では一定の大きさに達することが必要であるが, 銀毛型群においては成熟魚と未成熟魚の体長には統計的な差はみられなかった。
    6) 1年魚の体長ならびに抱卵数は銀毛型群が勝り, 卵径では河川残留型群が大きい。ふ化稚魚の全長も後者に由来するものが大きく, また, 稚魚の餌付までに要する日数は銀毛型に由来する稚魚に比し1週間早かった。
    7) 銀毛型群の1年魚で成熟しなかった個体の翌年での銀毛への変態は極めて低く, その採卵の結果は1年魚における河川残留型群で得たものと同じ傾向を示した。
    本文の取まとめにあたり北海道大学水産学部久保達郎助教授の指導を頂いた。ここに記して厚くお礼を申し上げる。
  • 佐藤 良裕
    1977 年 25 巻 2 号 p. 56-62
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
  • 福所 邦彦, 北島 力
    1977 年 25 巻 2 号 p. 63-67
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1976年秋・冬季 (9月-12月) に, 長崎水試増養殖研究所の屋外200t槽1面を用いて, イースト給餌によるティグリオプスのシオミズツボワムシとの混合生産試験を行ない, 春・夏季 (4月-8月) の場合と同様の結果が得られた。試験の概要は以下に示す通りである。
    1) ワムシを接種してから25日目にティグリオプスの採取を始め, その後70日間に49回の採取を行なった。1回当りの採取量は240-2,080g (平均1,001g), 総採取量は49.1kgであった。
    2) ワムシ接種後5日目からティグリオプス採取終了日まで (90日間) のイースト給餌量は計658.5kgで, イースト1kg給餌当りのティグリオプス採取量は74.6gである。
    3) 生産槽から採水した1l中のティグリオプス数から推定した総個体数 (成体, コペポディッド, ノープリウスを含めた) の密度は最高3,270個体/lに達し, その推移状況は採取量から推定した密度の変化とよく一致する。
    4) 以上の結果から, イースト給餌によるワムシとの混合生産方法で, 秋・冬季に春・夏季と同様のティグリオプスの計画的な採取が可能であることが判った。
  • 三好 勝
    1977 年 25 巻 2 号 p. 68-74
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    1. ウナギクロコの大・中・小混合群と大型群を別個に飼育して減耗率・増重率・餌料効率・全長の変異度・体長順位効果・全長分布の歪度・トビの出現状況について比較した。
    2. 年減耗率は小型魚が共食いされて消息不明率が高いため混合区 (46.1%) の方が大型区 (34.7%) より高かった。
    年増重倍率は混合区 (2.7) の方が大型区 (2.1) より高い。これは混合区は中・小型魚の減耗はあっても生残った中・小型魚の増重倍率が高いからであろう。
    3. 両区の季節的生長度は41年6-10月に急速に生長し41年10月-42年2月は停滞し, 42年2-6月に再び生長している。この原因は水温と密接な関係があると思われる。
    4. 全長変異係数の季節的推移は混合区では始めから終りまで平均全長に類似してほぼ一定率でゆるやかに上昇する。大型区では当初は混合区より小さい値であるが4ヵ月後には, 急上昇して混合区を上廻り以後混合区と同傾向でゆるやかに上昇する。
    5. 混合区では飽食した大型魚は順次魚巣へ帰るので中・小型魚もsize hierarchyの影響を受けるこなく十分摂餌できた。その結果年増重倍率 (総重量) は, 混合区が大型区より大きかった。
    6, 4ヵ月毎の歪度をくらべると, いつも混合区の方が大型区より大ぎい値を示した。また混合区は歪度の正規性の検定から全ての時期で全長分布が左傾しており, 一応その集団にトビが現われていると云え, 大型区は全ての時期でその集団にトビはいないと云える。大型魚を早く多く生産したい場合はできるだけ選別して大型魚のみを養成し, 増重倍率 (総重量) を大きくしたい場合は無選別の混合群に十分給餌することでそれぞれの目的を達成できると考えられる。なお一般の養鰻業でも早期に商品サイズのものを養成するためにはシラス期からできるだけ回数多く選別することが望ましい。
  • 西内 康浩
    1977 年 25 巻 2 号 p. 75-78
    発行日: 1977/09/25
    公開日: 2010/03/10
    ジャーナル フリー
    農薬の魚毒性発現に及ぼすpH値の影響をヒメダカと4種類のフェノール系薬剤を供して調査した結果, 何れの薬剤もpH値を高くすれば魚毒性は低減し, pH値を低くすれば魚毒性の高くなる事実を見出した。
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