1) オイカワ卵の発育と水温との関係について実験をおこなつた。
2) オイカワ卵のふ化は15.3℃と18.9℃の間から28.7℃と31.7℃の間が適温で, その範囲は相当広く, なかんずく18.9-27.4℃が最適温度である。
3) オイカワ卵のふ化可能の低温の限界は11.0-15.3℃の間であり, 高温の限界は33.5℃前後である。
4) オイカワ卵のふ化適温範囲内において水温 (θ) とふ化日数 (T) との関係はTe
aθ=Kの公式に適合し, これより
aloge=0.5103,
a=0.1175, K=1,705, Q
10=3.24の値を得た。
5) オイカワ卵のふ化日数と水温との関係は次のごとくである。 平均水温 (℃) 11.0 15.3 18.9 21.4 23.1 25.8 27.4 28.7 31.7 33.3平均ふ化日数 - 8.56 5.52 4.10 3.40 2.19 2.16 1.89 1.73 1.57
6) オイカワ卵のふ化日数と水温の相乗積はふ化適温範囲内においては水温の上昇するにしたがい減少する傾向がある。
7) 千曲川におけるオイカワの産卵期の水温とオイカワのふ化適温とは一致する。
8) オイカワのふ化稚魚の浮上水温は31.8-20.1℃までは適温範囲内にあつたが, 20℃以下は明らかになし得なかつた。 また33.6℃は適温外であつた。
9) オイカワのふ化稚魚の浮上日数と水温との関係は適温範囲内においてはTe
aθ=Kなる公式が適用できて
aloge=0.032,
a=0.0742, K=1.472, Q
10=2.12の値を得た。
10) オイカワのふ化稚魚の浮上日数と水温との関係は概略次のごとし。 平均水温 (℃) 20.1 22.0 25.9 27.5 28.8 31.8 33.6 平均浮上日数 6.8 6.3 4.6 4.1 3.4 2.8 2.4
11) オイカワのふ化稚魚の浮上日数と水温の相乗積は水温の上昇するにしたがい減少する。
12) オイカワのふ化適温範囲はコイ, フナ, ワカサギと同じく広く, しかもメダカとともに最も高水温に適する種類である。
13) オイカワは自然水域において16.7℃の低温まで繁殖する可能性があると考えられる。
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