1. 飼育用水の濾過中の溶存酸素の減少量が非常に大きいことから, 循環式で水族を飼育する際には, 濾過後, 飼育水槽にいたるまでに通気するのが望ましい。
2. この溶存酸素の減少量と, 同時に測定したB. O. D. の減少量との間には密接な相関関係がある。 したがって溶存酸素の減少量をもって濾過浄化量の指標としてさしつかえない。
3. 須磨水族館濾過槽の単位時間当りの濾過浄化量の推移を, 溶存酸素の減少量を指標として調査したところ, 濾水率がある程度低下したら, すみやかに作業し, 濾水率の向上をはかる必要があることを知った。 また濾過槽表面の汚砂を取り除く作業後は約1日, 逆洗作業後は約3日を, その機能の回復に要することを知った。
4. 濾砂の粒径と濾過浄化量との間には密接な関係があり, 濾砂の量を一定にするなら, 粒径の逆数と単位時間当りの濾過浄化量には直線関係が成立し, 粒径を大きくすることは, 著るしく濾過浄化量を減少させる。
5. 濾水率を低下させると同一濾過槽を用いた場合でも, その単位時間当りの濾過浄化量はそれとともに減少する。
6. 新しい濾砂を用いた場合, 濾過浄化機能が発揮されるまでには, かなりの日数を必要とし, 須磨水族館の逆洗付濾過槽では約2週間以上を必要とすることが推定された。
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