アカウニの主要な餌料海藻の一つであるアラメについて,粗タンパク量やエネルギー量の周年変化,アミノ酸組成の地理的・季節的差違,葉状体の部位による成分の違いを調査し,主としてタンパク質栄養の観点から評価を行った。
三重県阿児町で採取されたアラメ葉体部の水分量,タンパク質量,およびエネルギー量は周年変動した。7-10月に乾物重量,粗タンパク量,およびエネルギー量はそれぞれ29-32%,3-4%,および360-370kcal/100g乾物試料と最も高くなった。一方,2月にはそれぞれ14%,2%,および270kcalと最も低い値が観察された。また,年間を通してアラメが稚ウニの餌料としてそのタンパク要求量(餌料中の20%)を満足した月は全くなかった。
アラメ葉体中のアミノ酸の含有量やバランスには,海域(福岡県・三重県問)よりも季節の違い(三重県の5月と10月)の方が大きく影響した。また,葉体の部位によっても違いが認められ,葉片の新生部位の方が古い部位よりも必須アミノ酸バランスが良かったが,タンパク質量は低かった。
必須アミノ酸バランスの点では,アラメのウニに対する栄養価はワカメやカゼインよりも劣っており,その最大の原因はアルギニン含量の低さにあった。従って,アカウニ養成の主要餌料としてアラメを使用する際にはアルギニン含量の高い配合飼料の併用が成長の促進に有効であるかもしれない。
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