(1) 仔魚の消化管の形成期は浮遊卵からふ化したものと沈性卵からふ化したものとで大きく異なり, 多くの場合, 前者ではふ化時に消化管は未形成であるのに, 後者ではほぼ完成された状態にある。
(2) 摂餌開始期の仔魚の消化管の形態は種類により様々であるが, 大別すると消化管は途中で旋回あるいは曲折するマダイ型と直線的で口から肛門までが長いワカサギ型の2型になる。
(3) 仔魚の消化管は単純で, 一部の例外を除き摂餌開始時には胃腺や幽門垂の分化はみられず, 仔魚は主として腸で消化吸収を行なう。
(4) 摂餌を開始する直前に腸後部に括約筋が形成されて腸は2分される。この2部分を構成する円柱細胞は形態が著しく異なることから, 機能を異にすると推定される。
(5) 摂餌を開始したスズキ・トラフグ・ワカサギ・カサゴなどの仔魚は動物性プランクトンから脂肪を活発に吸収している。
(6) 仔魚の脂肪の吸収は卵の性質の違い, ふ化後の生活環境の相違にかかわらず, また餌料生物 (イガイ幼生, シオミズツボワムシ, ブラインシュリンプ幼生) の如何にかかわらず認められる。
(7) 脂肪の吸収部位は腸最後部 (直腸) を除く腸の全域である。
(8) 吸収された脂肪の運搬は主として血管系で行なわれている。
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