底棲移行初期のバフンウニとアカウニの稚仔の大量飼育方法を検討し, 次のような結果を得た。
1) コンクリート水槽 (2.5m
3容) では孵化後5-7ヵ月目にバフンウニで平均2.1万個 (1.2-2.8万個), アカウニで平均1.5万個 (1.0-2.9万個) を取揚げたが, 飼育成績は5-10万個の収容範囲の水槽で特に良かった。塩ビ水槽 (68.4, 152
l容) では収容時の平均殻径が1mm以上になると生残率は80%以上と安定した。
2) 採集死殻の平均殻径は1.4mmで, これは海藻類の摂餌が可能となる大きさとほぼ一致しているため, 稚仔の減耗は珪藻食から海藻食へと食性に変化がみられる時期にかけて特に著しいと判断された。
3) 孵化後1, 2年目にはバフンウニで20.6, 26.6mmに, アカウニで26.7, 38.4mmに成長したが, いずれも個体間の成長差は大きく, 孵化後6ヵ月目で最小と最大個体との差が20mm以上に達するものもみられた。
4) 人工種苗の殻径 (
L, cm), 重量 (
W, g) の関係はバフンウニで
W=0.4295
L2.9213, アカウニで
W=0.3803
L3.0559で示された。
5) 両種の1-3mm台の稚仔はワカメよりもアナアオサを多食しており, 特に1, 2mm台のものではこの傾向が顕著であった。
6) 海藻類摂餌後の稚仔の成長, 生残率から考えると, 餌料の早期切換えによる飼育効果は大きいものと思われる。
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