水産増殖
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29 巻, 4 号
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  • 組織内クロラムフェニコール濃度に及ぼす投与法の影響
    畑井 喜司雄, 安元 進, 安永 統男
    1982 年 29 巻 4 号 p. 199-210
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
    1. 投餌方法の異なるA~Iの試験群を設定し, 各試験群生簀内のブリ幼魚 (平均体重約40g) にCPとして100mg/kg体重の水産用クロロマイセチン散を経口的に1回投与し, その後経時的に各群の魚体内CP濃度を測定することにより投餌法がCPの吸収・排泄パターンに及ぼす影響を検討した。
    2. 魚体内CPはミンチに対する配合飼料の比率が高いほど, また, 展着剤の添加率が高いほど高い濃度を示し, 加えて体内に長く貯留することを明らかにした。
    3. もっとも高い魚体内濃度が得られた投与群は展着剤を0.2%添加し, かつ配合飼料を50%混合したF群であった。
    4. 魚体内CP濃度は各群とも肝臓でもっとも高く, 次いで筋肉, 血液の順であった。ただし, EおよびG群では血中のピーク値が筋肉中のピーク値よりも若干高い値を示した。
  • 矢田 敏晃
    1982 年 29 巻 4 号 p. 211-217
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
    冬期水温15℃前後で越冬し, 春~秋期自然水温下で飼育したティラピア・ニロチカの生殖腺重量および生殖巣の成熟過程等について検討を行った。
    (1) 本種の生殖巣の成熟は季節的変化がみられ, 雌では6月下旬~8月下旬, 雄では3月~10月が成熟期とみられる。しかし, 雌ではそれ以外の時期にも成熟個体がみられた。
    (2) 産卵水温は23℃以上で, この水温を示す期間が産卵期と推定され, 6月中旬~9月下旬までであった。そして, 6月中旬~7月中旬が産卵盛期である。
    (3) 成熟体型は雌では体長170mm (体重約160g) , 雄では体長140mm (体重約140g) 以上であり, 抱卵数 (N) と体長 (Lmm) の間にはL=39.17N0.211, 体重 (Wg) との間にはN=7.9W-299.4の関係式が成立していた。
  • 卵発生と仔魚の形態変化
    赤崎 正人, 時任 明男
    1982 年 29 巻 4 号 p. 218-228
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
    1975年9月25日から12月4日まで, 宮崎大学農学部付属水産実験所において, タイ科魚類のキチヌにシナホリンを投与して人工受精を行い, 卵発生を観察するとともに, ふ化仔魚の形態変化について調べた。
    1.キチヌ卵の平均卵径は0.787±0.022mm (10粒) であり, 油球径は平均0.20±0.005mmであった。
    2.受精卵は1時間23分で2細胞, 2時間10分で16細胞となり, 4時間35分後には桑実期に達し, 12時間33分後には胚体の形成が始まる。23時間35分後には心臓搏動が確認され, 筋節数25となる。25時間40分後には胚体は卵黄をほぼ2/3周する。29時間後には胚体は卵黄をほぼ1周し, ふ化が始まる。
    3.キチヌ卵は水温26℃で21時間30分, 16℃で43時間5分, 常温21.5~23.2℃ (平均22.6℃) で29時間でふ化した。水温 (X) とふ化所要時間 (Y) の間にはY=79.072-2.223Xの関係がみられる。
    4.キチヌのふ化仔魚は全長1.8~1.95mm, 平均1.89mmである。卵黄径は0.84mmで, 油球は大部分の個体で卵黄の中央よりやや後下方に位置する。肛門は卵黄の直後にあり, 体のほぼ中央に位置する。
    5.ふ化後2日目の仔魚は全長2.75~3.0mmで, 卵黄はほとんど吸収される。肛門は体の前部1/3に移動し, 第5筋節目に開く。3日目には全長2.9~3.1mmに達し, 開口するとともに腸は2回転する。
    6.ふ化後32日目の仔魚は全長10.0mmとなり, ほぼ鰭条数も定数に達し, 稚魚期に移行したものと考えられる。
  • 給餌および無給餌池における成長に伴う食性の変化
    矢田 敏晃
    1982 年 29 巻 4 号 p. 229-233
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
    給餌および無給餌池における0および1年魚のティラピアの胃内容物を調べ, 成長に伴う食性の変化について検討した。
    (1) 給餌池では0および1年魚とも投与配合餌料, 動・植物プランクトンを摂取していた。しかし, 動物プランクトンの摂取割合は0年魚では約30%を占めたが, 1年魚では2.5%以下であった。一方, 植物プランクトンの摂取割合は水中の植物プランクトン量によって影響を受けているようであった。
    (2) 無給餌池では, 0年魚は動・植物プランクトン, 水・陸性昆虫, 水生植物, 2年魚は植物プランクトンと有機物残渣を摂取していた。
    (3) しかし, 0年魚の場合成長に伴う食性の変化がみられ, 体長30~40mm以下では動物プランクトンを主とした食性であるが, 体長30~40mm付近に転換期が認められて植物プランクトンの摂取が多くなり, 体長70mm以上ではほとんど植物プランクトンばかりとなる。
  • 動物プランクトンに対する選択性と口径との関係
    矢田 敏晃
    1982 年 29 巻 4 号 p. 234-238
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
    給餌および無給餌池における0年魚の摂取動物プランクトンの種類と組成について調べ, 0年魚の動物プランクトンに対する選択性とその口径との関係について検討した。
    (1) ティラピアは給餌の有無および時期に関係なく, 池水中にみられたBrachionus, Keratella, Filinia, Asplanchna, Trichocerca, Monostyla, Polyarthra等のRotifera, Cyclops, Calanoidae, Nauplius等のCopepoda, Moina, Sinocephalus, Diphanosoma, Bosmina等のCladoceraを摂取していた。
    (2) 動物プランクトンを主とした食性時期はある種を特異的に摂取し, しかも体長が大きくなると大型の動物プランクトンの割合が高くなる傾向を示した。しかし, 植物プランクトン食性時期は摂取動物プランクトンの種類組成が多様で, 特異的に摂取されている種類は認められなかった。
    (3) この摂取動物プランクトンの違いは成長に伴う選択性の変化によるもので, 体長15mm以下ではRotifera, 体長25mm以上ではCladoceraに対して選択性がみられた。しかし, 体長25mm以上では給餌による影響がみられ, 選択性は失なわれていた。また, RotiferaからCladoceraに対する選択性の転換期が体長15~20mm付近にみられた。
    (4) 選択性の転換期は餌生物の大きさと口径がほぼ一致する時期にみられた。
  • 植物プランクトン組成の変化が選択性に及ぼす影響
    矢田 敏晃
    1982 年 29 巻 4 号 p. 239-245
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
    ティラピアの摂取植物プランクトンの種組成について調べ, その選択嗜好性について検討した。
    (1) 本種は水中に出現していたほとんどの植物プランクトンを摂取していた。
    (2) 摂取藻類は水中の割合が増えるに従って摂取される割合も増加するが, ミドリムシは水中より低く, 緑藻, 珪藻は主に藍藻優占池を除くと水中より高い。また, 藍藻は緑藻優占池を除くと水中より高かった。
    (3) しかし, 藻類に対する選択性は藍藻で最も強く, 反対にミドリムシで最も弱く, 緑藻, 珪藻では両者の中間の選択性を示していた。
    (4) また, 水中の藍藻 (Micracystis) の存在は他種の選択性に著しく影響を与えていた。
  • 船本 浩路, 平山 和次
    1982 年 29 巻 4 号 p. 246-250
    発行日: 1982/03/25
    公開日: 2010/09/07
    ジャーナル フリー
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