水産増殖
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49 巻, 3 号
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  • 田子 泰彦
    2001 年 49 巻 3 号 p. 285-292
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2011/01/31
    ジャーナル フリー
    1992~1996年に庄川で友釣り漁とテンカラ網漁で漁獲されたアユのCPUEと体重を調べた。CPUEの平均は,テンカラ網(18.0尾/時)では友釣り(3.4尾/時)の5.3倍であった。テンカラ網では漁期の経過につれてCPUEは減少する傾向が認められたが,魚体の大きさと水温に影響される友釣りでは時期の経過とCPUEには相関関係は認められなかった。友釣りの1人当たりの釣り時間とCPUEには相関関係は認められず,長時間の友釣りの続行には一定以上のCPUEが維持できる漁場の確保が必要だと考えられた。体重の平均は,友釣り(29.8g)ではテンカラ網(19.3g)の1.5倍であった。友釣りで漁獲されたアユでは体重25g以上の個体が59.1%を占めたのに対し,テンカラ網のそれは21.7%に過ぎなかった。限られたアユの漁場と資源を有効に利用するには,友釣りとテンカラ網のCPUEや漁獲されたアユの大きさおよび両者の漁法の性質の違いを十分考慮に入れ,釣り専用区などの設定を含めた両者が共存できる漁場管理を進める必要があると考えられた。
  • 團 昭紀, 高木 俊祐, 大野 正夫
    2001 年 49 巻 3 号 p. 293-297
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    1998年11月,漁場が低塩分の時にスジアオノリの採苗方法を違えた2種の網(人工採苗,天然採苗)の養殖試験が行われた。人工採苗では天然採苗に比べ,藻体数で3.4倍,収量で4.2倍となった。漁場環境が良好な場合には天然採苗が簡易な方法であるが,低塩分により天然での胞子の供給が少ない場合には,人工採苗による養殖は有効な方法であることが分かった。今後,スジアオノリ養殖にとり漁場環境条件と養殖目的に応じて,2つの採苗法を使い分けてゆくことが重要である。
  • 島村 京子, 中村 幹雄
    2001 年 49 巻 3 号 p. 299-304
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    コンクリート人工魚礁を1997年12月に中海の大根島南側の水深約4mの砂泥地に設置した。設置後3ヵ月でフジツボ類が優占し,設置後12ヵ月でムラサキイガイが優占した。また,夏季にはムラサキイガイは大量死した。主な付着動物は,ムラサキイガイ,フジツボ類,コウロエンカワヒバリガイ,ナミマガシワ等で,これらは中海の動物相と類似していた。現存量は,設置後19ヵ月目に24124.5g/m2で最大となった後,減少した。夏季には汽水性魚類の蝟集が確認された。
  • 山元 憲一, 半田 岳志
    2001 年 49 巻 3 号 p. 305-309
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,チレニアイガイを用いて,夏季(28℃),秋季(20℃)および冬季(12℃)に酸素飽和の状態から酸素分圧を低下させて酸素摂取量,換水量,酸素利用率と鰓の繊毛運動を測定して,同貝の呼吸の季節変化と呼吸に及ぼす低酸素の影響を調べた。
    酸素摂取量と換水量は冬季に大きく,夏季に小さい変化を,酸素利用率と鰓の繊毛運動は夏季に大きく冬季に小さい変化を示した。酸素分圧を低下させると,酸素摂取量は減少し,換水量と鰓の繊毛運動は酸素飽和の状態での値を維持し,酸素利用率は増大した。
  • 星合 愿一, 片山 知史, 荒井 永平, 刈田 啓史郎, 星野 善一郎
    2001 年 49 巻 3 号 p. 311-316
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    In order to estimate the activity in cultured ascidian, Halocynthia roretzi, we examined the effects of chemical (MgCl2) stress and followed physical (high temperature) stress on ascidians which had been reared in running water, stagnant water with aeration and without aeration conditions, through the continuous monitoring of squirting.
    Mg treatment reduced the squirting of ascidians reared in stagnant condition compared with control ascidian, which had been reared in running water, although they did not show significant difference under running water treatment.
    High temperature treatment, followed Mg treatment, increased the squirting of control ascidian. For the others, it transitorily emphasized the squirtings, but decreased and stopped them in several hours. Of the ascidians reared in stagnant condition, the ascidian, which was reared without aeration suffered a severe effect rather than ascidian reared with aeration.
    These results suggested that the monitoring of squirting in the chemical and physical stress conditions could evaluate the activity of ascidian.
  • 沼口 勝之
    2001 年 49 巻 3 号 p. 317-322
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    アコヤガイ稚貝を用いて微細藻類Isochrysis aff. galbana(Parke)clone T-Iso(以後T-Isoと略す)の摂餌に伴う消化盲嚢に含まれるクロロフィルaおよびフェオ色素量の経時的な変化を調べるとともに,給餌量と消化盲嚢色素量との関係および消化盲嚢色素量と貝柱のグリコーゲン量との関係について検討を行った。
    稚貝の消化盲嚢に含まれるクロロフィルaおよびフェオ色素量はT-Iso給餌後から増加し,24時間経過した頃に最も高い値に達して,その後減少した。また,消化盲嚢にはクロロフィルa量よりフェオ色素量の割合が多かった。T-Isoの給餌量の増加に伴い消化盲嚢に含まれる植物色素量(クロロフィルa量とフェオ色素量の合計値)は指数関数的に増加した。稚貝の貝柱のグリコーゲン量は消化盲嚢色素量の増加(摂餌量の増加)に伴い増加したが,グリコーゲン量は一定値に達するとそれ以上の増加はみられなかった。
  • 茂木 正人, 石川 健, 寺岡 成樹, 伏見 浩
    2001 年 49 巻 3 号 p. 323-328
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    マダイ仔魚の成長,内部栄養の吸収様式,摂餌開始時期と摂餌量の推移,および形態発育を調べ,栄養転換過程を4段階に分けた。1)未発達期(ふ化~ふ化後20時間;2.1~2.9mmTL):内部栄養により成長し,摂餌に関わる器官形成はみられない;2)摂餌準備期(約20~90HAH;2.9~3.4mmTL):摂餌に関わる器官形成(開口と口幅の急激な増大,眼の黒化,消化管の発達,胸鰭の形成)がみられる;3)初期摂餌期(約90~180HAH;3.4~4.1mmTL):摂餌を開始し,摂餌量の緩やかな増加がみられる;4)摂餌強化期(180HAH以降;4.1mmTL~):摂餌量は急速に増加する。他の海産魚類と比較したところ,マダイでは摂餌開始時の内部栄養量が少ないことが判明した。しかし,一方で,内部栄養が吸収された時点での摂餌量が多いことや摂餌開始から100%摂餌に達するまでの時間が短いことなど,マダイ仔魚が高い初期摂餌能をもつことも明らかとなった。
  • 木原 稔, 坂田 隆
    2001 年 49 巻 3 号 p. 329-338
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    コイの腸内細菌代謝におよぼす飼育温度,培養温度,発酵基質の影響をマイクロスケールバッチ培養法を使って比較した。15℃あるいは25℃で飼育したコイの腸内容物を,グルコース,ラクトシュークロース,アルギン酸あるいはキチンとともに15℃あるいは25℃で12時間培養し,培養中のガス放出量と培養後の有機酸産生量を測定した。この結果,基質,飼育温度および培養温度はガス放出と有機酸産生に影響していた。25℃飼育に比べ15℃飼育のコイ腸内細菌は,乳酸およびイソ吉草酸を多く産生していた。15℃飼育のコイ腸内細菌を15℃培養した場合,25℃培養よりも多くのコハク酸,ギ酸および酢酸を産生していた。グルコース培養は,ラクトシュークロース,キチンあるいはブランク(基質無添加)培養よりも多くの乳酸を産生していた。総有機酸産生量は,アルギン酸およびキチン培養がブランク培養よりも少なかった。以上の結果から,コイ腸内細菌は各種の糖質性基質を利用して有機酸を産成する能力があることが明らかとなった。また,一連の微生物消化に対し飼育温度が影響することも明らかとなった。
  • 家戸 敬太郎, 林 律子, 糟谷 享, 山本 眞司, 村田 修, 熊井 英水
    2001 年 49 巻 3 号 p. 339-345
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    マダイ,Pagrus majorにおける全雄群誘導に有効な17α-メチルテストステロン(MT)の経口投与量および投与時期について,雌性発生二倍体または雌と雌性発生二倍体雄との交配により得た魚を用いて調べた.281日齢の雌性発生二倍体マダイにMTを0.01-1.0mgMT/kg BW/dayの濃度で16週間経口投与した結果,MT投与の翌年の産卵期にはいずれの濃度区においても100%機能的な雄が得られた。55,141および893日齢の魚にMT(0.1mg/kg BW/day)処理を16週間行った結果,雄が誘導され,すべてのMT処理魚の生殖腺に精巣組織が認められた。141および893日齢より処理した群では機能的な精子が得られたものの,55日齢からの処理群では精子を得ることはできなかった。
  • 精製,血中濃度測定ならびにSalmincola stellatusに対する特異IgMの産生
    平松 尚志, 深田 陽久, 北村 真紀子, 清水 宗敬, 布太 博敏, 小林 邦彦, 原 彰彦
    2001 年 49 巻 3 号 p. 347-355
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    免疫グロブリンM(IgM)を,イトウ(Hucho perryi)血清より精製した。イトウIgMは,他のサケ科魚類のIgMと同様に分子量75万の4量体構造を示した。血清IgM量は,1mg/mlから5mg/mlの範囲で推移し,年令群(成熟度)および水温には依存せず,春期に低く秋期に高い傾向を示した。さらにイムノブロット法により,Salmincola stellatusの寄生を受けたイトウ血中に,寄生虫への特異抗体を検出した。
  • 沼口 勝之
    2001 年 49 巻 3 号 p. 357-362
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    アコヤガイ初期稚貝(平均背縁長3.1mm),稚貝(殻長23.4mm)および成貝(殻長62.1mm)の成長に対する小麦デンプンとパン酵母の餌料価値について検討を行なった。微細藻類P. lutheriは初期稚貝に対して成長効果があるのに対して,小麦デンプンとパン酵母は,初期稚貝に対して成長効果はまったく認められなかった。同様にパン酵母は稚貝に対しても成長効果は認められなかった。しかし,小麦デンプンはP. lutheriの効果と同様に稚貝の増重はみられなかったものの実験開始時の重量を維持する効果が認められた。成貝ではP. lutheriに小麦デンプンを42mg/lの割合で添加した実験区では軟体部の増重はみられないものの貝柱のグリコーゲン量が増加し一定の餌料効果が認められた。
  • 小林 孝幸, 竹内 俊郎, 清水 智仁, 荒井 大介, 関谷 幸生, 丸山 敬悟
    2001 年 49 巻 3 号 p. 363-368
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    第3齢ゾエア期以降のノコギリガザミ幼生の生残と発育に及ぼすEPA強化アルテミアの影響を検討することを目的に試験を行った。試験は,5区を設け各2水槽試験とした。第2齢ゾエア期まではナンノクロロプシスワムシを与え,第3齢ゾエア期以降,EPAエチルエステルにより強化したEPAレベルの異なるアルテミアを給餌した。
    その結果,第1齢稚ガニの生残率において全区に有意差(p>0.05)は認められず,30~40%前後の生残率を示した。しかし,アルテミア中にEPAが3.6%以上含有しているとき,メガロパ幼生への脱皮失敗個体が多数観察された。またEPAが7.8%(DHA微量含む)含有するアルテミアを与えた区の稚ガニの全甲幅長は,他区に比較し,有意に大きかった。
    本実験の結果から,アルテミア中のEPA適正量は,1.0~2.3%(n-3HUFA1.1~2.4%)程度と判断された。また,アルテミア中にDHAが全く含まれていなくても稚ガニが得られ,さらにナンノクロロプシスワムシ中にもDHAはほとんど含まれていないので,生残率から見た場合にはDHAを必要としないことが確かめられた。さらに,アルテミア中に7.8%のEPAを含有した区で38.3%の生残率を示したことから,ノコギリガザミ幼生は,EPA過剰を発現する含量はDHA過剰を発現する含量よりも高い水準にあるものと示唆され,EPAが3.6%以上DHAが0.46%以上含有するとき,メガロパへの脱皮失敗個体が現れると推察された。なお,EPAのアルテミアへの強化は稚ガニの全甲幅長の成長に対して,それほど関与しないものと推察された。
  • 細川 秀毅, 木下 浩樹, 益本 俊郎, 示野 貞夫, 阪本 禮一郎
    2001 年 49 巻 3 号 p. 369-375
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ブリに対するコーングルテンと大豆タンパク質の栄養価を高め,それらの利用性を向上させるために,タンパク質源としてCGM,SPCおよび両者の1:4混合物を配合した飼料,ならびにそれぞれにBFMのアミノ酸組成に合わせて必須アミノ酸を累加補足した飼料でブリ稚魚を30日間水槽飼育した。その結果,いずれのタンパク質群でも,無補足区の成長,飼料効率,血液性状,血清成分などは最低であった。しかし,アミノ酸補足の進行に伴って各成績は向上し,SPC群ではリジンとメチオニンの補足区で,併用群ではリジンとメチオニンの補足区またはリジン,メチオニンおよびトリプトファンの補足区でそれぞれ対照のBFM区に匹敵する成長がみられ,魚体成分,飼料効率,エネルギ.一蓄積率なども優れていた。CGM群でもリジン,アルギニン,トリプトファンおよびメチオニンの補足区で対照区の61%に相当する成長が認められ,諸成績も比較的優れていた。以上の結果から,ブリにおけるコーングルテンおよび大豆タンパク質利用性の向上にはアミノ酸補足が有効であり,少魚粉飼料開発の可能性が示唆された。
  • 松田 吉央, 林 昭彦, 吉富 文司, 竹内 俊郎
    2001 年 49 巻 3 号 p. 377-381
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    大部分が産業廃棄物として処理されているイカ肝臓を何ら処理を加えずEPに添加し,ニジマスを用いて飼料中各栄養素の消化吸収率および成長に及ぼす影響について検討した。
    その結果,対照区(Extruded Pellet区,以下EP区)では開始時161.5gであったものが34日間の飼育により221.6gに成長したのに対し,生イカ肝臓をEPに20%添加して給餌した試験区(Squid Liver-Extruded Pellet区,以下SLEP区)では開始時165.1gあったものが243.5gに成長した。日間摂餌率はEP区の1.6%に対し,SLEP区で1.8%,飼料効率もEP区の0.66に対しSLEP区が0.75と,遜色のない優れた結果が得られた。また,飼料中各栄養素の見かけの消化吸収率は,タンパク質および脂質でいずれも92%前後,デンプンの消化率で約84%となり,EP区およびSLEP区に差はみられなかった。
    以上より,ニジマス用EP飼料には生イカ肝臓を20%程度まで添加することが可能であると考えられた。
  • 細川 秀毅, 黒原 健朗, 益本 俊郎, 示野 貞夫, 阪本 禮一郎
    2001 年 49 巻 3 号 p. 383-388
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    オキアミミールと血粉とともに,コーングルテンミールと濃縮大豆タンパク質を単用または併用配合して魚粉配合量を10%に削減した飼料,ならびにそれぞれに必須アミノ酸を補足した飼料でブリ幼魚を30日間飼育した。その結果,いずれの魚粉代替源併用区でも,対照の52%魚粉単用区に匹敵する飼育成績や体成分がみられ,アミノ酸補足によるそれらの改善は少なかった。以上の結果より,多種代替源を適正に併用配合すれば,アミノ酸補足は必ずしも必要ではなく,魚粉配合量を約80%削減できることがわかった。
  • 高橋 計介, 森 勝義
    2001 年 49 巻 3 号 p. 389-396
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    マガキ血球が貪食した細菌に対する殺菌過程において,活性酸素の関与の有無を明らかにするため,好気・嫌気の両条件下において貪食能および殺菌能の測定を行った。供試した5種類の細菌株のうち,Arthrobacter ramaosusのみが血球の活性酸素生成を有意に刺激した。血球の貪食能はいずれの細菌株に対しても好気・嫌気の2つの条件の問で違いはなかった。しかし,A.ramosusに対する血球の殺菌能は,嫌気条件下で約半分に低下した。殺菌能の同様の低下が,NADPH酸化酵素の活性阻害剤diphenyleneiodoniumの添加によっても認められた。他の4種類の細菌株に対する殺菌能は,好気・嫌気の違いによって変化しなかった。従って,マガキ血球のA.yamosusに対する殺菌は部分的に活性酸素依存的であること,一方その他の細菌に対して血球の活性酸素生成系は反応せず,殺菌は酸素非依存的に起こることが考えられた。
  • 田子 泰彦
    2001 年 49 巻 3 号 p. 397-404
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    1997~2000年に神通川と庄川のアユとサクラマスの主な漁場である中流域において,魚類の生息に極めて重要な淵の存在を調べた。最大水深が2m以上の淵は,神通川では18から11に,庄川では5から3に減少し,神通川では淵の数は減少する傾向が認められた。両河川では淵の存在は極めて不安定で,期間中に30の淵が消失し,21の淵が新たに形成された。期間中継続した淵は,神通川では4に過ぎず,庄川では皆無であった。両河川の中流域の河川形状には,典型的な中流域の河川形態型であるBb型は全く適応できなかった。これらの淵の消長は主に護岸建設などの河川工事により引き起こされたとともに,アユやサクラマスの生存にも悪い影響を与えてきたと考えられた。
  • 工藤 飛雄馬, 井ノ口 伸幸, 木島 明博
    2001 年 49 巻 3 号 p. 405-411
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    高水温耐性形質の遺伝的変異を捉えることのできる評価方法として,平均死亡時間を使うことが可能であることを示した。そこで,総当たり交配による狭義の遺伝率を求めたところ,0.476となり,ニジマスの養殖系統には高水温耐性に対する高い遺伝的変異性があることを示した。
    同一親魚による狭義の遺伝率と広義の遺伝率の関係を調査した結果,広義の遺伝率は狭義の遺伝率よりもおよそ2倍の値を示し,相互作用分散が強く影響する形質であることが示され,広義の遺伝率は半分の値としてみなす必要があると考えられた。
    変動指数は狭義の遺伝率と近似した値となり,広義の遺伝率と相関が認められたことから,高水温耐性形質の遺伝的変異性を捉える指標になると考えられた。
    本研究で対象としたニジマスの養殖系統には,高水温耐性形質において高い遺伝的変異が保有されており,選択育種,特に,♂の個体選択によって高水温耐性品種の作出が可能であると考えられた。
  • 猪狩 忠光, 松元 則男, 北上 一男
    2001 年 49 巻 3 号 p. 413-414
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Juvenile green snails were reared at a mariculture institution for 17 to 29 months and released (shell height: 15.1-45.2 mm) on a reef crest and reef slope in two areas of Kagoshima Prefecture (Boma, Tokunoshima and Sohbaru, Isen). The shell growth of recaptured snails was observed. Juveniles grew more than 40 mm in shell height in a single year without any distinct variation between the two areas. This suggests that 30 mm juveniles would mature in two years.
  • Daisuke TAHARA, Isao YANO
    2001 年 49 巻 3 号 p. 415-416
    発行日: 2001/09/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    This study investigated the effect of diets containing ogonori (Gracilaria vermiculophylla) lipid on the growth of kuruma prawn, Penaeus japonicus. In Trial 1 (11.2 g in average body weight), females fed the diets containing 1.7 g ogonori lipid/kg diet exhibited growth rate of 47.1% compared to that of 31.3% fed the control diet which had no ogonori lipid. In Trial 2 (21.0g in average body weight), the growth rates were 7.6% and 9.0% in control and experimental diets groups, respectively. There was no significant difference among the survival of prawn fed the diets containing ogonori lipid and the control diet in both Trials. These results indicate that diets containing ogonori lipid accelerates the growth of kuruma prawn.
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