水産増殖
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57 巻, 3 号
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原著論文
  • 小林 徹, 伏木 省三, 上野 紘一
    2009 年 57 巻 3 号 p. 361-370
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    0から15分間の強制運動中と6分間強制運動後の回復過程における全雌三倍体ニジマスの血液生理学的変化を二倍体との比較のもとに調べた。強制運動の前,三倍体の脾臓のヘモグロビン含量体重比は二倍体に比べて有意に高かったが,運動を強制されると三倍体の脾臓は運動開始一分後には二倍体と同程度に縮小したことから,三倍体の脾臓重量比の減少率は二倍体の場合よりも高いことがわかった。赤血球数は運動強制によって両倍数性とも有意に増加したが増加割合は明らかに三倍体の方が高かった。三倍体の強制運動後の初期の血液性状の回復過程は二倍体に比べて約30分遅れ,三倍体は生理機能が回復するのに二倍体よりも長い時間を必要としたが,両倍数性とも24時間後にはもとの状態に戻っていた。これらのことから,三倍体は過激運動を行う際,二倍体よりも比較的大きな循環系への赤血球供給能を必要とし,それに脾臓を肥大させることで対応していると考えられた。
  • 城野 草平
    2009 年 57 巻 3 号 p. 371-382
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    チリウニの増殖の基礎資料を得るために1986~89年にかけてチリ共和国チロエ島東部沿岸において本種の浮遊幼生分布を調査した。調査海域ではチリウニ Loxechinus albus のほか,Pseudechinus magellanicusArbacia dufresnei の 2 種のウニ類幼生が観察された。チリウニの幼生は主に体の骨格で他種と判別された。その幼生はほぼ周年観察され,4 腕期幼生はおもに11月から 1 月にかけて出現した。変態期幼生は全調査期間をとおして1988年10月の Hueihue においてのみ観察された。幼生の出現数はチロエ島の南部が北部よりも多かった。
  • Thitiporn Laoprasert , 八木田 健司, 下河原 理江子, Supranee Chinabut , 畑井 喜司雄
    2009 年 57 巻 3 号 p. 383-388
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    2000年にアメーバ症がタイの熱帯魚の一種であるオスカーに発生した。異常遊泳魚から分離されたアメーバはアカントアメーバ属に分類された。アメーバの分離状況,形態的および生物学的特性について記載した。大腸菌を塗布した寒天培地に分離されたアメーバを接種し,種々の条件下で発育状況を試験した結果,アカントアメーバは種々の条件下において栄養型で増殖するが,環境が悪化する高温,高または低 pH,高塩分下ではシストとなり,発育に適した環境に戻すと,再び栄養型で増殖した。すなわち,アカントアメーバは5~45℃,pH 3~11,0~10% NaCl の範囲内で増殖または生残できることが明らかとなった。
  • Md. S. A. Sarker , 佐藤 秀一, 松本 誠司, 佐々木 卓, 宮下 仁志, V. Kiron , 山本 義博, 宮崎 隆徳
    2009 年 57 巻 3 号 p. 389-397
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    植物性タンパク質原料配合飼料へのクエン酸およびアミノ酸キレート微量元素(AA-CTE)添加の影響をブリ幼魚で検討した。大豆油粕(SBM)およびコーングルテンミール(CGM)配合飼料へクエン酸あるいはアミノ酸キレート微量元素を添加した飼料をブリ(平均体重89 g)に給餌し,4カ月飼育した。その結果,SBM および CGM を配合するとブリの飼育成績は魚粉飼料よりも劣るが,クエン酸あるいは AA-CTE を添加すると改善され,窒素とリンの排泄も軽減された。
  • Chutharat Munchan , 畑井 喜司雄, 高木 修作, 山下 亜純
    2009 年 57 巻 3 号 p. 399-404
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    魚類から分離された Ochroconis humicola 4 株に対するアンホテリシンB,フルコナゾール,5-フルシトシン,イトラコナゾール,ミカファンギン,ミコナゾール,テルビナフィンおよびボリコナゾールの in vitro での効果を比率法で検討した。その結果,イトラコナゾール,テルビナフィンおよびボリコナゾールの3剤は供試全株に有効であった。各薬剤の MIC(最小発育阻止濃度)と MFC(最小殺真菌濃度)は,最も効果的な薬剤であったテルビナフィンが,0.06~0.13 と 0.0625~0.125μg/ml で,次にイトラコナゾールの 0.5~2.0 と0.5~1.0μg/ml であった。テルビナフィンは塗布剤であることから,経口薬であるイトラコナゾールを選択して 実験感染魚(シマアジ)に人体と同様の投与量を与え,50日間経過を観察した。死亡魚は認められなかったが,いずれの試験区でも内臓に結節が認められ,病理組織学的にも対照区との差異は認められなかった。このことから,イトラコナゾールはオクロコニス症に対して効力がないと判断された。
  • 吉川 貴志, 賀久 基紀, 瀬戸熊 卓見, 木下 秀明
    2009 年 57 巻 3 号 p. 405-409
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    スズキにおけるふ化後の発育に伴う高温耐性の変化を実験的に検討した。試験には16°Cで飼育したふ化後0,1,2,3,5,7,10,13,16,21,24,31,38,45および52日齢の個体を用いた。各日齢について20~38°Cまでの高温海水に15分間暴露し,24時間後の死亡率から半数致死温度(TL50)を求めた。TL50は3日齢までは約35°Cであったが,開口後発育とともに低下し,24日齢の脊索屈曲期仔魚で最低値(27.0°C)となった。その後 TL50は上昇し,52日齢の稚魚では30.8°Cとなった。
  • 佐藤 敦一, 竹内 俊郎
    2009 年 57 巻 3 号 p. 411-416
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    マガレイの種苗生産を行う上で基礎となる親魚の産卵間隔,総産卵量,産卵時刻について調査した。その結果,水槽内で自然産卵させた場合,産卵間隔は産卵期間中ほぼ毎日であることが確認され,全長320 mm~370 mm における雌1尾の総産卵量は,217~406 万粒(受精卵157~269 万粒)であった。一方,排卵周期はほぼ1日間隔と推察され,産卵時刻は17~20時頃と推定された。
  • 片山 知史, 秋山 清二, 長沼 美和子, 柴田 玲奈
    2009 年 57 巻 3 号 p. 417-422
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    2005~2007年に館山湾で採集されたアイゴの標準体長範囲は,定置網では83~357 mm(n=1781),手網(2007年10月)では35~43 mm(n=5)であった。体長300 mm を超える大型の個体は,ほとんどが雌であった。耳石横断薄片を作成し輪紋構造を観察したところ,溝状構造の集まり(チェック)が,1年に1度,主に7~9月に形成されていた。年齢査定の結果,最高年齢は雄では13歳,雌では11歳であった。雌雄毎にあてはめた Bertalanffy の成長式には有意差が認められ,年齢t時の標準体長 SLt は,雄では SLt = 275(1-exp(-0.605(t-0.361))),雌では SLt = 298(1-exp(-0.537(t-0.348)))と表された。雌雄ともに,約3歳で体長の増加が著しく減少しており,成熟産卵とともに成長も停滞するというアイゴの生活史特性が明らかとなった。
  • 徳原 哲也, 桑田 知宣, 苅谷 哲治, 藤井 亮吏, 原 徹, 熊崎 隆夫, 岸 大弼
    2009 年 57 巻 3 号 p. 423-428
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    費用対効果の高いアマゴの成魚放流を考えるため,放流日およびスモルトとパーの違いが釣獲効率に与える影響を小河川において検証した。2月22日から解禁日である3月1日までの間に3回に分けて,標識したスモルトとパーを放流した。遊漁者を対象にクリールセンサスを行った結果,両者とも釣獲率は放流日に影響され,当日放流群で最も高かった。また,解禁後短期間に多くの魚が釣獲され,漁期は短いことが判明した。釣られやすさはパーの方がスモルトよりも高いか同程度と考えられた。
  • 山内 信, 木村 創, 高橋 芳明, 野田 幹雄
    2009 年 57 巻 3 号 p. 429-435
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    本研究は,アイゴ Siganus fusecscens の摂食行動に及ぼすクロメ Ecklonia kurome 密度の影響を調べることを目的とした。クロメを3段階の密度(5,15,30株/m2)の擬似藻場を設置した水槽に,20尾のアイゴ成魚を収容して摂食量と行動について観察した。アイゴは15および30株/m2 のクロメを集中的に摂食し,葉状部を激しく切断して,多くを散逸させた。しかし,5株/m2 では摂食や切断はほとんど認められなかった。水槽内には多量のクロメ葉片が散乱し,この消失量を用いて求めた摂食量も高密度で多かった。また,擬似藻場での摂食は外周部で若干多かったものの,内周や中心部では大きな差は認められず,全体的にはパッチ状に摂食していた。本研究の結果から,藻場造成において高密度でのクロメの移植は,摂食による葉状部の切断が集中して発生することが明らかになった。
  • 福田 耕平, 近藤 昌和, 稲川 裕之, Anan Chongthaleong , Lorenzo Becerra , 西 和人, 奥山 亮 ...
    2009 年 57 巻 3 号 p. 437-447
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    世界の養殖エビ類に蔓延しているホワイトスポット病の原因ウイルス(WSV)を迅速に検出するために,モノクローナル抗体を用いたイムノクロマトグラフィーキットを開発し,その有用性を評価した。本キットの WSV 検出感度は1段階 PCR 法と同等であり,2段階 PCR 法のそれよりも低かった。抗体は,WSV のエンベロープタンパク質 VP28を特異的に認識し,その検出限界値は9.9×103(ウイルスの DNA コピー数)/μl であった。診断技法としての有用性を外観症状および病理組織学的所見と比較したところ,顕著な病状を呈していないエビおよび胃や鰓の組織に感染細胞がほとんど認められない場合においても,WSV が検出された。また,国内外における養殖エビや野生甲殻類について,検出を試みたところ,1段階 PCR と同等の検出率であった。以上のことから,本キットは WSV の迅速かつ,簡易な検出器材として有用であると考えられた。
  • 郷 譲治, 永井 清仁, 本城 凡夫
    2009 年 57 巻 3 号 p. 449-453
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    貧酸素海水および硫化水素含有貧酸素海水中でのアコヤガイの殻体運動をホール素子センサーを用いて測定した。その結果,アコヤガイは23°Cにおいて溶存酸素濃度の1.5 mg/l から正常海水とは異なる鋭いスパイク波形を示す異常な殻体運動を示し,0.5 mg/l では同じ波形の殻体運動を更に高頻度で示した。一方,硫化物濃度0.88 mg/l の硫化水素含有貧酸素海水中でアコヤガイは台形状の波形を特徴とする殻体運動を示し,正常時や貧酸素海水中の殻体運動の波形と異なっていた。このように,アコヤガイは貧酸素海水や硫化水素含有貧酸素海水中でそれぞれ正常時とは異なる殻体運動を行うことが判明した。養殖現場海域で本方法を運用できればアコヤガイの殻体運動波形から貧酸素や硫化水素の発生を識別でき,漁場環境の監視に応用可能であると考えられた。
  • 宮本 良太, 勝呂 尚之, 高久 宏佑, 細谷 和海
    2009 年 57 巻 3 号 p. 455-461
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    絶滅危惧種であるヒナモロコ Aphyocypris chinensis の保存技術開発のため,最適な初期餌料系列の検討試験を行なった。親魚に産卵誘発ホルモンを投与して自然産卵させ,得られた仔魚を1水槽50尾ずつ収容して30日間飼育した。餌料は,S型ワムシ,アルテミアのノープリウス幼生,仔稚魚用配合飼料を組み合わせ,4つの試験区を設定した。I区にはワムシ,アルテミア,配合飼料,II区にはワムシ,配合飼料,III区にはアルテミア,配合飼料,IV区には配合飼料のみを給餌した。試験終了後に生残と成長を比較検討したところ,配合飼料単独では初期飼育が困難であり,生物餌料の給餌が必要であることが明らかとなった。しかし,ワムシの給餌は必須ではなく,アルテミアと配合飼料の給餌で育成可能なことが示された。
  • 森岡 伸介
    2009 年 57 巻 3 号 p. 463-468
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    ラオス産キノボリウオ Anabas testudineus の孵化後30日目までの人工種苗を用いて,各耳石の発育および耳石日周輪形成に関して調査した。扁平石と礫石は孵化時より存在するが,星状石は孵化後16日目に体長 8 mm 以上の個体で出現した。扁平石の輪紋は,体長14.0 mm 以下の個体では1本/日の割合で形成され日周輪と考えられたが,それ以上の個体では,特に縁辺部での計数が困難であった。礫石の輪紋は,全個体を通じて計数が可能であり,1本/日の割合で増加し,輪紋は日周輪と考えられた。一方,星状石は,不明瞭な核を有していた。上記の結果,礫石は魚体のサイズに関わらず日周輪の計数が可能であることから,本種では最適な日令形質と結論された。水田及び溜池より捕獲された天然稚魚の日令を,礫石の日周輪を用いて推定し孵化時期を特定したところ,本種はほぼ年間を通じて繁殖していることが明らかとなった。また, 人工種苗及び天然稚魚の体長-日令関係は,Gompertz の成長式で表され,孵化後50日目頃までは急速に成長し,その後成長速度は劣化するものの,孵化後約 5ヶ月で成熟サイズである体長70-80 mm に達するものと推定された。
  • 藤原 孝之, 青木 秀夫, 石川 卓, 渥美 貴史, 西川 久代, 神谷 直明, 古丸 明
    2009 年 57 巻 3 号 p. 469-474
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    携帯型近赤外分光計により,アコヤガイの栄養状態と密接に関係する成分(グリコーゲン,タンパク質および水分)を簡易かつ非破壊的に定量する可能性を検討した。インタラクタンス方式の同軸光ファイバーを備えた市販の近赤外分光計を用いて,殻付きのアコヤガイ,軟体部および貝殻のスペクトルを測定した。730~1000 nm における殻付きの貝と軟体部の2次微分スペクトルは類似しており,また貝殻は特に目立った吸収を示さなかったため,貝殻が殻付きの貝のスペクトルに及ぼす影響は小さいと考えられた。2次微分スペクトルおよび軟体部の各成分測定値を用いて重回帰分析により検量線を作成した。殻付きの貝の測定によるタンパク質および水分の定量精度は軟体部の測定より劣ったが,大まかな選別には使用可能と思われた。グリコーゲンの測定精度は極めて低かった。以上のように,携帯型近赤外分光計によりアコヤガイの栄養状態を生きたままで把握できる可能性が示された。
  • Prasatporn Borisutpeth , Pithai Kanbutra , Chutima Hanjavanit , Kanit ...
    2009 年 57 巻 3 号 p. 475-482
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    菌糸に対する静菌作用は供試した5種類のハーブ(guava, tamarind, salapeepa, betel pepper, red rose)中,guavaとbetel pepperが優れていたが,前者は125~250μg/ml, 後者は125~500μg/ml の濃度が必要であった。その中でも Aphanomyces の菌糸には両剤とも125ppmで菌糸の発育を阻止した。しかし,殺菌性では24時間浸漬した場合の殺菌濃度は両剤ともさらに高濃度が必要であった。遊走子に対する殺菌性は,24時間浸漬した場合,guava と betel pepper で125~250μg/ml であった。遊走子は菌糸よりもハーブに対して高い感受性を示した。しかし,卵に対する毒性試験を行った結果,受精卵と発眼卵では発眼卵の方がハーブに抵抗性を示したが,遊走子を24時間で殺菌する濃度では受精卵と発眼卵に対して,毒性を示した。このことは24時間浸漬では毒性のない範囲で感染源となる遊走子を殺滅させることはできないと判断された。
  • 山元 憲一, 半田 岳志, 茅野 昌大, 白石 亮之
    2009 年 57 巻 3 号 p. 483-488
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    マナマコの呼吸樹での換水量,体腔内圧および総排出腔内圧の変化を同時に連続記録し,その記録から呼吸樹での換水をモデル化した。呼吸樹での換水は次の順で行うと推測した。まず,呼吸樹と総排出腔の境を閉じ,肛門を開き,総排出腔を拡張させて海水を総排出腔内へ吸入し,総排出腔の拡張で増大した体腔内圧で体腔内容積を拡張させる。次いで,肛門を閉じて呼吸樹と総排出腔の境を開き,総排出腔を収縮させて総排出腔から呼吸樹へ海水を移動させる。この時,総排出腔が収縮して海水を呼吸樹へ移動させても,前もって拡張しておいた体腔内での単なる海水の移動であるため,体腔内圧は変化しない。これらの動作を繰り返して吸入を終了させ,小休止する。その後,肛門および呼吸樹と総排出腔の境を開き,それまでに上昇させていた体腔内圧で呼吸樹内の海水を体外に一気に放出させる。
  • 城野 草平, 可児 清隆
    2009 年 57 巻 3 号 p. 489-499
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    1986年から1988年にかけて,チリウニ Loxechinus albus 稚ウニの垂下物への付着生態を調べるためにチロエ島東部沿岸域においてPVC製の試験採苗器を設置した。チリウニ,Pseudechinus magellanicusArbacia dufresnei の 3 種類の稚ウニの付着が認められた。これらは同時期のプランクトン調査で出現したウニ類浮遊幼生と同じ種類であった。チリウニの稚ウニは1986年8月と10月に Yaldad に設置した採苗器のみに付着がみられ,1987年4月時点での付着総数は79個体,大きさは殻径1.1~6.5 mm の範囲であった。採苗器への付着時期は成長から 1 月ごろと推定された。いくつかの採苗器がフジツボの大量付着により沈下し,早い潮流により流失した。
  • 二村 和視, 野田 浩之, 花井 孝之, 岡本 一利
    2009 年 57 巻 3 号 p. 501-505
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    サガラメを2006年12月~2007年5月まで静岡県牧之原市漁港内で養殖し,その生長について調べた。2006年12月~2007年4月までノレン式(養殖水深1.3~2.3 m)で養殖すると,期間を通して順調に生長し,葉長23 mm,葉幅53 mm まで達し,水深1.3および2.3 m 付近における藻体の葉長・葉幅に差はなかった。1月下旬に養殖を開始すると,5月19日に葉長226 mm にまで生育したが,その後は減少して5月30日には142 mm となった。以上の結果から,本養殖海域では12~5月までにサガラメ幼体が順調に生育できることが明らかとなった。
  • 岩下 恭朗, 鈴木 伸洋, 松成 宏之, 杉田 毅, 山本 剛史
    2009 年 57 巻 3 号 p. 507-512
    発行日: 2009/09/20
    公開日: 2012/09/26
    ジャーナル フリー
    大豆油粕(SBM)主体飼料を給餌したニジマスに生じる肝臓の組織変性と胆汁中のタウロケノデオキシコール酸(CDC-T)の増加との関連を明らかにするため,CDC-Tを添加したカゼイン主体半精製飼料を6週間給餌したニジマスの肝臓組織と胆汁塩組成について検討した。SBM主体飼料区およびCDC-Tを0.5%添加した飼料区(0.5CDC-T区)では胆のう胆汁中のCDC-Tの割合が対照飼料区より増加していた。CDC-Tを0.05%添加した飼料区では肝細胞に萎縮がみられなかったが,0.5%CDC-T区では肝細胞の萎縮が認められ,その組織像はSBM区に類似していた。以上のことから,SBM飼料を給餌したニジマスの肝臓組織変性には胆汁中のCDC-Tの増加が関与している可能性が考えられた。
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