日本呼吸器外科学会雑誌
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11 巻, 1 号
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  • 富樫 賢一, 吉谷 克雄
    1997 年 11 巻 1 号 p. 2-7
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    縦隔気管支嚢腫の手術適応に関して検討した.15例の手術施行例を, 周囲組織の処理を必要とせず, 単純摘出が可能であった7例 (A群) と, 周囲組織の処理を要した8例 (B群) の2群に分けた.両群間で, 臨床所見, 外科治療, 病理所見につき比較検討した.術前診断率は, A群が85.7%, B群が25%と, A群で高かった.B群で必要とした操作は, 食道筋層欠損部の修復が3例, 気管欠損部の直接縫合が1例, 右主気管支欠損部のパッチ閉鎖が1例, 肺実質損傷部の修復が1例, 胸腺合併切除が1例, 肺分画症合併切除が1例であった.術後病理診断で悪性所見を認めたものはなく, 術後, 再発したものもなかった.A群では, 胸腔鏡手術が可能と思われたが, この群では術前診断率が高いため, 無症状の場合には, 手術適応に関しては, 十分な配慮が必要と思われた.
  • 浦上 年彦, 近藤 薫, 春日井 敏夫, 内田 達男
    1997 年 11 巻 1 号 p. 8-12
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    後縦隔発生の嚢胞性腫瘍に対して3cmミニ開胸併用胸腔鏡手術を施行し, その術野展開を工夫することにより良好な結果が得られた.対象は気管支嚢胞3例, 食道重複症1例, 心嚢憩室1例の計5例.年齢16~59歳.男女比3 : 2.5例中気管支嚢胞の1例は嚢胞壁が破損し摘出困難になったためミニ開胸部を開大したが残りの4例は摘出できた.この手術のポイントはミニ開胸をおく位置と術野を展開するための鉗子口の位置である.鉗子により肺を牽引し術野がうまく展開できれば3cmミニ開胸部より時間的にも通常開胸とほとんど変わらない手術操作が可能であり, 出血が少なく術後創痛もほとんど無い.また美容上からも優れている.同手術は, 自覚症状がほとんど無く良性であることが多い後縦隔の嚢胞性腫瘍に対して有用である.
  • 平野 聡, 本原 敏司, 西部 俊哉, 成田 吉明, 大久保 哲之, 高橋 利幸, 道家 充, 奥芝 俊一, 下沢 英二, 加藤 紘之
    1997 年 11 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    1962年から1993年までに教室で経験した縦隔腫瘍切除例220例中, 病理学的に嚢胞形態をとった83例 (34.3%) につき検討を行った.
    組織型では嚢胞性奇形腫, 先天性嚢腫, 胸腺嚢腫が多く, 全体の約80%を占めた.また, 組織学的に悪性であったものは後縦隔発生の嚢胞腺癌2例 (2.4%) のみであり, その他は全て良性であった.
    胸痛などの臨床症状を有した例は約30%であり, その他は全例胸部X線異常で発見されていた.また, 腫瘍径の大きな奇形腫, 間葉性腫瘍で症状発現率が高かった.
    嚢胞の正診率はMRIが90%と高く, CTの67.6%に比較し有用であった.嚢胞貯留液中腫瘍マーカーの測定では, いくつかの症例CEA, CA19-9などの非特異的な上昇を認め, 各組織型に特有のマーカーを見い出しえなかった.
  • 中村 昭博, 内山 貴堯, 山岡 憲夫, 村岡 昌司, 井手 誠一郎, 近藤 正道, 山下 秀樹
    1997 年 11 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    当科で経験した大細胞癌切除例は31例で, 全肺癌切除例の5.9%であり, このうち5例 (16.1%) が巨細胞型であった.41.9%に自覚症状を有し, 8,000/mm3以上の白血球増多が41.9%にみられた.腫瘍最大径5cm以上が48.4%.病理病期IIIA以上が68%を占めていた. DNA ploidyでは測定22例中19例 (86.4%) と高率にDNA aneuploidを呈していた.治癒切除が可能であったのは17例 (54.8%) であった.切除例の5年生存率は33.2%と扁平上皮癌・腺癌より有意に不良で, 小細胞癌に次ぐ悪性度の高さが示唆されたが, I期での5年生存率は80%であり, 早期例の切除では長期予後も期待できる.
  • 西 英行
    1997 年 11 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    心停止ドナー肺に, 100%O2によるin飴teおよび, 灌流液に二つの添加物を加えることにより, 保存時間の延長を犬両肺移植モデルにて検討した.ドナーはヘパリン化することなくKLCにて犠牲死後, 100%O2にてinflateし2時間室温下に放置した.肺をEPC (a phosphate diester linkage of Vit.Eand Vit.C) 添加LPDG (low potassium dextran glucose) 液でnushし, 量後にウロキナーゼを注入した。摘出後EPC添加LPDG液に単純浸漬保存した.保存後, 心肺バイパスを使用せず両肺移植した.移植後各群とも経時的に6時間まで移植肺機能を評価した.TIT (totalischemictime) にて以下の3群に分けた.1群 (n=6) : 12時間, 2群 (n=6) : 18時間, 3群 (n=6) : 24時間。各群とも前例6時間生存した.1, 2群とも呼吸機能良好で, 血行動態も安定していた.3群のうち2例は, 呼吸機能不良であった.以上より, 心停止後2時間の肺を18時間保存できる可能性が示唆された.
  • 樋口 光徳, 郡司 崇志, 鈴木 弘行, 櫛田 正男, 矢内 康一, 管野 隆三, 大石 明雄, 薄場 彰, 井上 仁, 元木 良一
    1997 年 11 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    検診で胸部異常陰影を指摘され原発性結節性肺アミロイドーシスと診断された48歳の男性を経験したので報告する。胸部X線写真およびCT上, 両側肺に石灰化を伴う多発性の結節影 (2~20mm) を認めた.術前, 気管支鏡下検査で確定診断が得られず, 胸腔鏡下に最も大きな左肺S9の腫瘍 (20×18×15mm) を切除した.組織学的検索でAA型アミロイドーシスであることが判明した。術後の全身検索では他臓器にアミロイドの沈着を認めず, 原発性肺アミロイドーシスと診断した.退院後16ヵ月の現在も特記すべき症状の変化もなく経過良好である.原発性肺アミロイドーシスは術前に診断を確定することは困難であるが肺癌との鑑別および確定診断のため胸腔鏡検査は有用である.また, AA型アミロイドーシスは, 結合織疾患や原発性マクログロブリン血症, あるいは悪性リンパ腫などを併発することがあり, 長期にわたる経過観察が必要である.
  • 神崎 正人, 大貫 恭正, 塩入 誠信, 佐藤 和弘, 西内 正樹, 舘林 孝幸, 笹野 進, 兼安 秀人, 村杉 雅秀, 毛井 純一, 新 ...
    1997 年 11 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    36歳, 男性, 6ヵ月前より血痰が出現し, 以後繰り返していた.3ヵ月前より喀血を呈し, 外来受診した.気管支鏡所見では, 主として右B1より出血を認め, 胸部CT上, 右肺S1, S2に嚢胞を認め, 血液吸引像が著明であった.術前, 悪性腫瘍も考慮し, 喀痰細胞診, 擦過細胞診, 気管支肺胞洗浄, 気管支生検を施行したが陰性であった.喀血, 呼吸状態悪化, 高度の貧血のため, 緊急右肺上葉切除術および腫大した肺門リンパ節を切除した.病理標本にて, 未分化肺癌 (Sarcomatoid carcinoma) と診断された.術後, 喀血は消失し, 経過良好で, 術後18病日歩行退院した.
  • 真崎 義隆, 五味淵 誠, 原口 秀司, 林 晃一, 秋山 博彦, 田中 茂夫
    1997 年 11 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    27歳, 独身女性.呼吸困難にて来院.胸部CTで縦隔の境界明瞭な巨大腫瘍を認め, 気管は圧迫され狭窄していた.胸部MRIではT1, T2強調共に高信号を示し, また分葉構造を呈していた.悪性所見を認めず気管支嚢腫と診断した.良性腫瘍なので, 後側方切開開胸での腫瘍摘出術は美容的観点から選択しずらかった.胸腔鏡下摘出術も腫瘍存在部位, 範囲から困難と判断した.そのため摘出術でなく, 腫瘍内エタノール注入療法を考案した.頚部襟状切開で腫瘍上縁に到達し気管支鏡を嚢腫内に挿入, 同時に経食道超音波検査を併用し嚢腫内隔壁構造を確認.TBLB用鉗子で隔壁構造を破壊し単腔化を図った.術中嚢腫造影検査で他臓器と交通のないことを確認した後, 嚢腫内に純エタノールを注入し, 嚢腫内膜を固定した.術後一過性に慶声を認めた以外に合併症もなく, 腫瘍は著明に縮小し呼吸困難も消失した.
  • 笹井 巧, 真崎 義隆, 石井 庸介
    1997 年 11 巻 1 号 p. 49-54
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    32歳, 女性, ハンドル外傷によって頚部~胸部気管に約5cmにわたり損傷を受け, それによって生1じた外傷性気管狭窄に対して, 受傷6日後に金属ステントexpandabl emetallic stent (EMS) を挿入した.挿入直後より呼吸困難は著明に改善したが, 9日後の気管支ファイバーで金属ステントの隙間から肉芽増殖を認め, それと同時に呼吸困難も増悪した.過剰肉芽を週一回, 高周波で焼灼切除したが, 金属ステント挿入後32日目に気道閉塞を生じ気管内挿管を行い, 20日後に全身麻酔下にてDumonステントを留置した.Dumonステント留置直後に麻酔器から離脱し呼吸困難も消失した.退院後約1年経過観察しているがステントの脱落, 再狭窄もなく日常生活に復帰している.近年, 気管気管支の狭窄に対して各種ステントが使用されているが, 良性疾患に対する使用例は少なく, 本症例のように外傷性気管狭窄に対する使用の報告例はない.ステントの長期間留置例の報告も少なく, 今後長期間にわたる経過観察が必要と思われる.
  • 田畑 俊治, 谷田 達男, 小野 貞文, 野田 雅史, 星川 康, 岩淵 悟, 半田 政志, 岡庭 群二, 藤村 重文
    1997 年 11 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    肥大性肺性骨関節症 (pulmonaryhy pertrophic osteoarthropathy : PHO) を合併した原発性肺癌の2手術症例を経験したので報告する.2症例とも男性で, 四肢の関節痛, ばち状指を主訴として当院を受診した.胸部X線写真上, 異常陰影を指摘され精査目的にて入院となった.術前の気管支鏡検査にて癌細胞が検出されたこと, 骨単純X写真上, 骨膜反応を認めたこと, 骨シソチグラフィーでは両側の肘関節, 肩関節, 手関節, 膝関節, 足関節に対称性の異常集積を認めたことから, PHO を合併した原発性肺癌と診断し, 肺葉切除術及び縦隔リンパ節郭清 (R2b) を施行した.病理所見は低分化型腺癌と大細胞癌で2症例ともStage I (pT2N0M0) であった.術後, 関節痛は速やかに改善し, 骨シンチグラフィーにおける異常集積も減衰した.PHOを合併した肺癌の診断並びに術後経過追跡には関節所見並びに骨シンチグラフィーが有用であった.
  • 長坂 不二夫, 大畑 正昭, 飯田 守, 大森 一光, 中岡 康, 北村 一雄, 小笠原 弘二, 並木 義夫, 村松 高, 西村 理, 羽賀 ...
    1997 年 11 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    両側の同時多発性肺癌に対し, 胸骨正中切開により一期的に両側上葉切除術を施行して, 経過良好な一例を経験した.症例は63才の男性で, 右肺は腺扁平上皮癌, 左肺は気管支内腔に突出する低分化型扁平上皮癌であり, 病理病期は左右共にTIN0M0, Stage Iであった.両側肺葉切除は術後の呼吸不全等の合併症の発生が多いといわれているが, 手術操作については特に左上葉切除はやや困難であるものの, 胸骨正中切開による手術が良好な結果をもたらしたものと考えられた.
  • 中出 雅治, 井関 一海, 谷口 哲郎, 阪井 宏彰, 渡辺 裕介, 弘野 慶次郎
    1997 年 11 巻 1 号 p. 66-73
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    気管支結核後の気管支狭窄に対して気管支鏡下にバルーンカテーテルを用いた拡張術が奏功した症例を報告した.症例は18歳女性, 左S6の肺結核と左主気管支の気管支結核で, 化学療法により結核は非活動性と考えられたが, 気管分岐部直下から約1.8cmにわたり左主気管支内腔の狭窄 (針穴大) が残った.拡張術後2年以上の経過観察で再狭窄を認めず6~7mmの内径を保つことが確認出来た.血液ガス分析, 呼吸機能検査, 肺血流シンチ等による客観的な検査値も, 従来の観血的治療と比較して遜色がなく, 病変が主気管支に限局する場合, この手技が本症の良い適応であり, 観血的治療を試みる前に考慮してよい治療法と考えられた.
  • 多賀 聡, 井上 隆, 永島 明, 安元 公正
    1997 年 11 巻 1 号 p. 74-80
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は, 血痰を主訴とする55歳の女性.胸部X線写真及び胸部CT写真上, 左下葉異常陰影を認めたが, 確定診断に至らず, 肺癌を疑い手術を施行した.術中所見では, 腫瘤性病変や気管支肺胞系の異常を認めず, 下行大動脈から左肺底区に流入する一本の異常動脈を確認したため, 肺底区動脈体動脈起始症の診断で, 異常血管切離と左下葉切除術を施行した.
    近年, 肺分画症から独立した疾患として扱われるようになってきた肺底区動脈体動脈起始症の一症例を経験したので, 本邦報告例の文献的考察とともに呈示する.
  • 池谷 朋彦, 杉山 茂樹, 星 永進, 安西 吉行
    1997 年 11 巻 1 号 p. 81-84
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は27歳男性, 検診胸部X線写真で異常陰影を発見された.胸部X線写真, CT検査にて右肺上葉S2領域に直径約2cm大の境界明瞭な円形の結節性腫瘤像を認めた.気管支鏡下肺生検を施行し病理組織診にて悪性非上皮性腫瘍, 特に平滑筋肉腫が疑われた.全身検索上, 他臓器に原発巣は認められず, 肺原発の平滑筋肉腫と判断し右上葉切除およびリンパ節郭清術を施行した.最大径2.3cm, 黄白色, 充実性, 弾性硬の腫瘍で, 病理組織では紡錘型細胞が密に束状配列を形成し核分裂像も散見され, azan染色で紫染, van Gierson染色で黄染されたことより肺平滑筋肉腫と診断した.本疾患の本邦報告例は90例を越えているが, 術前に気管支鏡下肺生検で診断し得た報告は少なく, 本例が5例目であった.
  • 仲宗根 朝紀, 君野 孝二, 山下 秀樹, 岸川 正大
    1997 年 11 巻 1 号 p. 85-89
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は51歳男性.主訴は胸部X線上異常陰影.胸部X線, CTで右肺門に径2.5cmの腫瘤影を認めた.確定診断が得られず, 審査開胸を施行した.腫瘍は右中葉気管支と下葉支との間に存在していた.腫瘍の術中迅速組織診では悪性所見は認めなかったが, 術後の診断は, 原発巣不明癌の右肺葉間リンパ節 (#11i) 転移であった.術後1年目に, 同一部位に再発した.腫瘍は化学療法後縮小し, 右下葉切除術兼縦隔リンパ節郭清を加えた.摘出した下葉及びリンパ節には異常所見は認められなかった.再手術後7ヵ月目に, 同一部位に2度目の再発を来たし, CEAの増加も認めた.経気管支針吸引細胞診では低分化腺癌の診断であった.腫瘍は化学療法後縮小し, CEAも正常化した.現在, 全身状態良好で, 放射線療法を施行中である.
  • 中村 広繁, 荒木 邦夫, 谷口 雄司, 鈴木 喜雅, 古谷 素敏, 石黒 清介, 森 透
    1997 年 11 巻 1 号 p. 90-94
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    左迷走神経由来の神経鞘腫に対して胸腔鏡下摘出術を施行した.症例は76歳の女性で, 胸部X線にて左肺門部に腫瘤陰影を認めた.胸部CTでは下行大動脈側方に葉間肺動脈を圧迫する大きさ35×35mmの腫瘤を認め, 造影効果陽性であった.胸腔鏡下に観察すると, 腫瘤は肺下葉と軽い癒着を認め, 癒着を剥離後, 縦隔胸膜を切離した.腫瘤は迷走神経との連続性を認めたため, 鏡視下に腫瘤の被膜を剥離し, 迷走神経を温存して被膜下核出術を施行した.病理診断は良性神経鞘腫で術後合併症はなかった.胸腔内迷走神経由来の神経鞘腫は比較的まれで本邦報告例は自験例を含めて39例である.手術手技上, 迷走神経の切断が問題となるが, 鏡視下での神経を温存した被膜下核出術も年齢や悪性か否かを考慮すればよい術式の一つと考えられる.
  • 原口 秀司, 小泉 潔, 秋山 博彦, 三上 巌, 福島 光浩, 飯田 竹美, 藤井 正大, 佐藤 泰雄, 鈴木 世考, 田中 茂夫
    1997 年 11 巻 1 号 p. 95-99
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    症例は48歳の女性.主訴は咳嗽, 喀痰, 発熱, 血痰.気管支拡張症の診断にて保存的療法を受けていたが, さらに血疾出現したため精査を受け, 気管支結石症と診断された.気管支結石は左下葉気管支入口部に陥頓し可動性なく, 気管支鏡では摘出不可能であった.その後も症状を繰り返すため, 左肺下葉切除術, 結石摘出術, 石灰化リンパ節摘出術を施行した.術後経過は良好であった.気管支結石は家族歴, 既往歴, 石灰化リンパ節の存在, 結石の形状, 成分より結核との関連が疑われた.病理組織学的には, 左下葉は無気肺, 線維化が目立ち, 気管支を中心として小膿瘍が散在, その中にグラム染色陽性, メセナミン銀陽性の分枝を持つ糸状構造物を認め肺ノカルジア症が考えられたが, 培養で同定されず, ノカルジア症の疑いと診断された.
  • 飯田 豊, 田辺 博, 酒井 聡, 廣瀬 一
    1997 年 11 巻 1 号 p. 100-103
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    今回我々は後縦隔腫瘍と鑑捌が困難であった半奇静脈拡張の1例を経験したので報告する.症例は76歳, 女性.人間ドックの胸部CT検査にて後縦隔の異常陰影を指摘された.後縦隔に発生した神経性腫瘍を疑い開胸手術を施行したところ胸椎椎体, 下行大動脈に接して半奇静脈が50×30×25mm大に拡張していた.術中所見にて血栓形成, 破裂の危険はないと判断し, 手術操作は加えず閉胸した.後縦隔腫瘍の鑑別疾患として奇静脈瘤の報告は少なからず認められるが, 自験例のような半奇静脈拡張は極めて稀と考えられた.
  • 日置 巌雄, 馬瀬 泰美, 高尾 仁二, 木村 誠, 並河 尚二, 矢田 公
    1997 年 11 巻 1 号 p. 104-108
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    縦隔腫瘍として極めて稀な平滑筋肉腫の1例を経験した.症例は67歳の男性で, 発熱, 全身倦怠感を主訴に近医を受診し, 胸部X線写真にて縦隔腫瘍を指摘され, 手術目的で当科紹介入院となった.胸部造影CTにて内部が不規則に造影される最大径10cm大の前縦隔腫瘍で, 一部心膜への浸潤を疑う胸腺腫の疑いで手術を施行した.腫瘍は被膜を有し, 容易に摘出できた.迅速病理では肉腫との診断で, 免疫組織学的検査にてsmooth muscle actin抗体が陽性に出て縦隔原発平滑筋肉腫と診断された.術後補助療法として放射線療法を行い, 退院した.術後1年の現在, 再発の兆しなく健在である.
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