日本応用動物昆虫学会誌
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32 巻, 2 号
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  • 河野 義明
    1988 年 32 巻 2 号 p. 97-103
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ニジュウヤホシテントウ成虫の体液,脂肪体の蛋白質をポリアクリルアミド・ゲル電気泳動によって分離し,それぞれの蛋白質成分の前休眠期および脂肪体発達に伴う変化を観察した。この昆虫では,雌特異的なvitellogenin様蛋白質は認められたが,それらは卵巣蛋白質の主要成分ではなかった。休眠に特異的な蛋白質は認められなかったが,ほとんどの体液,および,脂肪体蛋白質成分は前休眠期の進行につれて増加した。体液蛋白質の中に脂肪体が発達すると消失するものも認められ,一成分は光周期感受性消失後に消失した。体液中には色素蛋白質と呼ぶべきものが存在した。これらは羽化時には色素と結合しておらず,摂食が始まると色素と結合して電気泳動上の相対距離が小さいほうへ変化することが明らかになった。
  • 渡辺 彰, 中村 和雄, 松岡 茂
    1988 年 32 巻 2 号 p. 104-110
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    マネキン人形の顔がキジバトを忌避させる効果を知るため,網室の中で実験を行った。その結果,
    1) 他所に餌があるときには,顔を布で覆ったマネキンに対してキジバトは強い忌避を示した。
    2) しかし,餌をマネキンの横だけに限定すると,忌避効果は急速に減少した。
    3) 顔を顕わしたマネキンと顔を覆ったマネキンとの間で忌避効果を比較したところ,前者のほうがいくぶん強い傾向が認められたものの,その差はそれほど大きくなかった。
    4) これらのことから,マネキン人形の顔に対するキジバトの忌避反応は,生物学的な意味をもたない新奇な刺激に対する反応に比べて,とくに強いとはいえない。
    5) 新しい刺激に対して生じる鳥の慣れには,鳥の飢えの強さが大きく関与している可能性が示唆された。
  • II. アザミウマ類の飛翔活動
    高橋 敬一, 松村 雄, 工藤 巖
    1988 年 32 巻 2 号 p. 111-114
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    栃木県北部の扇状地において,非誘引性の移動式トラップの一種であるトラックトラップを用いて飛翔中の昆虫を採集した。今回はアザミウマ類の捕獲消長について報告する。
    1) 3科21属31種に属する304個体のアザミウマが採集された。最も採集数の多かったのは,トゲナシクダアザミウマEcacanthothrips inarmatus KUROSAWAであり,次いでキイロハナアザミウマThrips flavus SCHRANK,ヒラズハナアザミウマFrankliniella intonsa (TRYBOM)の順であった。
    2) トゲナシクダアザミウマ,Holothrips sp., Chilothrips yamatensis KUDÔを除いて,他の種では雄の割合が著しく少なく,31種中22種では雄がまったく採集されなかった。
    3) 9月をピークとして,4月から11月にかけて多くの種がトラックトラップにより採集された。
  • 高田 肇
    1988 年 32 巻 2 号 p. 115-119
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    タバコでは,モモアカアブラムシのいわゆる“タバコ型”が,どのような過程で選択されるかを明らかにするため,タバコ型と非タバコ型クローンを供試し,タバコとジャガイモにおける幼虫期の発育と生存率,ならびに有翅胎生雌成虫の寿命と産子数を調べた。タバコでは,タバコ型はジャガイモで飼育したときとくらべ,発育がやや遅延したものの幼虫期に死亡する個体はほとんどなかったが,非タバコ型は発育が大幅に遅延し,3齢幼虫期までに約90%の個体が死亡した。また,非タバコ型の有翅虫は,タバコ型より,タバコでは明らかに短命・少産であった。これらの結果から非タバコ型はタバコでは,まず飛来した有翅虫が子虫を少数しか産出せず,さらに次世代幼虫も発育過程で淘汰されるので,結局タバコにはタバコ型のみが生き残ることになる,と考えられる。タバコ抵抗性に関与する形質について考察した。
  • 嶋田 透, 山内 英男, 小林 正彦
    1988 年 32 巻 2 号 p. 120-125
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ヤママユガとサクサンが越冬休眠する形態は,前者では胚子,後者では蛹である。ヤママユガ雌×サクサン雄のF1(正交雑)とサクサン雌×ヤママユガ雄のF1(逆交雑)の発育経過を,12L-12D (25°C)(短日)と15L-9D (25°C)(長日)の2条件のもとで調査した。胚子期の長さ(産卵から孵化までの日数)は,正交雑・逆交雑,および短日・長日で大差がなく,正常胚子では18日以内であった。休眠する胚子は認められなかった。幼虫期の長さ(孵化から吐糸開始までの日数)は,平均で正交雑雌40日,同雄31日,逆交雑雌33日,同雄30日であり,短日・長日の差はわずかであった。吐糸開始から100日を経ても羽化しない場合を蛹休眠と見なせば,休眠率は,正交雑短日雌100%,同雄91%,正交雑長日雌100%,同雄63%,逆交雑短日雌15%,同雄95%,逆交雑長日雌95%,同雄97%であった。以上の結果から,ヤママユガとサクサンの休眠を支配する遺伝的要因について考察した。
  • 谷口 昌弘, 仲盛 広明, 垣花 広幸, 与儀 喜雄, 瑞慶山 浩
    1988 年 32 巻 2 号 p. 126-128
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ウリミバエの雄誘引物質キュールアとnaled (BRP)の混合剤を木綿ロープ(直径0.7cm,長さ5.0cm)に吸着させ(キュールア・ロープ),ヘリコプターおよび人手により空中と地上から散布を行い,野外に生息する雄個体群抑圧の効果を検討した。キュールア・ロープ剤の散布密度は1ha当たり約40本とし,1982年8月から11月にかけて月1回の割合で計4回散布した。その結果,初回の散布によりトラップに誘殺された防除区の雄の個体数は対照区の約1/6に低下し,トラップごとの日当り平均誘殺数は,3回目の薬剤散布後の調査から4か月間対照区と比較して有意に低くなった。最終散布後の防除区の誘殺数は対照区の1/100であった。以上の結果,不妊虫放飼法によるウリミバエの根絶計画において,不妊虫の放飼に先駆けてキュールア・ロープ剤によって野生雄を防除することは,不妊虫散飼法を効果的に進めるうえで有効な手段になると考えられた。
  • 満井 順, 国見 裕久
    1988 年 32 巻 2 号 p. 129-134
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アワヨトウの相変異により生じた体色の淡い低密度型幼虫と,体色の黒化した高密度型幼虫の緑きょう病菌に対する感染抵抗性を調査した。
    1) 1齢眠から個体飼育(単独飼育幼虫)あるいは20頭育(集合飼育幼虫)した6齢脱皮直後の幼虫に緑きょう病菌分生胞子を塗布接種し,接種後もそのままの密度条件で飼育を継続したところ,単独飼育幼虫は集合飼育幼虫に比べ感染致死率が高く,致死までの時間も短かった。
    2) 7齢脱皮直後の単独飼育幼虫と集合飼育幼虫に,緑きょう病菌を塗布接種し,接種後はいずれも個体飼育したところ,単独飼育幼虫は集合飼育幼虫に比べ感染致死率が高く,致死までの時間も短かった。
    3) 集合飼育して得られた6齢幼虫から体色の淡い個体と体色の黒化した幼虫を選び出し,緑きょう病菌を塗布接種したところ,体色の淡い幼虫は体色の黒化した幼虫に比べ感染致死率が高く,致死までの時間も短かった。
    4) 単独あるいは集合飼育した6齢幼虫に緑きょう病菌を注射接種したところ,単独飼育虫と集合飼育虫に緑きょう病菌に対する感受性の差異は,認められなかった。
    5) 以上のことから,アワヨトウの高密度型幼虫は,低密度型幼虫に比べ緑きょう病菌に対し抵抗性であり,抵抗性の差は,幼虫表皮の生体防御機能のなんらかの違いにより生ずると推察された。
  • 中尾 弘志, 黒佐 和義
    1988 年 32 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    主として北海道の野菜類から得られたコナダニ類のうち,次の4種を日本初記録種として報告した。Tyrophagus similis VOLGIN, 1949(ホウレンソウケナガコナダニ);T. perniciosus ZACHVATKIN, 1941(オオケナガコナダニ);T. neiswanderi JOHNSTON et BRUCE, 1965(オンシツケナガコナダニ);Mycetoglyphus fungivorus OUDEMANS, 1932(ニセケナガコナダニ)。
    Mycetoglyphus属は日本から最初の記録である。
    T. similisはホウレンソウ,ウリ類,トウモロコシに,T. perniciosusはホウレンソウ,ウリ類に,M. fungivorusはホウレンソウに寄生し被害を与えた。T. neiswanderiは主として温室・ハウス内で発生が認められ,キュウリで被害があった。
  • 望月 雅俊
    1988 年 32 巻 2 号 p. 143-146
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    As the parent plants withered in autumn, adult females moved to the rosette. Throughout the winter, all stages of T. desertorum were observed on the rosette, and adult females survived winter without entering diapause. Laboratory experiments also confirmed the non-diapausing nature of this population.
  • 行成 正昭
    1988 年 32 巻 2 号 p. 146-148
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 高明, 河野 頼子, 大坪 敏朗, 津田 重典, 辻 孝三, 新庄 五朗
    1988 年 32 巻 2 号 p. 148-151
    発行日: 1988/05/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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