アワヨトウの相変異により生じた体色の淡い低密度型幼虫と,体色の黒化した高密度型幼虫の緑きょう病菌に対する感染抵抗性を調査した。
1) 1齢眠から個体飼育(単独飼育幼虫)あるいは20頭育(集合飼育幼虫)した6齢脱皮直後の幼虫に緑きょう病菌分生胞子を塗布接種し,接種後もそのままの密度条件で飼育を継続したところ,単独飼育幼虫は集合飼育幼虫に比べ感染致死率が高く,致死までの時間も短かった。
2) 7齢脱皮直後の単独飼育幼虫と集合飼育幼虫に,緑きょう病菌を塗布接種し,接種後はいずれも個体飼育したところ,単独飼育幼虫は集合飼育幼虫に比べ感染致死率が高く,致死までの時間も短かった。
3) 集合飼育して得られた6齢幼虫から体色の淡い個体と体色の黒化した幼虫を選び出し,緑きょう病菌を塗布接種したところ,体色の淡い幼虫は体色の黒化した幼虫に比べ感染致死率が高く,致死までの時間も短かった。
4) 単独あるいは集合飼育した6齢幼虫に緑きょう病菌を注射接種したところ,単独飼育虫と集合飼育虫に緑きょう病菌に対する感受性の差異は,認められなかった。
5) 以上のことから,アワヨトウの高密度型幼虫は,低密度型幼虫に比べ緑きょう病菌に対し抵抗性であり,抵抗性の差は,幼虫表皮の生体防御機能のなんらかの違いにより生ずると推察された。
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