日本応用動物昆虫学会誌
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40 巻, 1 号
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  • 伊藤 賢介
    1996 年 40 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    スギ生立木32本にスギカミキリ孵化幼虫を異なる密度で接種し,接種木の半数では天敵を排除して,幼虫の死亡経過を比較した。
    天敵による死亡は樹皮部だけを摂食している幼虫期には小さく,辺材に食入してから蛹室を形成するまでの幼虫期に大きいと推測された。辺材食入後の生存率は幼虫密度に関わりなく極めて低かった。
    天敵を排除した木では,接種後に枯死した木を除き,辺材食入幼虫および蛹室形成幼虫の密度が各々一定のレベルに収束する傾向を示し,生存率は密度依存的に低下した。この幼虫密度の収束傾向について幼虫間の発育速度のばらつきおよびスギの抵抗性反応としての樹脂の分泌という観点から考察した。
  • 大崎 憲生, 青木 征男, 梅津 憲治
    1996 年 40 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カーバメート系殺虫剤ベンフラカルブは,線虫防除剤として世界各地で使用されているカルボフランから誘導された化合物である。これら2剤について,日本でも重要な植物寄生線虫であるサツマイモネコブセンチュウ第2期幼虫の運動,トマトの根への集合および侵入に対する作用を比較した。ベンフラカルブは100ppmでも幼虫の運動を阻害する活性を示さなかったが,5ppmでトマトの根への集合を阻害し,カルボフランより弱いものの根への侵入も阻害した。一方,カルボフランは10ppmで幼虫の運動を阻害し,5ppmでは根への侵入を阻害したが幼虫の運動および根への集合を阻害しなかった。以上のことから,ベンフラカルブは誘導化することによって,カルボフランの有する制線虫作用のうち,幼虫の運動を阻害する活性を失い,根への侵入を阻害する活性は低下した。しかし,幼虫の根への集合を阻害する活性が新たに付与されたものと考えられる。
  • 中尾 史郎
    1996 年 40 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    クサキイロアザミウマとAnaphothrips asahiの相対翅長変異および翅型構成比率の季節的推移を明らかにするため,京都市内においてイネ科植物およびヨモギに生息する成虫をそれぞれ1991年6月から1992年5月までと1990年3月から1992年3月まで採集した。
    1) クサキイロアザミウマとA. asahiの成虫は寄主であるイネ科植物で春季から秋季にかけて継続的に採集されたが,冬季にはほとんど採集されなかった。一方,これら2種アザミウマの寄主でないと考えられるヨモギでは,5月から9月まではまったく採集されなかったが,10月および1月から4月に少数が採集された。このことから,これら2種アザミウマ成虫は春季から秋季にかけて寄主植物上に生息するが,冬季には繁殖を停止して,大部分が寄主植物を離れることが示唆された。
    2) クサキイロアザミウマ雌成虫には長翅型,短翅型および中間型,A. asahi雌雄成虫には短翅型が発現することを認めた。クサキイロアザミウマでは,早春に採集した個体の大部分は短翅型であり,長翅型の構成比率は晩春と晩夏にそれぞれ増加する傾向があった。このような翅型構成比率の季節的推移をもたらす要因について議論した。
  • 新井 朋徳
    1996 年 40 巻 1 号 p. 25-34
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カンキツを加害する3種のコナカイガラムシをウンシュウミカンの葉で飼育し,発育速度と温度との関係を比較調査した。
    1) ミカンヒメコナカイガラムシの雌幼虫期間と産卵前期間における発育零点はそれぞれ11.7, 10.0°C,有効積算温度は338日度,302日度であった。フジコナカイガラムシでは8.0°C, 11.7°C,および519日度,312日度,ミカンコナカイガラムシでは7.7°C, 8.0°C,および401日度,378日度であった。
    2) 3種のコナカイガラムシとも30°Cの条件下では幼虫の発育が遅延し,産卵するまでに至った虫は見られなかった。
    3) ミカンヒメコナカイガラムシの平均産卵数は約200であり,20∼27.5°Cの範囲における卵期間は温度に関係なく平均2日であった。フジコナカイガラムシ,ミカンコナカイガラムシの産卵数は100未満であり,卵期間は前種で3∼5日,後種で5∼10日であった。
    4) 恒温条件で求めたミカンヒメコナカイガラムシの発育零点と有効積算温度を用い,各齢の発生時期を気温から計算した結果,露地における実際の発生時期とほぼ一致した。
  • 植松 秀男
    1996 年 40 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    コナガはナタネの幼植物に産卵するとき本葉より子葉を選好する傾向が見られた。幼植物(本葉数3枚)の子葉上で孵化した幼虫はすぐに芯葉または若い本葉に移動し,摂食行動を開始した。幼虫は成長の過程で通常4∼8回,葉から葉への移動を繰り返した。餌あるいは休息場所として最も多く利用された葉位は,若齢幼虫では芯葉,中・老齢幼虫では第2本葉と第3本葉であった。子葉は全く摂食されなかった。子葉で飼育したコナガは本葉で飼育したものに比べ体が小さかった。これらの結果から子葉はコナガ幼虫の餌として本葉より劣ると考えられた。
  • 秋野 順治, 望月 理絵, 森本 雅之, 山岡 亮平
    1996 年 40 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    アリ類25種との共生が知られているアリヅカコオロギMyrmecophilus sp.は,敏捷性によって働きアリからの攻撃を免れている。さらに加えて,アリ類の同巣認識フェロモンである体表炭化水素組成比を化学的に擬態することによって,働きアリを欺いていることが明らかになった。コオロギが擬態によって獲得したアリ体表炭化水素成分量は,コオロギをアリから隔離して単独飼育すると減少した。このことは,アリ体表炭化水素成分をコオロギが奪取することによって,アリヅカコオロギのアリに対する化学擬態が成立する可能性を示唆する。また,アリ体表炭化水素を触角で認識する,あるいは舐め取るだけでは,アリヅカコオロギはアリ体表炭化水素組成を化学擬態することができなかった。これらの結果から,直接的な体の接触が化学擬態を成立させるための主要因として作用しているものと考えられる。
  • 小崎 晶子, 山岡 亮平
    1996 年 40 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    本研究では,テントウムシの足跡物質の構成成分が種によって異なることが明らかとなった。オオニジュウヤホシテントウとニジュウヤホシテントウは近い種であり,炭化水素類とモノエステル類がその主成分であった。一方,ナナホシテントウは炭化水素類のみより成っていた。そして,足跡物質の炭化水素類とモノエステル類には,メチル側鎖や不飽和結合が存在した。
    また,足跡物質は脚の第1フ節,第2フ節からのみ分泌されると考えられたが,虫体成分と足跡物質に違いは認められなかった。しかし,脚のフ節部分からは他の虫体部分と比較すると,多量の脂質成分が分泌されることが明らかとなった。
  • 芦原 亘
    1996 年 40 巻 1 号 p. 55-59
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    カンザワハダニTetranychus kanzawai KISHIDAのブドウ5品種における発育と産卵,並びに殺虫剤散布(permcthrimとcarbarylをそれぞれ2回)を行った4品種における露地での発生消長を比較した。ふ化幼虫の発育率はマスカット・ベーリーA,デラウエアで高く,80%以上が成虫に発育した。巨峰では約1/4が成虫に発育した。ネオ・マスカットとマスカット・オブ・アレキサンドリアではほとんどが幼虫期に死亡もしくは供試葉から逃亡した。成虫に発育した個体の産卵数はマスカット・ベーリーAと巨峰で多く,デラウエアでやや少ない傾向を示したが,巨峰とデラウエア間では有意差が認められなかった。露地栽培ブドウでの寄生密度は品種と薬剤散布の有無によって大きく異なっていた。調査終了までの累積寄生密度はマスカット・ベーリーA>デラウエア=巨峰>キャンベル・アーリー>ネオ・マスカットの順に発生が多かった。このうちネオ・マスカットではハダニがほとんど増殖しなかった。殺虫剤無散布区ではいずれの品種でも発生が少なく,寄生数は1葉当たり平均3個体を越えることはなかった。殺虫剤散布区と無散布区間の天敵類の発生量や消長の差はほとんど認められなかった。
  • 広瀬 拓也, 浜 弘司
    1996 年 40 巻 1 号 p. 61-69
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    性フェロモントラップで捕獲したハスモンヨトウ雄成虫を用いた薬剤感受性のモニタリング法を開発するため,薬剤感受性系統と抵抗性系統を用い,3齢幼虫と雄成虫のmethomylおよびpermethrinに対する感受性を比較するとともに,雄成虫の日齢,回収法,薬剤処理方法と薬剤感受性の関係を検討し,以下の結果を得た。
    1) 局所施用法による検定では,抵抗性系統のmethomylに対する抵抗性比は3齢幼虫で約1,000倍,雄成虫では8∼9倍と両者に大きな違いがあった。抵抗性系統のpermethrinに対する抵抗性比は3齢幼虫で41倍,雄成虫では14倍で,両者の違いは比較的小さかった。
    2) ドライフィルム法による検定では,抵抗性系統の成虫のmethomylに対する抵抗性比は8.6倍,permethrinに対する抵抗性比は14倍で,局所施用法による検定結果とほぼ同じであった。
    3) 局所施用法では雄成虫のmethomyl感受性が日齢の経過とともに高まったが,ドライフィルム法では日齢によるmethomyl感受性の違いはほとんど認められなかった。
    4) 性フェロモントラップを7時30分(日出1時間30分後)に回収した場合,トラップ内の気温は24°Cで100%の雄成虫が生存していたが,9時30分(日出3時間30分後)に回収した場合,トラップ内の気温は41°Cに達し,雄成虫の生存率は83.3%に低下した。
    以上の結果から,性フェロモントラップで捕獲,回収した雄成虫を用いた薬剤感受性のモニタリングには,ドライフィルム法が適していることが明らかとなった。
  • 西東 力, 籔田 実男
    1996 年 40 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    V. lecaniiに対する各種殺菌剤の影響を培地上ならびにオンシツコナジラミ幼虫を用いて検討した。
    1) polyoxin, procymidone, sulfur, mepronilおよびcopper hydroxideは培地上で分生子の発芽をほとんど阻害しなかった。分生子にこれらの殺菌剤を加えてオンシツコナジラミ幼虫に接種しても死亡率はほとんど低下しなかった。
    2) triflumizole, chinomethionat, zinebおよびdithianonは培地上で分生子の発芽を強く阻害したが,分生子にこれら殺菌剤を加えてオンシツコナジラミ幼虫に接種した場合は比較的高い死亡率が認められた。
    3) オンシツコナジラミ幼虫に本菌を接種したのち48時間以上が経過すると,triflumizole処理による死亡率の低下は認められなくなった。
    4) polyoxin, sulfur, dithianon, mepronil, procymidone, copper hydroxideなどは培地上で菌糸の発育をほとんど阻害しなかった。本菌で死亡した幼虫をこれらの殺菌剤で処理した場合も,体表への菌糸の発育は抑制されなかった。
    5) triflumizole, chinomethionat, anilazineおよびbenomylは培地上で菌糸の発育を強く阻害した。本菌で死亡した幼虫をこれらの殺菌剤で処理した場合も,体表への菌糸の発育が抑制された。
  • 高橋 章夫
    1996 年 40 巻 1 号 p. 77-79
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 仲島 義貴, 広瀬 義躬, 金城 邦夫
    1996 年 40 巻 1 号 p. 80-82
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The suitability of freeze-dried, powdered larvae of the melon fly, Bactrocera cucurbitae (FPM) as a diet of Orius sauteri was compared to a diet of live 2nd instar larvae of Thrips palmi. O. sauteri was successfully reared on FPM but the developmental time, survival rate, longevity, preoviposition period and fecundity were negatively affected in comparison to a diet of live T. palmi larvae. The results show that FPM can be used as a diet for rearing O. sauteri but it is not as suitable as live T. palmi larvae.
  • 福山 研二
    1996 年 40 巻 1 号 p. 83-84
    発行日: 1996/02/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Defoliation by Hyphantria cunea was surveyed in Tsukuba in 1988 and 1989. There was a significant positive correlation between the proportion of defoliation and the proportion of plant ground.
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