性フェロモントラップで捕獲したハスモンヨトウ雄成虫を用いた薬剤感受性のモニタリング法を開発するため,薬剤感受性系統と抵抗性系統を用い,3齢幼虫と雄成虫のmethomylおよびpermethrinに対する感受性を比較するとともに,雄成虫の日齢,回収法,薬剤処理方法と薬剤感受性の関係を検討し,以下の結果を得た。
1) 局所施用法による検定では,抵抗性系統のmethomylに対する抵抗性比は3齢幼虫で約1,000倍,雄成虫では8∼9倍と両者に大きな違いがあった。抵抗性系統のpermethrinに対する抵抗性比は3齢幼虫で41倍,雄成虫では14倍で,両者の違いは比較的小さかった。
2) ドライフィルム法による検定では,抵抗性系統の成虫のmethomylに対する抵抗性比は8.6倍,permethrinに対する抵抗性比は14倍で,局所施用法による検定結果とほぼ同じであった。
3) 局所施用法では雄成虫のmethomyl感受性が日齢の経過とともに高まったが,ドライフィルム法では日齢によるmethomyl感受性の違いはほとんど認められなかった。
4) 性フェロモントラップを7時30分(日出1時間30分後)に回収した場合,トラップ内の気温は24°Cで100%の雄成虫が生存していたが,9時30分(日出3時間30分後)に回収した場合,トラップ内の気温は41°Cに達し,雄成虫の生存率は83.3%に低下した。
以上の結果から,性フェロモントラップで捕獲,回収した雄成虫を用いた薬剤感受性のモニタリングには,ドライフィルム法が適していることが明らかとなった。
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