心電図
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21 巻, 2 号
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  • 加藤 貴雄
    2001 年 21 巻 2 号 p. 99-100
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 清水 渉, Charles Antzelevitch
    2001 年 21 巻 2 号 p. 101-108
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心電図 (ECG) 上のT波は, 心室筋各部位の活動電位プラトー相の電位勾配により形成され, この再分極相の電位勾配には, 心外膜 (Epi) 細胞から心筋中層に存在し活動電位持続時間 (APD) の長いM細胞, さらに心内膜 (Endo) 細胞にかけての心室筋貫壁性の電位勾配が重要であることが明らかとなってきた.M細胞, Epi細胞, Endo細胞, およびPurkinje細胞の活動電位 (AP) と貫壁性双極心電図 (ECG) の同時記録が可能な動脈灌流左室心筋切片を用いた検討によれば, 再分極時間 (activation time+APD) はEpi細胞が最短で, 心筋中層に向けて徐々に延長し, Endo下のM細胞で最長となり, 再びEndo細胞に向けて短くなる.陽性T波の終末点は最長のM細胞の再分極点に, 陽1生T波の頂点は最短のEpi細胞の再分極点に一致する.また, Endo細胞の再分極点はM細胞とEpi細胞の中間になるのに対して, Purkinje細胞の再分極点は常にT波の終末点よりも長く, 少なくとも正常T波の形成には関与していないことが明らかとなった.また, イオンチャネルを修飾する薬剤を用いたQT延長症候群モデルにより, 各遺伝型に特徴的な異常T波の成因にも貫壁性の電位勾配が関与することが明らかとなった.
  • 堤 健
    2001 年 21 巻 2 号 p. 109-117
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    T波のシミュレーションに必要な知識につき解説した, 特にT波のシミュレーションの歴史から重要と思われる研究を概説し, 問題点を指摘した.T波の構築には, 心筋内の活動電位持続時間 (APD) 分布が一次的な意味をもつが, 現在でも心筋内APD分布は不明である.そこでこの方面の最近のtopicsであるM cellの問題について, simulation modelを用いて検討を加えた.本稿ではT波構築の基本となる文献を選択し解説することにより, 今後T波のシミュレーションを目指す研究者の道程となることを目的の1つにした, 今後simulation modelを発展させるためには, 病的状態についての基礎電気生理学的研究の進歩とさらに高容量computerの普及が必要であろう.
  • ―たこつぼ心筋症T波のシミュレーションについて―
    笠間 正文, 近藤 政彦
    2001 年 21 巻 2 号 p. 118-125
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    冠性T波の成因には, 梗塞境界部の心筋活動電位持続時間 (APD) の変化が関与することが示唆されている.また, たこつぼ心筋症では広範な誘導で陰性T波が出現することが知られている.動物実験では, 虚血類似液を灌流後, 再酸素化を行うと, ある条件下で平均21.0%のAPDの一過性延長 (rebound現象) が起こった.そこで, たこつぼ心筋症の症例の経過を参考に, 陰性T波のシミュレーションを試みた, Aoki-Weiモデルを用いて虚血領域を作成し, 実験結果を参考に心室壁中間層に虚血後延長した活動電位の存在を仮定すると, 広範囲の誘導で異常Q波のない陰性T波がシミュレート可能であった, rebound現象については, ベラパミル, ランタンならびにヘキサメチレンアミロライド添加により抑制されたことから, Na-Ca交換系ないしはK電流の関与が示唆された.
  • 三好 俊一郎, 宮崎 利久, 森谷 和徳, 三田村 秀雄, 金子 章道, 小川 聡
    2001 年 21 巻 2 号 p. 126-131
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    局所心筋虚血時の単相性活動電位持続時間 (APD) 変化・心電図上のT波高へのATP感受性Kチャネル (K.ATP) 活性化の関与を心筋内層 (endo) と外層 (epi) において比較検討した.麻酔開胸犬で左冠動脈前下行枝の5分間閉塞を30分間隔で反復.3回目冠閉塞前にK.ATP阻害薬5-hydroxydecanoate (30mg/kg; 5-HD) あるいはグリベンクラミド (0, 15~0.3mg/kg; GLIB) , あるいは, K.ATP開口薬二コランジル (0.25mg/kg; NCR) を前投与し, 2回目の対照冠閉塞時の記録と比較した.対照冠閉塞時, APD短縮はendoに比しepiで優位に大で, 両層間の差は増大した.この差の増大はK.ATP阻害薬の投与により抑制され, 逆に開口薬の投与により増強した.同時に, 対照冠閉塞時にT波高は増大したが, その増高はK.ATP阻害薬の前投与により抑制され, 逆に開口薬により増強した.以上より, 1.虚血早期のAPD短縮にK.ATPの活性化が関与し, 活性化閾値は虚血程度の軽いepiでより低い, 2.K.ATPチャネルの活性化の程度の違いが, 虚血急性期のT波増高に関与している.3.T波増高を指標にすると, KATPチャネル阻害薬内服下の患者の虚血程度を過小評価する可能性が考えられた.
  • 古賀 義則
    2001 年 21 巻 2 号 p. 132-140
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    巨大陰性T波 (GNT) は心尖部肥大型心筋症が認識される端緒となった心電図所見で, 心尖部壁厚とGNTの深さが良く相関することから心尖部の限局性肥厚を反映した所見と考えられている.心電学的には心尖部での再分極過程が遅延するために心尖部から心基部 (右上方) へ向かうTベクトルが増大しGNTを形成すると考えられる.この再分極過程の遅延の機序として心尖部への興奮伝播が遅れることが体表面電位図による検討で示されているが, 活動電位持続時間についての電気生理学的検討はない.しかし肥大した心筋細胞や心不全や心筋症による病的心筋細胞では活動電位持続時間が延長すると報告されている.一方BMIPP心筋シンチ像では心尖部は欠損像を示し, 長期観察例ではGNTはR波の減高と共に消失し, 心筋の変性脱落が進行すると考えられる.したがって本症の心尖部心筋細胞は肥大した病的細胞と考えられ活動電位持続時間が延長していることが推測される.この結果心尖部の再分極過程が遅延しGNTが形成されると考えられるが, 今後は細胞レベルの電気生理学的検討やイオンチヤネルの研究を期待したい.
  • 池主 雅臣, 田川 実, 笠井 英裕, 鷲塚 隆, 保坂 幸男, 古嶋 博司, 相澤 義房
    2001 年 21 巻 2 号 p. 141-148
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    体表面心電図で観察されるT波交代現象 (TWA) と心室貫壁性の再分極分布の関係, およびTWAの不整脈源性についてQT延長症候群 (LQTS) の実験モデル (Anthopleurin-Aを用いたLQT3モデル) を用いて検討した.多極針電極を用いて, 左心室心内膜側 (End) , 心筋中層M細胞領域 (Mid) , 心外膜側 (Epi) の局所電位を体表面心電図とともに記録した.局所の不応期はactivation-recovery interval (ARI) を用いて評価した.TWAが軽度の場合, MidのARIはQT間隔の長い心拍と短い心拍の両方でEpi/Endよりも長く, 貫壁性のARI-dispersion (ARI-D) はQT間隔の長い心拍でより大きくなった.TWAが大きくなると, QT間隔の短い心拍でMidのARIはEpi/Endよりも短くなり, 貫壁性の再分極勾配の逆転が生じた.TWAがさらに大きくなると, QT間隔の長い心拍でのMid/EndのARIの著明な延長により, 引き続くQT間隔の短い心拍の興奮伝搬が伝導プロックまたは伝導遅延を生じた, この変化は体表面心電図のQRS波形および体血圧の交代現象としても認められた.このような局所での伝導障害はtorsade de pointesの発症に直接関与した.本モデルのTWAはメキシレチンの静注で完全に消失した.冠動脈閉塞による急性虚血モデルでもTWAがみられたが, この場合はARIともにST部分の交代現象を伴っていた.〔結論〕TWAは心内の時間・空間的な再分極分布の不均一性亢進を反映し, 局所伝導障害によってリエントリー性心室性不整脈の発症に関与した.
  • 犀川 哲典, 中川 幹子, 高橋 尚彦, 原 政英
    2001 年 21 巻 2 号 p. 149-155
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    標準12誘導心電図の最大QT間隔と最小QT間隔の差と定義される“QT dispersion” (QT間隔のばらつき) が各種の心疾患の予後と関連するとされ注目されている, しかし一方QT dispersionの概念に疑問も提出されている.疫学的研究でもQT dispersionは予後と相関しないとの報告もなされ, 賛否両論がでている, QT dispersionは心筋細胞の細胞膜電流を担うイオンチャネルの不均一分布によると考えられる.よって心臓再分極時間の空間的“ばらつき”そのものに疑義はない, 問題はそれを体表面でとらえることができるか?である.理論的な考察でもCampbellらが当初提唱したQT dispersionは近年問題ありとされ, 新しい指標あるいは体表面心電図の処理方法が開発され報告されている.本稿ではQT dispersionに関する現状と問題点を整理する.今後の研究の一助になれば幸いである.
  • 泉 礼司, 末綱 竜士, 山本 誠一, 宮井 智子, 若狭 ちさと, 梶谷 敦子, 中務 二規子, 吉田 清, 沢山 俊民, 長谷川 浩一
    2001 年 21 巻 2 号 p. 156-163
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    【目的】広範な前胸部誘導で陰性T波を認める前壁心筋虚血と左室肥大との鑑別が1枚の心電図のみで可能か否かを検討し, その判別に有用な心電図指標を見出すことを目的とした.【対象】胸部 (V2~V6のすべて) 誘導で陰性T波を呈する前壁心筋虚血 (CAD) 群26例および, 左室肥大と肥大型心筋症の非冠動脈疾患 (N-CAD) 群22例を対象とした.【方法】標準12誘導心電図の陰性T波の特徴につき2群間で対比検討した.【結果】CAD群では陰性T波は, 深さのpeakがN-CAD群のV4, V5に比し, V2~V4とより右側にみられ, 陰性T波の深さの比V2/V6>1が高率であった, また陰性T波終末部のオーバーシュートを欠き, V5の0.1mV以上のST下降がなく, aVRのT波は陰性であった, 【まとめ】これらの指標を用いれば, 1枚の12誘導心電図のみで両者の判別がより明瞭となる可能性が示された,
  • 萩原 与美, 局 博一, 桑原 正貴
    2001 年 21 巻 2 号 p. 164-173
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    エンドトキシンの心血管系や自律神経系機能に対する影響を検討する目的で, 無麻酔・無拘束下でラットにエンドトキシンを投与し, テレメトリー法により心拍数, 血圧, 体温, 活動量を記録するとともに, 心拍変動解析を行い自律神経系機能に対する影響に関しても検討を行った.エンドトキシンは, 心拍数を比較的低濃度から増加させるが, 体温および血圧の反応は投与量によって異なることが明らかとなった, また, 心拍数, 体温, 血圧および活動量の日内変動は明期と暗期における差が減少するため不明瞭になることが明らかとなった.そして, 日内変動の減少には自律神経系による調節機能の低下が関与している可能性が示唆された.以上の結果から, エンドトキシンによる病態の発現時に, 従来の心拍数や血圧値のモニターなどに加えて心拍変動解析により自律神経系機能に関しても評価することは, 臨床の場における診断, 治療に有効な情報を提供するものと考えられた.
  • ―専門医との比較―
    岡本 登, 市原 義雄, 長嶋 正實, 岩塚 徹, 安井 昭二, 渡邉 佳彦, 南家 俊彦, 金子 睦雄, 磯部 律元, 白川 修
    2001 年 21 巻 2 号 p. 174-182
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心電図自動診断の精度向上を目指し, 非典型的WPW心電図について, 専門医診断と自動診断との一致率および問題点を検討した.症例は心電図overreadで非典型的WPWが疑われた成人心電図50例である.6人の専門医に性, 年齢以外の情報を伏せ, WPW波形の有無の判読を依頼した.非典型的WPWと思われる場合 (○) , 疑い, あるいはどちらともいえない (△) , WPWではない (×) , の3通りの判読のみとし, 肥大や梗塞など他の異常の判読は省略した, 6専門医のうち, WPWかその疑いがあると判定した例は50例中31例から12例と判読差を認めた.自動診断では33例がWPWと分類された.また, 専門医6人すべてが非典型的WPWではないとしたのが50例中13例あったが, このうち5例が自動診断でWPWと判定され読み過ぎの傾向を認めた.また従来, 専門医間の心電図判読差が問題になっているが, 非典型的WPW心電図についても有意の判読差を認め, goldstandardの重要性を強調した.
  • 堤 由美子, 傅 隆泰, 仲田 操, 福田 恵津子, 渡辺 熈
    2001 年 21 巻 2 号 p. 183-188
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心房細動について, 電気的除細動後における早期再発の予知にP波加算平均心電図 (PSAE) が有用であるかを検討した.当院で電気的除細動を行った発作性あるいは慢性心房細動113例において, 除細動約2時間後にPSAEの記録を行い, FPD, V20, AR20を計測した.1カ月以内の早期再発例とさらに長く洞調律を維持した例で比較を行ったが, どの測定項目においても両者の差はみられなかった (1カ月以内の再発例; FPD=138.5±20msec, V20=3.36±2, 53μV, AR20=1, 024±733, 非再発例; FPD=138.3±18msec, V20=3.40±2.82μV, AR20=930±709) .PSAEは発作性心房細動例の検出には有用であるが, 本法による除細動後の早期再発の予知は困難であると思われた.
  • 小田倉 弘典, 滑川 明男, 八木 哲夫, 石田 明彦, 大友 潔, 佐藤 公雄, 伊藤 明一
    2001 年 21 巻 2 号 p. 189-195
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    WPW症候群連続100例に対し副伝導路 (AP) 離断30分後に電気生理学的検査を施行し, 房室結節の順伝導および逆伝導様式を検討した.AP離断後, AH間隔が120msec以上の例を3例 (3%) , 房室結節亢進伝導を2例 (2%) に認めた.AP離断後の逆伝導路は, ヒス東部を最早期興奮部位とする速伝導路が36例 (36%) , 冠静脈洞開口部を最早期とする遅伝導路が16例 (16%) , 両者が5例 (5%) , 室房プロツクが43例 (43%) であった, 早期心房刺激において二重房室結節伝導路は20例 (20%) にみられ, うち6例 (6%) で非持続性の房室結節リエントリー性頻拍を認めた.1例 (1%) で早期心室刺激により持続性の非通常型房室結節リエントリー性頻拍が誘発され, 遅伝導路への通電を要した, AP離断後の房室結節伝導は多彩であり, 新たな通電を要する例もあり, 術前からこうした認識をもつことが重要と考えられた.
  • 難波 経豊, 芦原 貴司, 藤本 千草, 草野 研吾, 池田 隆徳, 中沢 一雄, 大江 透
    2001 年 21 巻 2 号 p. 196-205
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    【目的】バスケットカテーテルによる生体心内膜マッピングの解像度を改善し, spiral wave (SW) の解析も可能にする補間法としてtime shading法を開発した.【方法】各興奮の時間的重みの変化をf (t) として定量化し, 時間tでの電極の最大f (t) をW (t) とした.このW (t) を用いて電極間の線形補間を行い, W (t) への対応色で動画表示した.本法の正当性を数値シミュレーションを用いて検討した, SWを誘発した興奮媒質でのマッピングから本法を用いて興奮伝播を再構成し, 元のSWと比較した.また, 本法をバスケットカテーテルによる心房細動発作中の右房自由壁マッピングに応用した.【結果】本法は元のSWを忠実に再現した, また, ヒト生体心で心房細動発作中の右房自由壁にSWが確認された, 【総括】time shading法は電極数の少ないマッピングから興奮伝播様式を解析するための有用な方法である.
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