INHとRFPを含み, PZAを含まない結核化学療法による薬剤性肝炎 (DIH) 出現率の経年変化を後ろ向きに調べた。4つの期間, 1980~83, 87~88, 91~92, 1998~2000年の入院患者で, 血清ASTおよびALTが化療前に正常であった者を対象とし, 化療開始1カ月 (20~40日) および2カ月 (45~75日) 後の血清ASTおよびALT値のいずれかがAST≧40K -AまたはALT≧35K-A (1980~83年), あるいはAST≧40IU/
lまたはALT≧40IU/
l (1987~2000年) となっていればDIHと診断した。各期間の対象患者はそれぞれ113, 135, 128, 154名であった。DIHの種々の危険因子の寄与を調べたが, 80歳以上の高齢という因子以外は危険因子を認めなかった。80歳未満の患者の検査期間ごとのDIH出現率を調べると各期間それぞれ10/111 (9.0%), 23/131 (17.6%), 26/123 (21.1%), 32/117 (27.4%) であり, 有意に (p=0.01) 経年上昇していた。環境の悪化が原因と推測される。
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