液体培地を用いた抗酸菌培養法であるMycobacteria Growth Indicator Tube (MGIT) 法は, 小川固形培地による培養法に比して感度, 迅速性に優れており, わが国でも近年普及しつつあるが, 一方で菌量の定量ができないという短所もある。今回われわれは, 当院におけるMGIT法の培養成績を小川法と比較するとともに, MGIT法での培養所要日数と菌量との関係につき検討した。対象は245人の患者から得られたのべ413呼吸器検体で, それぞれに対し両培養法を施行した。127検体から結核菌, 42検体から
M.avtim complex (MAC), 6検体から
M.kansasiiを検出した。結核菌, MACにおいて, MGIT法が小川法に比して有意に検出率が高く, 有意に培養所要日数が短かった。また, MGIT法での培養所要日数は, 結核菌, MACとも, 塗抹陰性例に比して菌量が多いと考えられる塗抹陽性例で有意に短かった。そして, 結核菌において, 小川培地上のコロニー数判明例に限ると, コロニー数とMGIT法での培養所要日数の問には有意な負の相関があった。以上より, MGIT法の優れた感度, 迅速性を再確認するとともに, MGIT法での培養所要日数による菌量の定量化の可能性が示唆された。
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