〔目的〕INHの最小発育阻止濃度(MIC)が判定保留域にある結核菌の薬剤耐性化遺伝子変異の有無を検討する。〔対象と方法〕2000年1月~2005年5月に培養陽性となったINH-MIC料定保留域(MIC1~2μg/ml)の全47菌株と,同期間内で任意に選出したMIC0.25μ9/m似下の感受性菌31株およびMIC4μg/ml以上の耐性菌41株を対象とした。MIC測定は微量液体希釈法(プロスミックMTB-1,極東製薬),薬剤耐性遺伝子の検出はDNAマイクロアレイ法(OligoArray
TM,日清紡)を用いた。〔結果〕感受性菌はすべてwildtypeで,判定保留域菌と耐性菌に7種類のINH耐性遺伝子変異が認められた。判定保留域菌47株のうち,
inhA転写開始点の上流一15番のCからTへの置換が23株(48.9%),-8番のTからAへの置換が2株(4.3%),
katG1778番のGからAへの置換が6株(12.8%)に認められ,さらに3株(6.4%)は
katG1778番のGからAへの置換と
katG982番のTからGへの置換を二重にもっていた。〔まとめ〕われわれは,大阪の場合には,判定保留域にある結核菌の7割がINH耐性遺伝子変異をもち,その半数以上が
inhA調節領域の遺伝子変異であることを明らかにした。
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