症例は60歳, 女性.集団検診にて右肺門部の異常陰影を指摘され, 当院紹介となった.自覚症状はなく, 初診時胸部X線写真では, 右肺門部第9胸椎の高さに径4cmの円形異常陰影を認めた.胸部CTでは, 右S
7~8に内部がほぼ均一の低吸収性の腫瘤像を認め, MRIでは, T1・T2強調画像とも, 腫瘤は筋肉と同等の信号強度を示していたことから, 充実性の腫瘍と考えられた.右肺下葉切除術を行い, 切除腫瘤を切開してみたところ, プロセスチーズ状の内容物が充満しており, 固形腫瘍ではなく嚢腫であった.組織学的所見としては, 内壁は多列線毛上皮に被われており, 外側に, リンバ組織層, 線維性結合織層を認め, 気管支嚢胞と診断した.嚢腫の内容物は非特異的な壊死物であり, 固形であったが, 通常, 気管支嚢胞の内容物は粘液であり, 当症例の如く固形の内容物を持つものは非常に稀で, 検索した範囲では, 他になかった.
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