原子力発電所から発生する使用済み燃料は,日本ではリサイクルした後,残渣を高レベル廃棄物として地層処分することが決まっている。しかし,処分地の選定については,第1段階に当たる自治体からの文献調査の応募も,まだなされておらず,国民の理解も進んでいない。
一方,同じように原子力発電を実施しているフランス,ドイツ,スウェーデン,フィンランド,イギリス,スイスなどでは,原子力廃棄物の最終処分地の選定は,日本の第3段階に当たる最終処分地の候補地区選定の段階にあり,すでに明確な地名が公表され,実施主体と地域の議会や地元住民との間で受入れに向けた具体的な条件の話し合いが始まっている。
筆者は,2006年10月にスウェーデンとフィンランド,2007年8月にイギリス,10月にドイツとフランスを訪ね,サイト選定に向けた各国の取組みを取材した。そこには,日本が目指す最終処分地決定までのプロセスのお手本があり,道しるべになる事例が多く見られた。本稿では,ドイツとフランスの今を解説する。
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