日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
65 巻, 2 号
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巻頭言
時論
Perspective
解説
  • 福島第一原子力発電所の廃炉のための技術戦略プラン2022
    中村 紀吉
    2023 年 65 巻 2 号 p. 82-86
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/10
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     原子力損害賠償・廃炉等支援機構では,「東京電力ホールディングス㈱福島第一原子力発電所の廃炉のための技術戦略プラン」を毎年取りまとめている。2022年10月に取りまとめた技術戦略プラン2022では,中長期ロードマップで示す第2期の最終段階である,燃料デブリの試験的取り出し(内部調査および燃料デブリ採取)の実施に向けた取組状況を示すとともに,第3-①期に向けた技術戦略等を提示している。本稿では,前回2021年3月に寄稿した技術戦略プラン2020からの主な変更点を中心に,技術戦略プラン2022の概要を示す。

  • パフォーマンス評価プロセスの開発
    真塩 健二
    2023 年 65 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/10
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     人間信頼性分析において,ヒューマンエラー率を確実に予測することは難しく,運転訓練における運転員パフォーマンス評価を基にヒューマンエラー率を推定する取り組みが検討されている。ここでは,運転訓練における運転員パフォーマンスに係る行動データを自動で取集し,運転員の行動をパターン化した自動評価ロジックを適用することで,運転員のパフォーマンス,ヒューマンエラー率を自動推定可能な評価システムについて紹介する。

  • NRRCの人間信頼性解析技術の研究開発
    桐本 順広
    2023 年 65 巻 2 号 p. 93-96
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/10
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     確率論的リスク評価の技術向上が進むことに伴い,より人的過誤の影響が大きくなりつつある。一方で人間信頼性解析の人的過誤確率の定量化手法は発展途上であり,近年は人間が過誤に至る文脈をモデル化する手法が検討されている。電力中央研究所の原子力リスク研究センター(NRRC)では人間信頼性解析定性分析ガイドを適用評価事例とともに開発し,さらに人的過誤確率への国内実績の反映を目指し,人間信頼性データベースおよび収集ツールの開発を行った。

  • 美浜3号機の再稼動および今後の長期運転に向けた取り組み
    棚橋 晶
    2023 年 65 巻 2 号 p. 97-99
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/10
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     2021年6月29日,関西電力美浜発電所3号機(加圧水型原子炉,定格熱出力82万6千kW)は,新規制基準下において国内初となる40年超運転プラントとして,約10年ぶりとなる再稼動を実現した。再稼動に至るまでには,原子力規制庁による厳格な審査,数多くの安全対策工事の実施,新たに設置した設備等の使用前検査の対応など,美浜発電所の社員ならびにメーカー・協力会社の関係者が一丸となって再稼働に向けて取組みを行ってきた。

     本稿では,これら取組みのうち,発電所の最前線で実施した安全対策工事の管理,使用前検査の対応を含む再稼動時の準備や管理についての経験を紹介するとともに,現在進めている長期運転への理解に向けた取組みとして外部組織のレビュー活動について紹介する。

解説シリーズ
  • 第3回 中性子で電池内部の充放電劣化を画像診断 非一様な劣化分布画像を非破壊で定量的に取得
    木野 幸一
    2023 年 65 巻 2 号 p. 100-103
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/10
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     リチウムイオン二次電池の内部の充放電能力に関わる劣化を,中性子ビームを用いて非破壊で定量的に画像化する手法開発に成功した。この成功の主な要因は,パルス状中性子ビームを用いた“ブラッグエッジイメージング”という手法の電池への応用と電池内電極材の結晶の向きの偏りを分析に導入した事である。本稿では,中性子の分析プローブとしての特徴や分析手法の原理と工夫,研究成果を中心に紹介する。

サイエンスよみもの
  • 三宅 芙沙
    2023 年 65 巻 2 号 p. 104-107
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/10
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     太陽面爆発に伴って発生する太陽高エネルギー粒子が地球に降り注ぐと,大気で14Cや10Be,36Clをはじめとする宇宙線生成核種が作られる。樹木年輪の14Cや氷床コアの10Be,36Clは過去の極端太陽面爆発の指標として利用されている。宇宙線生成核種の分析から検出される極端太陽面爆発は,観測史上最大のイベントの数十倍規模と見積もられており,仮にそのようなイベントが今日発生すると現代社会へ与える影響も大きい。本稿では,近年急速に進んでいる過去の極端太陽面爆発に関する研究の概要とこれまでに報告されているイベントについて紹介する。

報告
  • 吉廻 智江, 村岡 真, 鈴木 美寿, 長谷川 秀一
    2023 年 65 巻 2 号 p. 108-112
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/10
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     東京大学原子炉「弥生」の廃止措置の第一段階の中で,照射済み高濃縮金属ウラン燃料の搬出に向けた作業として,水中における燃料切断による小片化と切粉回収という成果を報告する。その後に,準備期間を含めると約3年間に及んだ高濃縮ウラン燃料の米国返還輸送に取り組み,大学としては初めての高いセキュリティ確保が求められる核燃料輸送であったが,これを予定通りに成し遂げ,その成果が日米共同声明に盛り込まれた。その米国返還輸送について,本輸送の実施に至る経緯,陸上輸送および海上輸送の概要について報告し,今後の廃止措置活動についても紹介するとともに,米国返還輸送の成果展開について言及する。

  • 井内 千穂
    2023 年 65 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/10
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     すでに60年近く溜まり続けている放射性廃棄物(核のごみ)の問題について,各地の中学生たちが集まって話し合う企画「中学生サミット」が2011年以来ほぼ毎年開催されてきた。すでに成人した初期の参加生徒たちを筆頭に,昨今Z世代と呼ばれる若者たちが,10年余のサミットのバトンをつないできたことになる。2022年8月,文献調査が進む北海道・神恵内村を訪ねたZ世代の若者たちは何を語り合い,何を発信するのか。その思いを報告する。

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