日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
56 巻, 4 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
巻頭言
時論
解説
  • 福島第一原子力発電所の廃炉に向けて
    中島 健
    2014 年 56 巻 4 号 p. 230-234
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/10/31
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     東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた課題の一つである燃料デブリの臨界安全管理に関して,技術的な検討を行った。今後の燃料デブリ取り出しのための技術開発及び手順策定に当たっては,炉内状況の十分な調査に加えて,総合的なリスクを低減するという観点に立った検討が必要である。

  • 燃料デブリの性状に関する知見と検討
    永瀬 文久
    2014 年 56 巻 4 号 p. 235-239
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/10/31
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     東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置を進めるためには,燃料デブリ取り出し時及び取り出し後の臨界安全管理が必要である。燃料デブリの臨界安全管理技術開発においては,燃料デブリの単位大きさ,気孔率,燃料と制御材料や構造材との混合状態,燃焼度分布,核分裂生成物の残存率等に関する情報が重要である。本報告においては,シビアアクシデント時の燃料及び炉心構成材料の挙動やスリーマイル島発電所2号炉から採取した燃料デブリの特性に関する知見を整理し,臨界安全管理の観点から福島第一原子力発電所で形成された燃料デブリの性状について検討する。

  • 神田 穣太
    2014 年 56 巻 4 号 p. 240-244
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/10/31
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     福島第一原子力発電所事故は,大規模な海洋汚染を伴った点で,過去の事故と大きく異なっている。我が国の沿岸海域ではじめて経験した深刻な海洋汚染であったこともあり,調査・研究についても十分とはいえない面があった。本稿では,セシウム137(137Cs)を中心に海洋環境での収支と生態系内での移行について,事故後の推移と現状を概説する。一部の魚種で放射能レベルの低下が予想外に遅いこと,依然として海洋へ放射能流出が継続していることなど,残された課題についても紹介する。

  • 市民と専門家の間に存在する心理的境界
    土田 昭司
    2014 年 56 巻 4 号 p. 245-249
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/10/31
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     原子力発電所に代表される社会的忌避感を内包する科学技術については,市民と専門家の間に認識のギャップが生じやすい。「原子力ムラ」の境界を越えるためには,原子力についてのこの認識ギャップを互いに正しく把握することが肝要であろう。本稿では,この心理的な認識ギャップについて,日本原子力学会「市民および専門家の意識調査・分析」特別専門委員会で行っている,社会調査をもとに明らかにする。福島事故以後,原子力利用についての認識は,首都圏住民と原子力学会員ではほとんど正反対といえるほどのギャップが認められた。高レベル放射性廃棄物の最終処分地については,首都圏住民に解決に向けた意識が福島事故後に少しずつ高まってきていた。また,原子力学会員には,自分たちが一般の人たちから否定的にみられているとの事実とは異なる思い込み・誤解があり,自らが「原子力ムラ」の心理的境界を作っていた。

  • 高田 毅士
    2014 年 56 巻 4 号 p. 250-255
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/10/31
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     福島事故以降の原子力安全確保に向けて,特にリスク概念の重要性,新たなリスク概念の出現,これらを踏まえてリスク論の具体的な展開として現在進行中の安全規制に関係した課題とその展望について述べた。リスク論的考え方の重要性は福島発電所事故から得られる最も重要な教訓であるが,さらに古典的なリスクの概念を拡張した新しい概念にも言及する。さらに,それらの具体の実践として安全規制の課題に触れ,規制のリスク論に基づく改革と各ステークホルダー間のコミュニケーションの重要性と連携,説明性の向上が必要であることを示した。

  • 西澤 真理子
    2014 年 56 巻 4 号 p. 256-258
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/10/31
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     福島第一原発の事故以来,「原発」や「放射線」に対する人々の意識は感情的に揺れ動いている。リスクコミュニケーションの観点からみれば,リスクをゼロにしようとする「ゼロリスク志向」が顕著に見える典型例と言えよう。今後,原発の廃炉や海外への技術移転を考えた場合,ゼロリスク志向からリスクの許容・耐容へと,リスクに対する意識を変える必要がある。これを実現するためには,原子力計画の中にリスク分析(risk analysis)の考え方を導入すべきで,ソフトの部分を重要視する文化を根付かせる必要がある。

解説シリーズ
  • 第1回 レジリエンスエンジニアリングの概要と今日的意義
    北村 正晴
    2014 年 56 巻 4 号 p. 259-264
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/10/31
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     レジリエンスエンジニアリングは従来,原子力分野で実装されてきた安全の実現法を補強する効果的な方法論としてのポテンシャルを有している。本シリーズではその現状と今後の動向を紹介する。第1回目の本稿ではレジリエンスエンジニアリングの概要を紹介するとともに,この方法論が開発されてきた歴史的背景とその意味合いについて解説する。背景知識を知ることなしにはどんな方法論の技法も適切に理解し運用することはできないと考えるからである。

  • 第2回 多様なウラン鉱床の形成と資源の持続性
    小林 孝男
    2014 年 56 巻 4 号 p. 265-270
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/10/31
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     原始太陽系の形成以来, ウランとトリウムは兄弟であり,ずっと長い間行動を共にしてきた。しかし地球が形成され,生物が誕生し,酸素が大気中に満ちてくると,柔軟性に富む兄ウランとかたくなな弟トリウムは次第に別行動をとるようになり,ウランは単独で地球上のいたるところに様々なタイプのウラン鉱床を形成した。ウラン鉱床は地球発達史のエポックを語る化石のようでもある。時代と環境の変化に応じて形成されたウラン鉱床のそれぞれの特徴とウラン資源としての持続性について概観する。

  • 第5回 インドの原子力開発の動向
    佐藤 浩司, 柳澤 務
    2014 年 56 巻 4 号 p. 271-276
    発行日: 2014年
    公開日: 2019/10/31
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     三段階の原子力開発計画を策定し,国際的な原子力開発の流れとは一線を画し,独自の(indigenous)原子力開発を展開してきたインド。最近では国際協力をも積極的に活用して高速炉開発を含め早期の原子力の大幅拡大を目指す。

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