日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
66 巻, 1 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
巻頭言
時論
Perspective
特集
  • 1.次世代革新炉の開発・建設に向けた議論
    黒﨑 健
    2024 年 66 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     次世代革新炉の開発・建設をとりまく状況,革新炉ワーキンググループでの議論の概要,その他の今後検討が必要とされる議論などについて概説したのち,本稿執筆日(2023年6月14日)現在における本件に関する最新の動向を簡潔に記す。

  • 2.2024年以降の高速炉開発の在り方
    小竹 庄司
    2024 年 66 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     高速炉開発は,2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所事故による原子力政策の見直しに伴い,当時実証炉建設に向けて進められていた「高速増殖炉サイクルの実用化研究開発(FaCT)」は事実上凍結され,その後実用化に向けた開発は停滞していた。2016年12月に政府は,原型炉もんじゅの廃止措置への移行とともに,「高速炉開発の方針」をとりまとめ,国際協力を活用して実用化に向けた開発を行うことが決定された。そこでは,今後10年間の具体的な開発計画を「戦略ロードマップ」として検討することが求められ,2018年12月に決定された。本稿では,昨年12月に改訂された「戦略ロードマップ」と,現在も検討が進められている状況を元に,次年度から開始される実証炉の概念設計を含めた開発の在り方について紹介する。

  • 3.高速炉用酸化物燃料サイクル技術開発の現状
    竹内 正行
    2024 年 66 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     日本原子力研究開発機構で進めている高速炉用酸化物燃料サイクル技術開発として,燃料製造技術および再処理技術の現状と今後の方向性等について示した。各サイクル技術の開発段階は現状,技術成熟度(TRL)が4~6に位置付けられると評価しており,技術全体の実用性を見通すためには,当面,より低いTRLにある技術の開発に重点化する必要がある。今後,実用化開発を推進するための課題として,プロジェクトの停滞によって大幅に減退している開発体制の再構築が急務である。

  • 1.PWRプラント再稼働に向けた1,2次系水化学の取り組みについて
    前田 哲宏, 山﨑 慎吾, 石原 伸夫, 莊田 泰彦
    2024 年 66 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     2011年に発生した福島第一原子力発電所における事故をきっかけに,国内の原子力発電所は約4年から10年超の長期間にわたって停止していた。長期停止後の再稼働に際しては,構成材料腐食や外部からの不純物持込み等に対する入念な準備が求められてきた。

     本報では,これまでのPWRプラント再稼働に際し,再稼働時の水質に起因する影響を最小限とすることを目的として検討した,水化学管理要領の概要について紹介する。

  • 2.PWRプラントの高経年化対策としての一次冷却材の溶存水素濃度最適化に関する取り組み
    杉野 亘
    2024 年 66 巻 1 号 p. 29-31
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     加圧水型原子炉(以下,PWR)の高経年化とともに一次系の主要構成材料である600合金等のNi基合金の一次系環境下応力腐食割れ(PWSCC: Primary Water SCC)が国内外で顕在化している。またわが国のPWR一基あたりの従事者の被ばく線量は欧米と比較し高く推移しており,高経年化に伴う改良工事などの作業量の増加,熟練技術者が減少するなかでの設備保全品質の維持等を考慮すると,今後更なる被ばく低減対策が必要となる。

     本報では,PWSCCの発生抑制と被ばく線源強度低減を同時に達成できる可能性のある一次冷却材の溶存水素濃度の最適化について述べる。

  • 3.BWRプラントの腐食電位測定
    伊藤 剛, 和田 陽一, 石田 一成, 清水 亮介
    2024 年 66 巻 1 号 p. 32-36
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     再稼働後の沸騰水型原子炉(BWR)の稼働率を低下させる要因の一つとして,応力腐食割れ(SCC)がある。80年代以降,多くのSCC対策が適用され,SCCによるプラント停止リスクは低下しているが,SCCの機構はまだ不明な部分が残されており,効果的な予防保全の適用が求められる。SCCは材料,応力,および環境の3条件の重畳により発生進展する。水化学の観点でのSCC対策として環境条件を制御する腐食環境緩和技術がある。材料や応力での対策に比べて低コストで広範囲に効果が期待される。本技術は,運転中の適用効果の確認が重要であるため,効果の指標として腐食電位(ECP)をECPセンサで測定している。BWR炉内は高温・高圧・高放射線量のため,そのような苛酷な環境で使用可能なECPセンサの開発ならびにECP測定方法の確立への取り組みについて解説する。

解説
  • 中性子標準の現在と今後
    松本 哲郎, 原野 英樹, 増田 明彦, 真鍋 征也
    2024 年 66 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     日本における中性子標準の研究は,1954年から原子力の平和利用のためにスタートした。現在,中性子標準が提供できる物理量としては,241Am-Be,252Cf中性子線源および加速器中性子を用いた中性子フルエンスおよび中性子フルエンス率と,241Am-Be,252Cf中性子線源に対する中性子放出率がある。これらの標準について,国内ユーザーに対する標準供給およびトレーサビリティ体制の構築を行ってきた。広まる中性子ニーズに対応するために,新たな中性子標準の確立とそのための新たな中性子計測技術開発の取り組みを行っている。本稿では,現在までの中性子標準と今後の中性子標準に関する取り組みを紹介する。

  • JAEAにおける二次標準の現状について
    谷村 嘉彦, 吉富 寛
    2024 年 66 巻 1 号 p. 42-45
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/01/10
    解説誌・一般情報誌 認証あり

     放射性同位元素の規制等に係る法律改正により,RI施設における放射線測定の信頼性確保が法令で要求されており,その基盤となる放射線測定器の校正や試験を行う標準場の品質保証が重要となっている。本稿では,国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の放射線標準施設棟に整備されているX線,γ線,β線および中性子線の各種二次標準場の現状と今後の展開について概説する。また,放射線分野で初となるJIS登録試験所で提供できる試験サービスの内容,放射線標準場に関する国際規格(ISO規格)の最新動向について解説する。

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