日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
57 巻, 10 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
巻頭言
時論
解説シリーズ
  • 地震・津波防御の総合技術体系を目指して
    亀田 弘行
    2015 年 57 巻 10 号 p. 636-638
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/02/19
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     報告書「原子力安全のための耐津波工学~地震・津波安全の総合技術体系を目指して」(編纂:日本地震工学会 原子力安全のための耐津波工学の体系化に関する調査委員会/協力機関:日本原子力学会 標準委員会)に基づき,地震・津波に対する原子力安全の総合技術体系を解説するシリーズである。本稿はその第1回として,「原子力安全の耐津波工学」形成の経緯とその特徴を述べて,本課題の全体像を示す。

  • 地震・津波工学に求められる原子力安全のリスク論に基づく体系化
    宮野 廣, 高田 毅士, 糸井 達哉
    2015 年 57 巻 10 号 p. 639-645
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/02/19
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     地震の揺れや津波などの外的事象に対して「原子力安全」を確保するために,原子力事故,放射線事故の発生防止及び影響緩和のための実行可能なあらゆる努力を払うことが求められる。そのための方法として,「深層防護」の考え方を外的事象に対してどのように適用するか真摯に検討しなければならない。「深層防護」の概念は,様々な事象の展開において,多重,多様,独立の防護策を講じることである。特に,炉心に大量の放射性物質を内蔵している原子力発電所においては,様々なハザード,特に地震,津波などの外的事象に対して,将来生じる可能性のある,人と環境に与える影響を実行可能な限り低減することが必要であり,そのため,リスクを判断指標として,人と環境に対する対策全体の信頼性を高めることという「リスク論」が必要である。津波に対する原子力安全の確保を例として,リスク論に基づく安全確保を深層防護と融合させて,設計・マネジメント策を一貫して評価する体系を提案する。

  • 原子力発電所の津波事故シナリオと津波安全への性能要求
    成宮 祥介, 蛯澤 勝三, 中村 隆夫
    2015 年 57 巻 10 号 p. 646-650
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/02/19
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     耐津波工学体系の構築にあたり,原子力発電所の構築物,系統および機器(以下,SSC:Structure, System and Component)に課せられた性能を明らかにし,それを実現するための工学的処置を整理することが必要である。本稿では,まず事実に基づき,東北地方太平洋沖地震において原子力発電所に発生した地震・津波の被害ならびに回復措置について分析し,論理性に基づき想像を拡げて事故シナリオを抽出した。更に事故シナリオで活躍するSSCの役割を整理し,津波影響のレベルごとにSSCの性能要求を書き下した。

  • 第2回 福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた東京電力におけるリスクコミュニケーション活動
    臼井 智規, 山本 高士
    2015 年 57 巻 10 号 p. 651-655
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/02/19
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     当社は,福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた対策の一つとして,「原子力に絶対安全(ゼロリスク)はない」という考えのもと,リスクコミュニケーションを推進している。具体的な施策として,社内にリスクコミュニケーターを配置するとともに,ソーシャル・コミュニケーション室を設置した。両者は連携しつつ,原子力部門をはじめとする会社全体の考え方や判断の尺度が社会と乖離することが無きよう,社会的感性の醸成というミッションを担っている。福島および新潟における取組を通じて,社会との対話を積み重ねている様子をお伝えする。

  • 原子力機構による環境回復の取組(3)
    山下 卓哉, 板橋 靖
    2015 年 57 巻 10 号 p. 656-661
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/02/19
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     東京電力(株)福島第一原子力発電所事故より4年が経過し,放射性物質に汚染された環境回復のための技術開発が求められている。原子力機構は,事故以来,福島復興に向けて環境汚染への対処のため様々な活動を行ってきた。ここでは,シリーズ解説の第3弾として,原子力機構における除染活動支援の現状と放射線に対する理解支援活動について解説する。

解説
  • 東日本大震災合同調査報告『機械編』から
    小泉 安郎
    2015 年 57 巻 10 号 p. 662-666
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/02/19
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     日本機械学会の東日本大震災調査・提言分科会(主査:白鳥正樹先生(横浜国大))でまとめられた『東日本大震災合同調査報告機械編』に納められている提言,並びに,『WG5エネルギーインフラの諸問題』の提言を中心に紹介をする。報告機械編の提言は,「大規模システムのシステム・インテグレーション」,「デザインベースの考え方,“Beyond”への対応」,「リスクコミュニケーションの課題」,「継続的調査と規格・基準への展開」として,まとめられている。WG5の提言は,原子力施設における技術的課題から,今後のエネルギー社会の構築に向けて迄,10項目の提言になっている。

  • 安全アプローチ及び設計条件に関するガイドライン
    第4世代ナトリウム冷却高速炉の安全設計ガイドライン研究専門委員会
    2015 年 57 巻 10 号 p. 667-671
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/02/19
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     本研究専門委員会は,国際的な第4世代ナトリウム冷却高速炉(SFR)の安全設計ガイドライン(SDG)の構築に向けて,安全関連技術開発の最新動向および国内外の安全基準の最新動向を調査するとともに,SDGの具体的な内容を検討し,国際社会に向けてSFRの安全性の基本的な考え方とSDGの技術的根拠を提案することを目的としている。本稿ではSDG構築の進め方と,主な成果の一つとなる「安全アプローチ及び設計条件に関するSDG」(安全アプローチSDG)について概説するとともに,SDC/SDGに対応するGIFにおける各国のSFR設計概念の検討状況について解説する。

  • 神田 玲子
    2015 年 57 巻 10 号 p. 672-676
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/02/19
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     医療放射線防護の基本原則は「行為の正当化」と「防護の最適化」である。我が国の医療被ばくによる国民線量は世界平均の6-7倍と推定されているが,医療被ばくの実態が十分に調査・研究されているとは言い難く,医療放射線防護に関する取り組みは大きく立ち遅れている。

     最近,放射線関連の学協会や諸団体が協力して,医療被ばくの最適化のツールである診断参考レベルの設定を行った(通称“Japan DRLs 2015”)。この取り組みが,我が国の医療被ばくの実態把握と最適化に向けた第一歩になると,国内外から期待されている。

サイエンスよみもの
  • 光は天体現象や元素合成過程の解明に迫る新しい手段となるか?
    西内 満美子, 榊 泰直
    2015 年 57 巻 10 号 p. 677-681
    発行日: 2015年
    公開日: 2020/02/19
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     光,すなわち超高強度短パルスレーザーと,固体薄膜とを相互作用させることで,ほぼフルストリップ状態の鉄の原子核を0.9GeVで加速して取り出すことに成功した。既存の加速器イオン源技術ではなかなか達成が難しいと考えられる多価重イオンを数十フェムト秒という極短時間で作り出し,同時に高エネルギーに加速できることを実験的に示した。まったく新しいタイプの小型のイオン源開発に一歩前進したと言える。

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