東芝エネルギーシステムズでは,燃料無交換型ナトリウム冷却小型高速炉「4S」,マイクロ炉(MoveluxTM),高温ガス炉に代表される出力300 MWe未満の小型炉クラスから,ベースロード電源として大規模電力需要を担う次世代大型軽水炉の開発を進めてきた。エネルギー基本計画で謳われる安全性の確保を大前提としつつ,経済合理性を備え国内ニーズに対応した次世代原子力プラントとして,本稿ではベースロード電源として開発を進める大型軽水炉iB1350と電力調整機能を備えた高温ガス炉を紹介する。
第6次エネルギー基本計画では,カーボンニュートラル実現に向けて電源の脱炭素化を進めていく方針が示された。また,再生可能エネルギーだけでは電力の安定供給の実現が難しいことが指摘され,原子力は安定したゼロエミッション電源として改めて評価されており,高速炉,小型モジュール炉(SMR:Small Modular Reactor),高温ガス炉,核融合等の研究開発推進が明記されている。また国内では,今後の既設軽水炉の再稼働本格化による使用済燃料貯蔵量の増大や,再処理施設の稼働によるプルトニウムの蓄積が課題となり,既設軽水炉でプルトニウムを利用するプルサーマルの推進,およびさらなるプルトニウムの利用と資源有効活用,放射性廃棄物の削減や有害度低減を目的とした高速炉の開発も継続されている。本稿では上述したエネルギー基本計画改定と社会的ニーズを踏まえ,カーボンニュートラル実現に向けた日立の原子力事業展開の概要について紹介する。
2050年カーボンニュートラルの達成に向けて,原子力はカーボンフリーかつ大規模・安定電源であり,エネルギーセキュリティの観点からも重要なベースロード電源である。三菱重工は,世界最高水準の安全性を実現する次世代軽水炉の開発を推進し,その先の多様化する社会ニーズに応じて小型炉,高温ガス炉,高速炉,マイクロ炉,更に長期的な視野に立ち核融合炉の開発に取り組んでいる。本稿では三菱重工のこれらの取組みについて紹介する。
スロバキアは小国であるが,国内に2か所・計4基の原子炉を稼働させており,さらに2基の原子炉が稼働・完成間近である(2022年4月現在)。新規原子炉が稼働を開始すれば,スロバキアの総発電に占める原子力発電の割合は世界第1位の70%にまで引き上げられる見込みである。スロバキアは,核燃料製造の100%をロシアに依存しているが,ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー安全保障の大転換を否応無しに迫られており,核燃料を含むエネルギーのロシア依存脱却に向けた動きが今後の大きな焦点となる。
化学気相合成(CVD)法と産業技術総合研究所で開発されたスマートカットの一種であるダイレクトウエハ法により製作したCVD単結晶ダイヤモンド自立膜の検出器の高温動作特性等,その応用として14 MeV中性子計測,慣性核融合計測,原子炉格納容器内雰囲気モニタ用γ線線量計等に関して述べる。
本連載講座では,地層処分の実現に向けての取り組みがどのように進められているのか,これまでの経緯といまについて紹介してきた。第8回では,これまでの連載で紹介したさまざまな技術開発状況について振り返るとともに,今後の研究開発,技術基盤の整備における関係機関の連携,さらに人材育成等に係る展望について述べる。
倫理委員会は,本年3月29日,「東京電力HD(株)核物質防護設備の機能の一部喪失事案を踏まえてあらためて倫理的な行動について考える(見解)」を公表した。これは,東京電力が2021年9月に公表した報告書を踏まえ,日本原子力学会(本会)倫理規程に照らして検討したものである。会員におかれては,本見解および本会倫理規程を参考に,あらためて倫理的な行動について自ら考え,具体的な行動や組織的な取組みを継続的に実践されることを期待したい。
「シグマ」調査専門委員会では,グローバルな原子力研究開発動向を注視しつつわが国の核データ活動に対する俯瞰的検討や内外学術機関との協力体制の構築を目指している。本稿では,2019-2020期の核データ要求リストサイト,人材育成,ロードマップ作成について報告する。
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