「もんじゅ」の今後が見直されようとしている中で,その「もんじゅ」がある地元に住む4人に,この問題について意見をうかがった。そこでは,立地の際には国策として高速炉の重要性が熱心に説明されて地元としては受け入れたのに,今後については地元への何の相談もなしに決まっていこうとしている今の状況に対し強い不信の念があること,高速炉開発は国の命運を握ると説明されたのに,それがなぜ,「廃炉を含む見直し」論になるのか理解に苦しむなどの意見が出された。一方で地元では,「もんじゅ」を経済や感情の視点からとらえようとしていたことがあったことや,「もんじゅ」で働く技術者の中には誠実に取り組んでいる人もいるとの意見もだされた。
廃炉を含めた抜本的な見直しを迫られた「もんじゅ」。しかし,本当に「もんじゅ」廃炉は日本の選ぶべき道なのか。フランスとのASTRID計画に参画することで,日本の核燃サイクル路線を維持することはできるのか。エネルギー政策における日本の将来をどう考えるか。有識者にこれらの課題を論じていただいた。
もんじゅは,我が国が高速増殖炉を実現する上で重要な安全上の知見や技術の向上をもたらす研究開発施設であり,原子力規制委員会の勧告,「もんじゅの在り方に関する検討会」の提言を踏まえ,適切な体制のもと,無理をせずに段階的に出力を上げ,運転,保守点検の実績を重ね,その有効利用を図るべきである。真の技術力は,発生する課題を克服しつつ行う自主開発でしか培うことはできない。
テチャ川流域で発生した放射能汚染の発生概要と,一定期間にわたって実施された住民への調査(コホート調査)の概要を紹介する。
テチャ川流域住民の放射線被ばくは上流地域では内部被ばくよりも外部被ばくが多く,中流および下流地域では内部被ばくが多い。本稿では,テチャ川流域住民疫学コホート構成員の外部被ばく線量と内部被ばく線量を含めた個人被ばく線量の再構築方法とその改良の経緯について解説する。
疫学とは地域や集団を調査し,健康影響原因と考えられる要因と健康影響発生との関連性の強弱を統計的に調査・解析する学問であり,「コホート」とは,疫学調査の対象として一定期間にわたって追跡調査される人の集団のことである。本稿では,低線量および中線量の慢性被ばくであるテチャ川流域住民疫学コホート(TRC)の固形がんと白血病の罹患率と死亡率の疫学調査結果の最新データに基づいて解説し,原爆被ばくコホートおよび高自然放射線地域のコホートデータとの比較についても解説する。
本検討会は,新型炉部会の下に,研究開発段階発電用原子炉(研開炉)の保守管理に関する現状の技術的課題を整理し,本来の在り方を示すことを目的として本年4月に設置された。本稿では,9月に取りまとめられた検討の成果について解説する。研開炉の保守管理では,原子炉施設の安全性を確保しながら,保全の有効性を向上させ,炉型に適した保全プログラムを実用化に向けて構築していくことが重要である。その実現のために,リスク情報の活用やGraded Approachによる人的・経済的資源の適切な配分等の複数の提案を行っている。
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