原子力事業者における人材育成の取組みの例として,東京電力HDの事例を紹介する。福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえ,本社・発電所に分散していた訓練部門を集約して原子力人財育成センターを設置し,「安全意識」,「技術力」,「対話力」の向上に取り組んでいる。また,原子力発電プラントの停止が長期化している状況における運転員の訓練や福島第一原子力発電所の廃炉に関する人材育成の取り組み状況についても紹介する。
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以降,JAEAと略す)では,国内外の原子力分野における人材育成について,原子力人材育成センター(以降,人材育成センターと略す)を中心に,JAEAの各部門が専門性を活かした取組を実施し,わが国の総合力の向上に努めている。また,共同事務局を務める原子力人材育成ネットワークでは,産学官が連携してオールジャパン体制で原子力人材育成活動に取り組んでいる。本稿ではこれらの人材育成活動について事例を交えて紹介する。
福島第一原子力発電所事故以降,原子力人材の確保と育成が産業界にとって大きな課題になっていることは周知のとおりであり,例えば,原子力人材育成ネットワークの報告によれば,『産業界の人材獲得・育成は将来の事業性を見据えて行われることから,第一に予見性のある原子力将来ビジョンが明確に示されることが重要』と指摘されている。そのような状況を踏まえ,本稿では,原子力プラントメーカの一つである弊社における人材育成の課題と対応に関し,人材採用の観点と社内での人材育成の観点について報告する。
グレーデッドアプローチの考え方(概念)を理解し,これを廃止措置に適用することで合理的な廃止措置の活動(計画,実施および終了)が可能になる。ここでいう“合理的”とは,廃止措置の進捗に伴い変化する廃止措置対象施設の状況およびそこで行われる活動の複雑さならびにこれに起因するリスクの程度に応じて,廃止措置の活動に適正な資源(人,もの,金,情報)の配分がなされ,安全の確保が確実なものになっている状態を指す。また,この適用には明確に定義された科学的および/または工学的な判断基準が必須である。本稿では,これらについて概説する。
中性子ラジオグラフィ応用のための中性子発生は主に加速器を用いて行われてきた。レーザー加速器は従来,発生電子数が少ないという問題があったが,今回ダブルシューティング手法を考案し,レーザー加速としては世界記録となる電子発生量(1パルスあたりの電子発生量が100ナノクーロン(6.3×1011個))を達成し,1 Hz繰り返し運転で1時間の自動連続運転を実証した。またレーザー加速器では初となる高速中性子ラジオグラフィを実証した。
隕石の母天体である小惑星の形成時には,26Alなどの放射性核種が多く存在しており,これらが崩壊することにより熱が生じ,含有されている氷から液体の水が生じたことが知られている。このような水熱過程においては,活発な化学反応が起こり,アミノ酸などの有機物も形成されたと考えられる。本研究では,このような過程における放射線の影響を明らかにするため,ガンマ線照射実験を行い,単純な分子からアミノ酸前駆体が形成することを見出した。また,アミノ酸の生成量は線量率には依存せず,総照射線量とおよそ正の相関があることがわかった。
「シグマ」調査専門委員会では,グローバルな原子力研究開発動向を注視しつつわが国の核データ活動に対する俯瞰的検討や内外学術機関との協力体制の構築を目指している。本稿では,2021-2022期の核データ要求リストサイト,人材育成,ロードマップ作成について報告する。
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