日本原子力研究開発機構核不拡散・核セキュリティ総合支援センターでは,規制外の核・放射性物質に関連する核セキュリティ事案の技術的な対応手段の一つである核鑑識に関連する技術開発を進めており,核鑑識プロセスに関連するさまざまな技術的課題の解決を目的として機械学習モデルを応用した新しい技術の開発を行っている。本稿では,核セキュリティ分野における人工知能技術の応用例として,核・放射線テロ現場初動対応を含む核鑑識関連技術における機械学習モデルの応用に関する研究とその成果,今後の展望を紹介する。
人工知能技術(AI)が社会インフラのさまざまな場面で使われてきている一方で,それに伴い新たな脅威も生じてきている。情報インフラの脆弱性を突くマルウェアはインターネットの発展とともに新しい攻撃が出てきているが,最近ではAIを用いることでより高度な攻撃が可能となってきている。またAIを用いて静止画や動画像の自然な合成を行うことで,もはや人間が画像の真偽を判定できなくなってきている。更にはAIの学習原理や動作原理を逆手に取ることで,AIに意図的な誤認識を生じさせる技術や,学習に用いたデータの一部を推測する技術も知られている。本稿では,視覚情報処理を例として取り上げ,人間の誤認識とAIの誤認識について最近の研究動向を紹介する。またリスクを含むAIを社会インフラに適用する際に必要となる研究について,リスク管理の視点・社会制度の観点で概要を述べる。
「もんじゅ」の廃止措置が決定された平成28年12月にこのサイトを活用して新たに試験研究炉を設置することが原子力関係閣僚会議で決定された。その後,文部科学省により調査が行われ,中性子ビーム利用を主目的とする中出力炉に絞り込まれた。これを受けて,文科省委託事業で試験研究炉の概念設計と運営の在り方に関する検討を続けている。
TRU廃棄物の地層処分において発生したガスによる汚染水の押出やベントナイトの自己修復性の喪失や内圧の上昇に伴う廃棄体パッケージの破損や廃棄物の漏洩が処分場の安全性に影響することが懸念されている。本稿では,これらの課題に対応する技術として,廃棄体パッケージの閉じこめ性に係るガスの発生量を低減する技術や閉鎖後長期のガス移行挙動やガスによる核種移行への影響を評価する技術開発の状況について解説する。
高レベル放射性廃棄物の地層処分における人工バリアの一つである緩衝材は,定置後の地下水との接触の状況によっては流出する可能性がある。本稿では,緩衝材の流出現象や工学的対策となる施工技術オプションの整備について,これまでの知見や最新の情報をもとに解説する。
前稿では,中性子照射脆化にかかる原子炉圧力容器の構造健全性の考え方について概説し,関連する国内規格の構成を紹介した。構造健全性確保のためには,大別して,監視試験,脆化予測,健全性評価の3つ技術が必要となる。本稿では,規格に規定されるこれら3つの技術の概要について紹介する。
開発したキットは,安定的に動作する空気GM管,ブレッドボードを用いた電子回路の組み立て,身の回りの物品の多用等に特徴があり,安価にかつ容易に組み立てることができる。中部地方を中心に,主として高校生,中学校・高等学校の教諭を対象に放射線教育実験セミナーを行なってきたが,これらの知見をより広く共有して頂くことによって,キットがより広く活用されることを願っている。
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