日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
61 巻, 12 号
選択された号の論文の24件中1~24を表示しています
巻頭言
時論
特集
  • 鷲尾 方一
    2019 年 61 巻 12 号 p. 826-827
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/02
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     電子線プロセス(加工技術)は1950年代にスタートした歴史のある技術であり,以降数多くの開発が行われた。最初の実用化は滅菌であったが,架橋技術,重合技術などの発展とともに社会を支える基本的な技術となってきた。世の中ではこの加工技術はあまり一般的に知られるものではないのだが,すでにその経済規模は年間4兆円を超えている。このように社会の基盤を支える電子線プロセス技術の概要を本稿で紹介する。

  • 山瀬 豊
    2019 年 61 巻 12 号 p. 828-832
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/02
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     高エネルギー電子加速器を用いた電子線滅菌は,滅菌法では比較的新しい方法であるが,近年,医療機器,医薬品容器等の人体に対するリスクの高い医療用品の製造時の滅菌法として一般的な滅菌法となってきた。その背景には,高エネルギーの電子線は,最終梱包のまま短時間に低温で透過処理できることや,従来から主流であったエチレンオキサイドガス(EOG)滅菌のEOの発がん性の問題関連の規制等,滅菌バリデーション(科学的妥当性の検証)要求,無菌性保証など品質規格要求等も厳しくなったことなどがある。さらに近年は,ガンマ線滅菌の線源高騰,環境,セキュリティ,リスク管理等も重視されEOG滅菌だけでなくガンマ線滅菌からも電子線滅菌に切り替えるケースも増えている。今後は,コンプライアンス順守やCSRの推進等の社会的な取り組みを背景に,環境,労働環境,安全,品質などの対策強化などに伴い,医療機器,医薬品等の電子線滅菌はさらに増加していくことが考えられる。

  • 中 俊明, 西納 幸伸, 西 富久雄
    2019 年 61 巻 12 号 p. 833-835
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/02
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     電子線(EB)の産業利用としては,すでに広い範囲で実用化されているが,このEB技術の活用の成果や恩恵を深く理解し,身近に感じている人は,それほど多くはないと思われる。今回は,我々が日頃からよく目にしているPETボトル飲料に関して,実際の生産ラインにこのEB技術を活用していることをご紹介する。また,PET飲料用生産ラインの概要説明やEB滅菌方式無菌充填システムの紹介と共に,その開発から実用化に至るまでのいくつかの課題と解決事例などから,EBをもっと身近に感じて頂ければ幸いである。

解説
Column
解説シリーズ
  • 第1回 1Fの廃炉と環境回復をめざして(1)
    野田 耕一, 野﨑 信久, 小川 徹, 山田 知典
    2019 年 61 巻 12 号 p. 843-846
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/02
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     原子力の総合的な研究開発を行う国内唯一の機関である日本原子力研究開発機構は,研究用原子炉や加速器,放射性物質の使用施設など,特徴ある施設を使った基礎基盤的な研究と,それを土台としたプロジェクト的な研究開発を手がけている。とりわけ重点的に取り組んでいるのが「福島第一原子力発電所(1F)事故への対処のための研究」「原子力の安全性向上のための研究」「高速炉や高温ガス炉など新型原子炉の開発や再処理技術の高度化など核燃料サイクルの確立に資する研究開発」「放射性廃棄物の処理処分や有害度低減のための研究開発」である。このうち今回と次回は,1F事故対処のための研究について紹介する。

  • 第1回 わが国電力市場の全体像
    服部 徹
    2019 年 61 巻 12 号 p. 847-851
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/02
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     わが国で進められている電力システム改革では,市場メカニズムの活用を重視した制度設計が進められている。電力のエネルギー(kWh)としての価値を取引する卸電力市場が整備されるとともに,安定供給や環境適合といった公益的課題の解決に必要な価値を取引する新たな市場が次々と創設されつつあり,電力供給の持つ様々な価値が,それぞれ市場を介して取引されるようになっている。個々の市場で決まる価格を通じて,市場参加者が合理的に行動した結果,エネルギー政策の目標を達成できるような市場の設計が求められる。

サイエンスよみもの
  • 混乱,高揚そして沈黙までの7年間
    吉田 正
    2019 年 61 巻 12 号 p. 852-856
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/04/02
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     80年の時を経た今となっても,核分裂発見の物語は分かりにくい。ここで扱う両大戦のあいだの7年間(1934〜1940年)はナチスの全権掌握から開戦までの苛烈な時代に一致し,発見に至る経緯はこの時代背景ぬきには理解しにくい。いつ,誰が,どう決定的なことを成したのかに焦点をあわせ,核分裂の発見という現代の我々にも計り知れない影響を与えた出来事を,人々の果たした役割や時代推移の節目ふしめに注意を払いながら見てゆく。

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