日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
51 巻, 5 号
選択された号の論文の23件中1~23を表示しています
巻頭言
時論
座談会
解説
新刊紹介
解説
  • 災害や事故は忘れた頃にやってくる
    三谷 信次
    2009 年 51 巻 5 号 p. 386-390
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     平成19年7月に発生した中越沖地震においては,柏崎刈羽原子力発電所が羅災し,屋外変圧器の火災や微量の放射性物質の所外への流出などがメディアにきわめて大きく取り上げられた。このとき事業者をはじめ中央官庁や自治体等が外部発信の面での初動体制にいくつかの課題を残した。これらの反省を踏まえて,「総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会」の下部に「原子力施設に関する自衛消防及び情報連絡・提供に関するワーキンググループ」が設立され,数多くの課題の摘出・提言がなされた1)。これらを踏まえつつ,事業者および規制の側の緊急時の情報発信(クライシス・コミュニケーション)はいかにあるべきかを検討した。さらに,災害・事故がやって来たとき,平時よりPDCAを廻して周到な備えがなされているか。また平時・有事を含め,メディアの論理とその対応について考察した。

  • 「燃焼度クレジット」の概念と導入への課題
    須山 賢也
    2009 年 51 巻 5 号 p. 391-395
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     おもちゃが動かなくなって内蔵の電池を交換した後,取り出した古い電池は弱っていてもう使えないというのは,電池交換を頼んできた子供も理解している。最近は電池も資源回収の対象になっているので,回収日まで指定されたビニール袋の中でお休みいただくこととなる。同様に,中性子増倍という役目を十分に果たせなくなった核燃料は炉外に取り出されて保管され,時がくれば原子炉サイトから再処理(資源リサイクル)工場へと輸送される。ここで問題となるのは,電池ならビニール袋に入れて適当に保管すればよいところが,使用済燃料の場合は「炉外では絶対に臨界にしない」という臨界安全管理を行うことが厳密に要求されることである。一般に,使用済燃料の場合,燃料の中性子増倍を行う能力(反応度)が低下しているので,それを新燃料と同じ量だけ集め同じように配置しても,中性子増倍率は新燃料の場合よりも小さくなる。言い換えると,同じ中性子増倍率を与えるために必要となる燃料の量は使用済燃料の方が多い。よって,輸送や取扱いの効率を考えるならば,もちろん除熱や遮蔽などの他の条件が許すのであれば,燃料の反応度の低下を考慮することでさらに多くの使用済燃料を貯蔵したり輸送したり出来るはずである。このように使用済燃料の反応度低下を考慮してその臨界安全性を評価する考え方を「燃焼度クレジット」という。本稿では,この概念の概要とそのために必要な技術開発の現状を概観し,今後,我が国において燃焼度クレジットをさらに導入するために克服すべき点を論じたい。

  • 尾本 彰
    2009 年 51 巻 5 号 p. 396-401
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     現在,原子力発電は30ヵ国が行っているが,これに加え新たに60を超える開発途上国が,ほぼ共通する理由(エネルギー消費の増大に対処するにあたってエネルギーセキュリティ,化石燃料価格への関心,環境問題を考慮)から,原子力発電導入を考え,IAEAにそのためのインフラ整備支援を求めてきている。

     本稿は,(1) はじめにこの原子力発電利用拡大の動きを概観し,(2) 拡大と新規導入のための課題,これに対処するIAEAの支援活動を,IAEAの果たすべき役割に関しての考え,ガイダンス図書策定の動きと主要図書の発しているメッセージ,具体的な支援活動としての技術協力プロジェクトの概要を述べ,(3) これらの活動で浮かび上がってきている,共通する課題とそれに対する国際社会およびIAEAの対処について考えるところを述べる。最後に,(4) 日本の原子力関係者への期待を記述する。

  • 社会の中で地層処分事業が長期に持続するために
    佐原 聡, 坪谷 隆夫
    2009 年 51 巻 5 号 p. 402-406
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     原子力発電から発生する高レベル放射性廃棄物の後始末は,廃棄物が処分できる形や条件が整うまでのすべての過程を前提とした,複雑で不確実性を含む問題である。欧州連合(EU)では2006年後半から2007年にかけて,そうした複雑で不確実性がある放射性廃棄物管理の問題解決に向けた意思決定や社会での合意形成のあり方,いわゆるガバナンスをテーマとした3つの共同研究プロジェクトが立ち上げられた。本稿では,それらの研究動向を紹介し,それらの研究で扱われている。最終処分事業を運営する上での規範的な理論や考え方について解説する。

報告
  • 岡 芳明, 工藤 和彦, 林 克己
    2009 年 51 巻 5 号 p. 407-409
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     原子力・放射線部門の技術士試験が5回行われ,309名の技術士が誕生した。部門設置答申に謳われた制度活用の方向については,各方面からの期待や原子力法制度の見直しの機運とも呼応し,具体化の検討が一挙に進み始めた。本格的運用を始める前には,充分な事前検討とともに各組織での「練習」が必要であり,またそれを行う技術士数はそろい始めた状況である。しかし総合科学技術である原子力で実際に技術士制度を活用するためには各分野の専門家が必要であり,これから運用までに充分な技術士数を増やす必要がある。原子力学会会員は技術士資格をぜひ早く取得いただきたい。

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