日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
65 巻, 8 号
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巻頭言
時論
Perspective
解説
  • 浮体式原子力発電に関する開発検討の全体概要
    佐々 大輔, 中野 宏之, 大森 修一, 後藤 章
    2023 年 65 巻 8 号 p. 485-488
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/10
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     東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故の経験を踏まえて安全性を向上させた原子力発電の一つとして,浮体式原子力発電についての検討を,産業競争力懇談会(COCN)において進めている。特に,COCNでは,運用実績があり,格納容器の小型化が可能なBWR(出力100万kW級のABWR)を浮体式原子力発電として採用した際の工学的課題について検討を進めた。主な検討結果について述べる。

  • 浮体式原子力発電におけるBWR成立性の評価
    木野 千晶, 手塚 健一
    2023 年 65 巻 8 号 p. 489-493
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/10
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     東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故の経験を踏まえて安全性を向上させた原子力発電の一つとして,浮体式原子力発電についての検討が,産業競争力懇談会(COCN)において進められている。特に,COCNでは,陸上原子炉として運用実績があり,格納容器の小型化が可能なBWR(出力60万kW級のABWR)を浮体式原子力発電として採用した際の工学的課題について検討が進められた。検討の結果,安全系区分分離においては,1F事故の経験も踏まえ,4区分を基本アイデアとし,周囲に豊富に存在する海水を利用し,浮力などの自然力を利用することで,人間の判断や電源を必要としない静的崩壊熱除去システムの採用を提示した。また,文献調査・システム解析結果より,揺動がBWR炉心の安定性に与える影響は軽微であると結論付けたが,実際の設置許可の申請に際しては,具体的な実験・解析結果に基づく立証が求められることから,「揺動」を模擬した実機相当の実験の実施を提言した。

  • パルス中性子ラジオグラフィによるNASICON型リチウムイオン伝導体LATPの拡散係数測定
    高井 茂臣, 薮塚 武史, 宋 方舟
    2023 年 65 巻 8 号 p. 494-498
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/10
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     全固体電池の固体電解質材料として有望な,NASICON型リチウムイオン伝導体LATPとパルス中性子ラジオグラフィによる拡散係数測定について解説する。リチウムイオンの拡散係数は固体電解質の性能を決定づける重要なパラメーターであるが,確度の高いマクロスケールの測定手法は少ない。本稿では安定同位体6Liと7Liの中性子減衰係数が数桁異なることを利用して,中性子の透過像から拡散プロファイルを求めた最近の研究を紹介する。さらに近年われわれのグループが見出した,誘電体分散効果による拡散係数の向上についても言及する。

  • ブラッグエッジイメージング法による銅のミクロ組織の観察
    大場 洋次郎, 佐々木 宏和
    2023 年 65 巻 8 号 p. 499-502
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/10
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     銅の電気伝導性や力学特性は,多数の結晶粒や微細な析出物,結晶欠陥の集合体として形成されるミクロ組織によって大きく影響を受ける。このため,ミクロ組織の観察が重要であるが,従来の観察手法では,観測可能な領域が表面付近に限定される,あるいは破壊的な分析になってしまうといった難点があった。中性子は高い透過能を持つため,銅内部の非破壊測定に有効である。さらに,ブラッグエッジイメージング法を用いることにより,ミクロ組織の情報を可視化することが可能になる。本記事では,銅へのブラッグエッジイメージング法の応用について解説する。

  • 中性子イメージングを用いた玉軸受内グリースの流動性の観察
    木村 信治, 酒井 一泉
    2023 年 65 巻 8 号 p. 503-507
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/10
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     グリースは,自動車や航空機,発電機などに使用されているモーターの回転軸を支える玉軸受の潤滑剤に広く用いられている。玉軸受の回転時における抵抗が機械の消費電力量に影響することから,省エネルギー性を高めるために,玉軸受を滑らかに回転させるグリースの開発が進められている。グリースの流動特性が玉軸受の回転に大きな影響を与えることから,グリースの性能を把握する上で,玉軸受内のグリースの流動状態を非破壊で可視化することが有用である。本稿では,中性子イメージングによる玉軸受内グリースの流動状態の観察事例について紹介する。

  • 世界的に加速する民間核融合開発競争への日本からの挑戦
    宮澤 順一
    2023 年 65 巻 8 号 p. 508-512
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/10
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     いつまでもあと30年かかると言われた核融合が近年,にわかに注目を集めている。民間から核融合を目指すスタートアップが世界で多く起業し,各国の国家戦略にも影響を与えているのである。なぜこのような状況になっているのか正しく理解するためには,これまでの70年以上に亘る核融合研究者の努力の経緯と,核融合炉の実現に向けて突破すべき壁について知る必要がある。本稿ではこれらを概説した上で,わが国における核融合スタートアップの一つ,Helical Fusion社の取り組みについて紹介する。

  • 本間 宏也
    2023 年 65 巻 8 号 p. 513-516
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/10
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     ポリマーがいしは,従来の磁器がいしに比べ,軽量で加工性が良く,耐汚損性や耐衝撃性にも優れることから,送変電分野における電力輸送設備の設計合理化や維持管理コストの低減のため,その適用が広がりつつある。特に,2011年の東日本大震災以降は,変電機器の耐震性強化を目的として,ポリマーがい管(ブッシング)の導入が急速に進められている。以下,ポリマーがいし・がい管の特徴を整理するとともに,国内における適用動向等について解説する。

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