東京電力福島第一原子力発電所の事故により環境中に放出された放射性物質を取り除く除染作業で発生した除去土壌や廃棄物については,福島県大熊町,双葉町に中間貯蔵施設が整備され,処理・中間貯蔵が行われている。また2044年度までに予定されている除去土壌等の県外最終処分に向け,その処分量を低減するための減容・再生利用等に取り組んでおり,飯館村長泥地区では再生利用の事業が進められている。本稿ではこれらの最新状況を環境省より報告する。
脱炭素化に向けたエネルギー関連技術が議論される現在,熱エネルギーの有効活用に関する「熱マネジメント」には大きな期待が集まっている。現在筆者は,革新的な熱活用技術の研究開発を実施する目的のNEDOプロジェクト「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」に参画し,高密度蓄熱材の探索に関する基盤研究を担当している。本稿においては,最近一般公開した熱関連材料データベース(PropertiesDB Web)を紹介すると同時に,計算化学(電子状態計算と分子シミュレーション)と熱物性データを活用した高密度蓄熱材の研究を紹介する。
原子炉圧力容器鋼の中性子照射脆化のメカニズム研究は,古くから時々の先端的な分析技術やシミュレーション技術を用いることで材料科学的な研究が進められており,近年ではその成果が運転に直結する脆化予測法の開発にも利用されている。本稿では国内脆化予測法JEAC4201のベースとなっているメカニズムの理解と予測法の概要について述べる。
2022年8月1日~26日に米国ニューヨークの国連本部で開催されたNPT第10回運用検討会議最終文書案は,ウクライナの原子力発電所,特にザポリッジャ原子力発電所の安全確保等に関する文言に露国が反対し,当該文書案を採択できずに閉会した。今次会議の主要論点と議論および最終文書が採択されなかった理由の詳細等を紹介する。
ダイバーシティ推進と働き方改革をテーマに,全9回にわたる産・官・学のリレー連載を行う。第2回では,日立製作所および日立GEニュークリア・エナジーがめざす姿を踏まえ,ダイバーシティ,エクイティ&インクルージョン(DEI)と働き方改革を推進する背景や事例を紹介する。
SMiRT(原子力構造工学国際会議)は構造・材料,外部事象を軸に原子力工学全般をカバーする国際会議で,日本原子力学会は,SMiRT11(1991年 東京)以来33年ぶりの日本開催であるSMiRT27を2024年3月に横浜でJASMiRT(原子力構造工学推進連絡会)と共催する。以下にSMiRT26(2022年7月独ポツダム)の概要とSMiRT27開催計画の要旨を紹介する。
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