わが国では,2005年にクリアランス制度を導入し,これまでに測定・評価方法は6件認可され,現在2件が審査中である。これまでに約5,000トンのクリアランス物が測定結果の確認を終えており,その一部についてテーブル,ベンチ,ブロック等への再利用を行い,事業者内での再利用実績を蓄積している。さらに,低レベル放射性廃棄物収納容器の内容器への適用に向けて,2015〜2017年度経済産業省の「管理型処分技術調査等事業」として試験研究が行われ,将来の再利用範囲拡大に向けた実績が蓄積された。
一方,廃止措置実施中および準備中の実用発電用原子炉施設は13基となり,今後,それらの廃止措置作業が本格化していくため,クリアランス物が多量に発生してする。その中でクリアランス物の搬出先が確保されない場合には,発電所敷地内に蓄積されることになり,そういった状況は,廃止措置を円滑に進める上で支障をきたしかねない。クリアランス物の利用先拡大に当たっては,それぞれの段階でのクリアランス物の利用拡大が喫緊の課題となっている。
抄録全体を表示