日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
65 巻, 10 号
選択された号の論文の21件中1~21を表示しています
巻頭言
時論
Perspective
特集
  • 1.企画趣旨と課題整理
    田邊 恵三, 村上 健太
    2023 年 65 巻 10 号 p. 596-597
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/10
    解説誌・一般情報誌 フリー

     国内において新型燃料の導入に向けた動きがある。新型燃料の導入は燃料棒の熱的負荷の緩和等,原子力安全の向上に寄与するが,海外で十分実績のある燃料であっても,国内への展開は遅れている。

     原子力安全部会では,新型燃料導入を題材に,新技術を導入する際の課題を整理するため,セミナー形式で「新型燃料の導入に向けた道筋 ―安全評価技術の継続的向上の視点から―」を開催した。新型燃料の導入に付随する新たな安全評価技術の導入や規制プロセス,安全研究,規制機関との対話などさまざまな議論が展開された。新技術の導入には産官学の連携が必要不可欠である。本シリーズでは,原子力事業者,学会,規制の各々の視点から,ハードウェアおよびソフトウェアの新技術導入に係る現状の課題を整理し,改善の方向性を示す。

新刊紹介
特集
  • 2.10×10燃料を導入する際の課題とその解消に向けた道筋
    鶴田 義昭
    2023 年 65 巻 10 号 p. 598-599
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/10
    解説誌・一般情報誌 フリー

     新型燃料を原子炉に導入する際には,燃料の健全性評価,安全性評価,許認可取得等,さまざまな確認を実施する必要がある。本稿では,国内のBWRプラントへの10×10燃料を導入する際の課題について,安全設計,許認可対応ならびに解析コードの観点から整理し,その解消に向けた道筋の概要について紹介する。

  • 3.炉心燃料分野の解析コードの高度化と学会標準の整備状況
    工藤 義朗
    2023 年 65 巻 10 号 p. 600-602
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/10
    解説誌・一般情報誌 フリー

     BWRプラントへの10×10燃料の導入と関連して重要となる炉心燃料分野の解析コード及び関連する評価手法について,その高度化及び関連する学会標準の整備状況,ならびに新技術の導入に当たっての論点を整理する。

     この中で,炉心燃料分野の解析コードの高度化では,BWRを対象とした炉心・燃料分野の核特性解析コード及び安全評価などに適用する解析コードの高度化について説明する。また,評価手法の高度化については統計的安全評価導入に係る背景及び評価手法を概観する。さらに,統計的安全評価標準,学会技術レポートなど新技術に関連して整備された原子力学会標準の活用について述べ,最後にまとめとして新技術の導入に当たっての論点を整理する。

  • 4.新型燃料に関する規制対応上の技術的課題
    永瀬 文久, 金子 順一, 北野 剛司
    2023 年 65 巻 10 号 p. 603-605
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/10
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     新型燃料の導入にあたっては,燃料を含む原子炉施設の安全設計の妥当性を確認する必要がある。事業者が導入を計画するBWR用10×10型燃料については,燃料棒内圧基準への対応,沸騰遷移相関式の見直し,統計的安全評価手法の導入,反応度事故解析手法の高度化が規制上のポイントとなると考えられる。原子力規制委員会が行う安全研究においては,上記に関連し,統計的安全評価手法や高燃焼度10×10型燃料の設計基準事故時挙動等に関する研究を行ってきた。本稿においてはその例を示すとともに,新型燃料等に対する規制上の技術的課題の把握や課題解決のための安全研究の実施における課題について述べる。

  • 5.新型燃料の継続的な導入に必要な知識基盤とその論点
    村上 健太, 山本 章夫
    2023 年 65 巻 10 号 p. 606-607
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/10
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     新型燃料の場合,海外で実績があるとしても,メーカ毎の設計の違いが解析結果に与える影響を評価することが必要である。商業機密に留意しながらも,代表的な製品に対する試験結果を外挿するような判断の仕組みを整えることが好ましい。統計的安全評価コードは,個々の要因がパフォーマンスに与える影響を詳細に分析するためのプラットフォームの役割を果たす。その普及には,95/95値に代表される評価基準を関係者の共通理解とする必要がある。核燃料の場合,過渡・事故時の挙動の評価が特に重要である。材料試験炉という基盤インフラが危機的な状況にあるなか,安全機能と物理現象の関係を丁寧に整理し,個々の試験の意義を明確に定義する姿勢が求められる。

解説
  • 宇根﨑 博信
    2023 年 65 巻 10 号 p. 608-612
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/10
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     民生部門における核不拡散・核セキュリティ措置のうち,核不拡散や核セキュリティ上のリスクそのものを低減するための措置として,試験研究炉の高濃縮ウラン燃料の撤去と低濃縮化が実施されている。試験研究炉の高濃縮ウラン燃料の撤去はわが国の核不拡散・核セキュリテイにとっても定量的かつ具体的な国際的な貢献であり,また試験研究炉の低濃縮化という炉工学的な観点との繋がりも強い。本稿では,試験研究炉の低濃縮化に関する取り組みと国際動向について,試験研究炉と高濃縮ウラン燃料,低濃縮化にかかる技術的な論点と,近年における国際動向について概説する。

  • 吉田 正
    2023 年 65 巻 10 号 p. 613-617
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/10
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     原子炉は地上最強のニュートリノ線源である。ニュートリノはほぼ完全に地上の物質と関わることなく宇宙の彼方に飛び去るが,考え抜かれた装置にその極微の痕跡を残すので検出は可能である。基礎物理から原子炉運転監視にいたるまでの広範な目的から現在世界の多くの原子炉でニュートリノ実験が活発に行われているが,ここ数年は小型炉での成果が目立つ。その背後には検出機器小型化と信号/ノイズ比改善技術の進化がある。

  • 1.核セキュリティ事案における初動対応
    土屋 兼一
    2023 年 65 巻 10 号 p. 618-620
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/10
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     核セキュリティ事案のうち,都市域における脅威として放射線テロがある。特に,汚い爆弾(ダーティーボム)と呼ばれる核物質やその他の放射性同位元素を爆発物で拡散させるテロの形態が懸念されている。本稿では,ダーティーボム発生後を想定し,それに対処する現場検知(核検知),核物質の分析(核鑑識),ゾーニング,さらに核セキュリティ事案に備えた対処訓練について,初動対応機関の立場から技術開発に対するニーズとともに解説する。

  • 2.局所域高分解能大気拡散・線量評価システムLHADDASの開発と放射線テロ対策への応用
    中山 浩成, 佐藤 大樹
    2023 年 65 巻 10 号 p. 621-624
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/10
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     高分解能計算格子により個々の建物影響を考慮し複雑な気流を再現可能な乱流モデルを導入して開発した大気拡散計算コード(LOHDIM-LES)と,建物の遮蔽効果を考慮した3次元体系で放射線の線量率寄与を計算する線量評価コード(SIBYL)を組み合わせた高分解能大気拡散・線量計算コードを開発した。さらに,都市市街地内で放出されたトレーサガスの大気拡散を短時間で計算可能な都市大気拡散高速計算コード(CityLBM)を導入し,局所域大気拡散のさまざまな課題に対応可能な解析システム「LHADDAS」を完成させた。本稿では,LHADDASの概要とその応用事例として,都市市街地での放射線テロを想定した詳細拡散・線量のシミュレーション結果について紹介する。

  • 水井 宏之
    2023 年 65 巻 10 号 p. 625-629
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/10
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     前回は新型転換炉原型炉ふげんにおける廃止措置の実施状況と,今後の進め方について紹介した。今回はこれまでに得られた主な知見や経験について紹介する。

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