日本原子力学会誌ATOMOΣ
Online ISSN : 2433-7285
Print ISSN : 1882-2606
51 巻, 4 号
選択された号の論文の44件中1~44を表示しています
あいさつ
祝辞
祝辞
解説
  • 世界標準を獲得し得る次期軽水炉開発の経緯と現状
    都筑 和泰, 笠井 滋, 守屋 公三明, 鈴木 成光, 新井 健司
    2009 年 51 巻 4 号 p. 229-233
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     2006年の総合エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会報告(原子力立国計画)などにおいて,2030年以降に発生すると予想される代替需要に備えるため,「次世代軽水炉を開発すべきである」ということが指摘されてきた。これを踏まえ,2006~2007年度にはフィージビリティスタディ(FS)を実施し,2008年4月には,(財)エネルギー総合工学研究所を中核機関として実際の開発に着手した。現在,「世界最高水準の安全性と経済性を有し,社会に受け入れられやすく,現場に優しい,国際標準プラント」の実現に向け,技術開発を推進している。

  • 実用化に向けたFBRサイクル開発の推進
    永田 敬, 一宮 正和, 船坂 英之, 水田 俊治, 名倉 文則
    2009 年 51 巻 4 号 p. 234-238
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     高速増殖炉(FBR)サイクルは,限りあるウラン資源を有効利用し,地球環境保全にも適合し,持続的な社会を支える枢要技術である。この技術の基盤となる次世代原子炉とサイクル研究開発について,これまでの経緯,開発の現状および今後の展望について紹介する。

  • 木村 浩
    2009 年 51 巻 4 号 p. 239-243
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     わが国において,将来にわたって原子力を継続的に利用していくためには,そのことに対して市民からの納得を得なければならない。本稿では,今までに「原子力の社会的受容性」とひとくくりにされてきた課題を,その時系列段階に従って再整理する。また,市民とコミュニケーションする目的として,市民のための「知識の涵養」と,市民からの「信頼の獲得」の2つを示し,どのような点に注意してコミュニケーションすべきなのかを解説する。

  • 原子力をめぐる世論と反対運動の変遷をたどる
    佐田 務
    2009 年 51 巻 4 号 p. 244-248
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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    日本の原子力開発は,人々の熱狂的な支持の下に始められた。しかし昭和40年代後半になると,社会党やその傘下の労働団体,学生運動,そして都市に拠点をもつ市民運動が,原発立地点における住民運動を支援する形で,反原発運動に参入しはじめる。そしてチェルノブイリ事故後の反原発ブームの到来により,運動は昭和63年に空前の盛り上がりを見せた。しかし,その後の反原発運動は,「もんじゅ」でのナトリウム漏れ事故やJCO事故,美浜発電所3号機での事故などのトピカルな問題では,ある程度の盛り上がりを一時的に見せることがあるものの,全般的には消沈する道をたどっている。

タイムカプセル記事
部会活動
  • 臨界実験が果たした意味とこれから
    炉物理部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 250-253
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     炉物理部会の前身は,本学会の最初の研究連絡会として設置された炉物理連絡会であり,本部会が取り扱う炉物理研究では,各年代の原子力開発の動向あるいは事故などに対応した研究が進められてきた。原子力導入期には,核データの整備が不十分で,計算精度も十分でなかったので,臨界実験が不可欠であり,核計算手法の改良を図ることが極めて重要な炉物理的課題であった。本稿では,臨界実験が果たした役割,および国際的交流の場としてのOECD/NEAと「炉物理研究」特別専門委員会の活動を振り返るとともに,今後の取組みと課題を提示する。

  • 国際研究協力と我が国の立場
    核融合工学部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 254-257
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     核融合炉の実現を目指す国際研究協力は,実験炉ITERの建設が開始され,さらに幅広いアプローチ(BA)活動も本格的に始まって佳境に入った。核融合炉実現の第一の鍵は炉心プラズマの成立であるが,長い道のりを経て,加熱エネルギーと発生エネルギーがバランスする臨界プラズマ条件が日欧の装置で実現するに及んで,炉工学研究の重要性が増している。その中で,我が国の核融合研究コミュニティーの中心組織としての核融合工学部会の役割はますます大きくなる。

  • 核燃料工学部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 258-261
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     知識集約型産業である核エネルギー産業のマネージメントコストは他の産業分野と比較して過剰である。多様な現場に対応し,限られた人材の有効利用,全体の知識マネージメントの合理化とサービス品質の向上という観点から,核燃料に関する戦略的な知識の再利用,体系化,深化を実施する必要がある。核燃料部会の活動の一部を総括しながら,今後の50年の問題設定を試みる。

  • 幅広い研究分野を結ぶバックエンド部会
    バックエンド部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 262-265
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     2000年原子力発電環境整備機構(NUMO)設立,2002年高レベル処分場公募開始,2007年高知県東洋町の応募と撤回,2008年TRU廃棄物についても公募開始……。バックエンド部会が発足して10年が経過した。この間,部会誌『原子力バックエンド研究』の発行,セミナーの開催等さまざまな活動を行ってきた。バックエンド部会が関係する分野の研究の進展と今後の展望について述べる。

  • ヒューマン・マシン・システム研究部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 266-269
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
    解説誌・一般情報誌 フリー

     本稿では,ヒューマン・マシン・システム研究部会の概要と活動内容を紹介するとともに,部会活動に密接に関連するヒューマンファクタ研究,ヒューマンインタフェース技術および高度情報処理技術の近年の進展についてまとめる。また,未来の原子力プラントの運転や保守に関する技術への夢を語る。

  • 熱流動部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 270-274
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
    解説誌・一般情報誌 フリー

     熱流動部会は,委員会活動や国際会議開催など様々な活動を通じて,原子力分野における熱流動技術の発展,規格・基準の策定,人材育成等に貢献してきた。本稿では,そのような熱流動部会の設立の経緯,主な活動の経緯,関連する技術分野の状況とそれに対する熱流動部会の貢献などについて紹介し,今後の部会活動に対する展望を述べる。

  • 放射線をキーワードとして
    放射線工学部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 275-277
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     放射線工学部会の発足の経緯と発足後の主な活動,部会を構成する各研究分野とその現状を紹介するとともに,今後の部会としての課題をまとめる。

  • Identity・国際化・医学物理・若手奨励
    加速器・ビーム科学部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 278-281
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     1998年,的場優九州大学教授(当時)を初代部会長として発足以来,10年の活動を総括する。日本物理学会ビーム物理領域,日本加速器学会など大きな関連学会がある中,本学会部会員の特徴である利用技術を前面に出し,大学原子力実験施設応援,研究会活動共催,韓国を基軸とした国際協力,利用技術のハイライトとしての研究開発的医学物理,若手奨励,新たな方向を述べる。

  • 水先案内人としての社会・環境部会
    社会・環境部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 282-285
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     1999年に発足した社会・環境部会。直後にJCOの臨界事故があり,以降,短期間のうちに,後に原子力スキャンダルと呼ばれるトラブルが続発した。それは原子力学会が社会に開かれた学会を標榜する契機を与え,生まれたばかりの社会・環境部会はそのさきがけとなる形で,これらのトラブルにもまれながらも,社会への扉作りを目指す活動や地道な研究に取り組んできた。学会創立40年の節目に創設された当部会のほぼ10年の活動と今後の道筋について紹介する。

  • 保健物理・環境科学部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 286-289
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     保健物理・環境科学部会は2000年に設立された。本部会の対象は,「人間」,「環境」,「放射線」,「被ばく」,「影響」のキーワードで表される分野であり,原子力分野の中で不可欠な分野のひとつとして,保健物理・放射線防護の実践的研究と基本理念の構築を推進することを大きな目的としている。また,公衆との直接の接点を担う重要性に鑑み,特に「環境科学」を重要なキーワードとして,先進的かつ学際的な議論を展開している。今後,原子力や放射線利用は,アジア地域において大きく発展することが予想されており,アジア地域における本分野の中心的な役割を果たし,国際的により積極的に活動することが求められている。

  • 核データ研究活動と核データ部会
    核データ部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 290-293
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
    解説誌・一般情報誌 フリー

     核データライブラリーは原子力研究開発利用に必要不可欠である。その精度向上が,原子力の安全性と経済性の向上に直結する。そのため,日欧米は独自の核データライブラリーの開発整備にしのぎを削っている。核データ測定実験と理論計算が核データ研究を支える。実験結果と計算結果を基に,核データの真の値を推定するのが核データ評価である。評価結果を所定の書式にまとめてライブラリー化することによって,初めて核データを利用することができる。核データ利用分野は拡大している。原子力産業のグローバル化に伴い,核データライブラリーの国際標準化が予想される。国際標準化において我が国の意見を十分に反映させるためには,我が国が世界をリードする核データライブラリーを保有していることが必須である。

  • 産業基盤技術
    材料部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 294-297
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
    解説誌・一般情報誌 フリー

     原子力学会材料部会が発足して以来,今年で8年目を迎える。その間,原子力材料に係る様々な社会的な動きがあった。その中で,原子力発電プラントの高経年化や次世代炉の開発に向けた材料研究の重要性が高まり,研究者の努力によって,技術開発のみならず,材料の物理・化学の基礎に至る学術研究にも進展の跡が随所に見られるようになってきた。原子力エネルギーの高効率安全利用に向けて,「新鮮」かつ「明快」な材料研究成果が求められており,それに向けた原子力材料部会活動の一層の活性化が望まれている。

  • 原子力発電の安全性および信頼性の更なる向上を目指して
    原子力発電部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 298-301
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
    解説誌・一般情報誌 フリー

     わが国では,現在53基の商用原子炉が運転中であり,発電電力量全体の約3割を賄っている。地球温暖化防止やエネルギー安全保障の観点から,原子力発電が果たす役割は大きく,原子力産業界を中心とした原子力発電の安全性および信頼性の更なる向上を目指した取り組みが推進されている。本稿では,このような取り組みおよびこれに関連した原子力発電部会の活動状況,ならびに原子力発電の今後の展望について述べる。

  • 開発支援と情報発信を目指して
    再処理・リサイクル部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 302-305
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
    解説誌・一般情報誌 フリー

     2001年3月の設立以来,再処理・リサイクル部会はセミナー,国際ワークショップ,学会企画セッション等を通して,関係各機関の研究技術開発と若手技術者育成を支援し,燃料サイクル分野の社会的な理解度を深めるために,中立公平な情報を外部に向けて発信している。米国の国際原子力エネルギーパートナーシップ(GNEP)に代表されるグローバルな燃料サイクル分野の活動にも取り組み,今後もタイムリーかつ積極的な情報発信および理解獲得を目指していく。

  • 計算科学技術部会の取組み
    計算科学技術部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 306-309
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     熱流動,構造,材料,電磁気等の多岐にわたる分野・区分横断型部会として2002年9月に部会が発足し,計算機科学,計算技術,解析手法等の研究者が集まり活動を進めている。本稿では,活動の歩み,核計算,伝熱流動,構造の分野での研究開発の現状と今後の課題について報告する。計算科学技術への社会の期待の大きさを考えたとき,計算工学分野の研究者が結集し,ミクロからメゾ,マクロの幅広いスケールのシミュレーションにより実機規模の検証ができるアプローチを議論できる場としての部会活動をさらに進めていくことが必要である。

  • プラント運転の安全性・信頼性の一層の向上を目指して
    水化学部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 310-313
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
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     水化学は原子力学会における50年の活動の中では比較的若い学問分野である。原子力プラントの本格的稼動開始後,燃料破損に伴う放射性核分裂生成物の放出,放射性腐食生成物の蓄積によるプラント停止時の線量率の増大とこれに伴う従事者の被ばく線量の増大など,原子力発電プラントでの冷却水に係わる諸課題に対応するため,1970年代半ばから学会活動が始まった。部会としては,24年間にわたる「研究専門委員会」としての活動を経て,2007年7月にスタートした若い部会である。プラントの安定運用に直接係わる技術であり,ニーズ志向の強い分野で,構成部会員も化学だけでなく,機械,電気,物理ほか,幅広い専門家の集団である。水化学管理は,構造材料,燃料の健全性に直接,間接的に関与しているため,プラントの安定運転と密接につながっており,その改善を通じて積極的にプラントの信頼性向上に寄与しようとしている。同時に,プラントの安全管理上,避けて通ることができないプラント内外の放射線場にも深く係わっている。本稿では,水化学部会の実プラントの安定運転への寄与と同時に,学問体系としての基盤技術について紹介する。

  • 原子力安全部会
    2009 年 51 巻 4 号 p. 314-317
    発行日: 2009年
    公開日: 2019/06/17
    解説誌・一般情報誌 フリー

     原子力安全部会は,2008年7月に設立総会を開いた新しい部会である。本部会は,安全確保の基本的考え方,体系的な原子力法制,より合理的な安全規制等,原子力安全に特有な課題について,研究者間の交流と情報交換を行う。また,原子力安全は様々な技術分野の知識を総集すべき分野であることから,学会内外の他の組織と積極的に協力する。原子力安全は社会的関心の大きな問題でもあるから,学会外部から示される期待に対応する活動も進めていく。

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