日本応用動物昆虫学会誌
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25 巻, 3 号
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  • 林 幸治, 小山 重郎
    1981 年 25 巻 3 号 p. 141-149
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    ウリミバエの蛹に約7kRのガンマー線を照射し,羽化した成虫の外部および内部形態を非照射虫と比較,検討した。
    外部形態:照射による翅の斑紋への影響は認められなかったが,額帯部の黒斑,唇弁,単眼三角部,半月瘤,腹部腹板の黒化部分,中胸背板及び小楯板の黄色斑紋の色調がうすくなる傾向がみられた。蛹の若い時期に照射されたものほど褪色が著しかった。
    内部形態:照射虫では精巣および卵巣の発達がほとんど停止し,受精のうの肥大化が遅れた。さらに,〓のうは非照射虫では7日齢以降大きさが減少する傾向がみられたのに対し,照射虫ではそれがみられなかった。一方,付属腺は,照射虫でも非照射虫でも同様な過程で発達した。
    以上の結果から,照射による形態的特徴によって照射虫と非照射虫を識別する可能性を検討した。
    外部形態では,各調査項目を総合して判断した場合,識別が可能であると思われた。
    内部形態では,照射によって発達していない精巣や卵巣の形態から識別が可能であった。死後の経過時間の長い乾燥した雄の精巣を熱湯で処理して調べた結果,形態的に不妊虫の識別が可能であることが分った。記号放逐法を用いる場合,これによってマーク脱落のチェックが可能になり,より正確な個体数推定ができると考えられる。
  • 宮田 正, 斎藤 哲夫, 深町 三朗, 桐谷 圭治, 川原 幸夫, 吉岡 幸治郎, 尾崎 幸三郎, 佐々木 善隆, 坪井 昭正, 浜 弘司, ...
    1981 年 25 巻 3 号 p. 150-155
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1. AliEと殺虫剤抵抗性との関連は有機りん殺虫剤抵抗性において普遍的なものと考えられたが,カーバメート剤抵抗性には何ら関連を認めることができなかった。
    2, ツマグロヨコバイのマラチオン抵抗性機構としては,マラチオンを分解するカルボキシルエステラーゼ活性の増大とAChEのマラオクソンに対する感受性の低下の両者が関与するが,系統によってその程度が異なった。
    3, フェニトロチオン抵抗性にGSH依存のいわゆるGSH-S-トランスフェラーゼや一部の抵抗性系統ではNADPH依存の薬物酸化酵素の関与が示唆された。一方カーバメート剤抵抗性は,カーバメート剤の代謝が主要因とは考えられなかった。
  • 阿久津 喜作, 窪木 幹夫
    1981 年 25 巻 3 号 p. 156-161
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1980年5月から7月まで,東京都小平市の雑木林でシロスジカミキリ成虫の行動調査および観察を行った。
    成虫の脱出期は5月下旬から6月上旬であった。1樹当たりの脱出虫数は1∼2頭が最も多かった。成虫の行動はマーキングによる個体識別によって観察した。脱出後,成虫はコナラ樹冠の枝条部に停留し,当年又は前年の枝の樹皮を後食する。交尾は後食によって性成熟するまで行われないと考えられた。性成熟した個体は日没後,樹冠の枝条部から樹幹へ降下し,夜明けと同時に再び枝条部に戻る行動をくりかえしていることがわかった。降下時刻は午後7時30分から9時の間が最も多かった。交尾,産卵行動は樹幹で夜間に行われる。雄は雌を樹幹で待ち伏せする行動をとることがわかった。交尾後,雌は産卵行動に入るが,雄は雌の背面にマウントしたまま共に行動し,その間頻繁に交尾する。雌では産卵管を抜去したあとの産卵孔を塞ぐ行動をとるのが観察された。標識再捕による観察ステーション内の移動を調査したところ,雄は雌より移動距離の大きいことがわかった。はじめ,ペアになった雌雄が同一樹に長く停留する例も観察された。
  • II 光周反応に支配された成虫の季節型
    成瀬 博行
    1981 年 25 巻 3 号 p. 162-169
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    光周反応によるモモハモグリガ成虫の季節型発現機構を調査した。
    ほ場では夏型成虫は春から夏に発生し,10月から後には認めなかった。一方秋型は9月下旬∼10月上旬以降に現われた。本種の季節型は光周期に支配されて発現し,夏型は成熟卵を持つ非休眠成虫,秋型と中間型は卵巣が未熟な休眠成虫であった。秋型は夏型より成虫に至るまでの発育日数が長く,その差は主に蛹期に生じたものであった。成虫のサイズは季節型による明らかな差を認めなかったが,頭幅に対する相対的な前翅長は明らかに秋型が長かった。季節型を決定する光周期感受ステージは幼虫期とみられるが,休眠成虫となるためには1,2齢幼虫期から短日で経過する必要があった。
    日長と休眠成虫率との関係から,本種の臨界日長は20°Cで約13時間,25°Cで約12,5時間と推定された。これらの結果をもとに富山県における光温図表を作製し,季節型が本種の生活史にはたす役割を考察した。
  • 野口 浩, 玉木 佳男, 新井 茂, 下田 美智子, 石川 巌
    1981 年 25 巻 3 号 p. 170-175
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Field trappings were conducted in using a three-component synthetic sex pheromone consisting of (Z)-11-tetradecenyl acetate (Z11-14Ac), (Z)-9-dodecenyl acetate (Z9-12Ac), and 11-dodecenyl acetate (11-12Ac) to develop a potent attractant lure for males of the oriental tea tortrix moth, Homona magnanima DIAKONOFF. Persistency of attractiveness on three kinds of dispensers such as chopped cotton rope, plastic capsule, and rubber septum was 2 days, 2 weeks, and 1 month, respectively. Addition of E-isomers of the pheromone components at a dose of less than 10% did not affect the attractiveness. Optimum ratio of the two minor components, Z9/12Ac and 11-12Ac, coincided with their natural ratio, 3 to 1. But the optimum ratio of the major component, Z11-14Ac, was twice that of the natural ratio. Based on these results, a 60:3:1 blend of Z11-14Ac, Z9-12Ac, and 11-12Ac loaded on a rubber septum (3.2mg in total) was recommended as an attractant lure for males of the oriental tea tortrix moth.
  • 佐藤 力郎, 柳沼 薫, 菅野 和彦, 熊倉 正昭
    1981 年 25 巻 3 号 p. 176-181
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    1個の性誘引トラップで数種の果樹害虫を同時に誘殺するため,それぞれの性誘引用製剤の誘引効果におよぼす他種の性誘引用製剤の影響について検討した。
    1. モモシンクイガでは,ナシヒメシンクイ,コスカシバおよびリンゴモンハマキの3種の製剤と同時に使用しても,誘引効果への影響は認められなかった。
    2. ナシヒメシンクイでは,モモシンクイガおよびコスカシバの製剤のそれぞれと組み合わせて使用しても,誘引効果への影響は認められなかったが,リンゴモンハマキおよびリンゴコカクモンハマキの製剤と組み合わせて使用すると,著しく誘引効果が低下した。
    3. リンゴモンハマキでは,モモシンクイガ,ナシヒメシンクイおよびコスカシバの3種の製剤と同時に使用しても,誘引効果への影響は認められなかったが,コカクモンハマキの製剤と組み合わせて使用すると,著しく誘引効果が低下した。
    4. コスカシバでは,ナシヒメシンクイおよびリンゴコカクモンハマキの製剤のそれぞれと組み合わせて使用すうと,誘引効果がそれぞれ約25および50%に低下した。またモモシンクイガ,ナシヒメシンクイ,リンゴモンハマキおよびリンゴコカクモンハマキの4種の製剤と同時に使用すると,誘引効果は著しく低下した。
    5. モモシンクイガとナシヒメシンクイおよびリンゴモンハマキとコスカシバを組み合わせて1個の性誘引トラップで2種ずつの誘殺消長を同時に調査したが,1個の性誘引トラップにそれぞれ1種ずつを対応させた場合の誘殺消長とほとんど同じであった。
  • 1. 殺ダニ特性とナミハダニ,ミカンハダニに対する防除効果
    山本 慎二郎, 西田 〓, 青木 篤
    1981 年 25 巻 3 号 p. 182-190
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    Streptomyces hygroscopicus subsp. aureolacrimosusの代謝生産物であるmilbemycins有効成分(A1, A2, A3・A4混合物,B1, B2・B3混合物,C1・C2混合物)およびそれらの分割母体である粗抽出物(褐色油状物質(以下BOMと略称))の殺ダニ特性について検討した。
    1, 活性の強いmilbemycins成分はA3・A4混合物,B2・B3混合物,C1・C2混合物であり,ナミハダニでは全発育ステージに対して活性が高かったが,ミカンハダニの卵期に対しては劣った。
    2, BOMでは各有効成分が相加効果として作用していると考えられた。
    3, 各有効成分およびBOMの致死量以下の処理は成虫に対して麻痺作用があり,後に蘇生した。
    4, BOMは太陽光下で容易に分解され,また暗黒条件下の植物体上でも容易にその活性は低下した。
    5, BOMはマシン油との配合でミカンハダニ卵に対して高い共力作用が認められた。
    6, BOM乳剤はナミハダニ鉢試験で有効であったが,ミカン園でのミカンハダニ防除効果は不安定であった。しかし少量のマシン油との配合散布は,きわめて高い防除効果を示した。
  • 平野 千里
    1981 年 25 巻 3 号 p. 191-193
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    水田10枚(合計3.15ha)にダイアジノン3%粒剤を散布し(3kg/10a),水田灌漑水および排水路中のダイアジノン濃度の消長をしらべた。灌漑水中の濃度は散布1∼2日後に最高(250∼500ppb)となる。その後,急速に低下し,8∼9日後には5ppb前後,16日後には1ppb前後になった。大凡の半減期は処理10日後あたりまでが約1.2日,その後は約8.4日であった。排水路中の濃度は,処理1日後に1ppbを越え,3日後に最高値4.7ppbに達した。その後減少したが,灌漑水中の濃度のように急減せず,32日後にも0.5ppbレベルを示した。
  • 滝口 義夫
    1981 年 25 巻 3 号 p. 194-195
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 3. 寄主選好性を利用した検定法について
    安藤 幸夫, 岸野 賢一
    1981 年 25 巻 3 号 p. 196-197
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 小山 健二, 三橋 淳, 奈須 壮兆
    1981 年 25 巻 3 号 p. 198-200
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The planthopper, Sogatella longifurcifera, could be reared on chemically defined diets, MED-1, MED-4 and MMD-1, from the 1st instar to the adult stage. The larval period was prolonged, while the survivorship was higher on synthetic diet compared with the control fed on rice seedlings.
  • 石原 廉, 河相 信介
    1981 年 25 巻 3 号 p. 200-202
    発行日: 1981/08/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    The azalea lace bug, Stephanitis pyrioides preferred to feed on the lower surface of the leaves of azalea and its stylets reached the palisade parenchyma tissues which are closer to the underside of the upper surface of the leaves. The stylets were always inserted through the stomata which were found on the lower aspect only. It is assumed that the selection of the feeding site by the insect is related to the stomata distribution on the azalea leaves.
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