要旨 術中回収式自己血輸血を用いて,腹部大動脈瘤人工血管置換術を行った45例について検討した.自己血輸血量は,平均2,282mlで総輸血量の79%を占め,45例中18例(40%)は自己血輸血のみで手術を終了することができた.自己血輸血のみを行った18例では,術後において,血中ヘモグロビン濃度・血小板数の低下,血中総ビリルビン値の上昇,肺胞-動脈血酸素分圧較差の拡大が認められた.また,血漿β-thromboglobulinの有意の上昇が認められ,血小板の活性化が示唆された.しかし,術後の凝固異常,感染症,重篤な腎機能障害は認められなかった.回収式自己血輸血は,他家血輸血の必要量を減少することができ,有用な方法であると考えられる.
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