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日本臨床麻酔学会誌
Online ISSN : 1349-9149
Print ISSN : 0285-4945
ISSN-L : 0285-4945
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15 巻 (1995)
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2 号 p. 103-
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胸腔鏡下食道切除術時の術中体位が術後患者状態に与える影響に関する後ろ向き観察研究
髙岡 悠子, 出田 眞一郎, 三住 拓誉, 黒田 大介, 前川 信博, 溝渕 知司
2015 年 35 巻 7 号 p. 701-706
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
DOI
https://doi.org/10.2199/jjsca.35.701
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胸腔鏡下食道切除術中の体位が患者の周術期管理に与える影響に関する報告は少ない.そこでわれわれは,2008年4月から2013年3月までに同一術者で施行された胸腔鏡下食道切除術患者を食道切除術中体位により,側臥位群(67例)と腹臥位群(70例)に群分けし,周術期酸素化能と合併症発生率を両群で比較した.腹臥位群では,側臥位群と比較して,手術時間(p=0.001)は有意に長く,出血量および術中輸液量は有意に少なかった(p<0.001).腹臥位群の酸素化能は分離肺換気後(p=0.043)およびICU帰室後(p=0.001)において側臥位群と比較して有意に良好であった.術後の心房細動,縫合不全,肺炎の発生頻度は,両群で有意な差はなかった.
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(453K)
症例報告
気管挿管中に発見されたAngina Bullosa Haemorrhagicaの1例
林 和宏, 柳田 京子, 山川 直子, 石川 麻子, 石島 麻美子, 北原 淳一郎
2015 年 35 巻 7 号 p. 707-710
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
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https://doi.org/10.2199/jjsca.35.707
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Angina bullosa haemorrhagica(以下ABH)は血液異常や水疱性疾患のような全身疾患とは無関係に,突然口腔内に血疱を生じる疾患である.典型例では血疱出現の後,自壊し治癒するため臨床上問題となることは少ない.しかし血疱により気道閉塞した症例も報告されており,麻酔管理においては慎重を要する.今回術中にABHが発見され,慎重な抜管およびICUでの経過観察により問題なく全身管理できた症例を経験した.
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(1057K)
筋萎縮性側索硬化症患者に対する肺葉切除術の麻酔経験
大岩 雅彦, 小林 求, 金澤 伴幸, 森松 博史
2015 年 35 巻 7 号 p. 711-714
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
DOI
https://doi.org/10.2199/jjsca.35.711
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筋萎縮性側索硬化症は,麻酔や手術侵襲により術後呼吸器機能が低下した場合には,人工呼吸器管理を余儀なくされる可能性がある.そのため,肺葉切除術のような呼吸機能を低下させる手術の麻酔管理はほとんど報告がない.今回われわれは,76歳女性の筋萎縮性側索硬化症患者の肺葉切除術に対して,プロポフォール,レミフェンタニルを用いた全静脈麻酔と胸部硬膜外麻酔を併用し安全に管理しえた.短時間作用型の麻酔薬や術後鎮痛の進歩,低侵襲手術の普及により筋萎縮性側索硬化症患者でも以前より安全に手術が行えるようになった.しかし将来的な人工呼吸までの期間を短縮する可能性はあるため,手術適応には慎重な評価が必要である.
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(363K)
小児重症筋無力症の麻酔経験
西田 静香, 小林 求, 日笠 友起子, 金澤 伴幸, 森松 博史
2015 年 35 巻 7 号 p. 715-718
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
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https://doi.org/10.2199/jjsca.35.715
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小児の重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)に対する胸腺摘出術の適応は限られており,その麻酔管理の報告は少なく,安全性は確立されていない.症例は9歳の男児.症状の増悪を認める全身型小児MGに対して胸腔鏡下胸腺摘出術が施行された.術後の呼吸不全を避けるため,筋弛緩薬を用いずに全身麻酔で管理した.麻酔導入時はセボフルランとレミフェンタニルにて麻酔深度を深め,スムーズに気管挿管を行えた.術中も体動を認めることなく安定して経過し,手術室にて抜管した.術後経過は良好であった.全身型小児MG患者の胸腺摘出術の周術期管理において筋弛緩薬を用いることなく麻酔を行い,安全に管理することができた.
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(323K)
小児気管支カルチノイド摘出術の麻酔導入時に治療に抵抗する重度の気管支攣縮をきたし換気不能となった1例
本田 康子, 吉田 仁, 荒井 理歩, 長岡 治美, 片岡 久嗣, 那須 倫範
2015 年 35 巻 7 号 p. 719-723
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
DOI
https://doi.org/10.2199/jjsca.35.719
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小児気管支カルチノイド摘出術の麻酔導入時に,治療に抵抗する重度の気管支攣縮をきたし,換気不能となった1例を経験したので報告する.症例は10歳の男児で,気管挿管後に換気不能となった.気管支攣縮を疑いエピネフリンなどで治療を行ったが反応が乏しく,約13分間換気不能状態が続いた.カルチノイドはホルモン産生腫瘍であり,種々の刺激がトリガーとなって気管支攣縮を含むカルチノイドクリーゼを起こす場合がある.通常の治療には反応せず致死的となる可能性があるため,周術期はトリガーとなるストレスや交感神経過緊張を抑え,ソマトスタチンアナログ製剤や膜型人工肺など周到な準備を行って手術に臨むべきである.
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(339K)
低流量麻酔で発生した水による麻酔器内の換気量計の故障
小幡 良次, 堀 悦代, 高田 浩太郎, 小幡 由佳子
2015 年 35 巻 7 号 p. 724-728
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
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https://doi.org/10.2199/jjsca.35.724
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呼気二酸化炭素と麻酔器の二酸化炭素吸収剤の反応により水が発生する.低流量麻酔で水の産生量が増加したことが原因と考えられる麻酔器内の換気量計の故障を経験した.症例は,56歳の女性.身長165cm,体重60kg.経鼻的下垂体腫瘍摘出術に対して全身麻酔を行った.麻酔維持は新鮮ガス流量1L/minの低流量デスフルラン麻酔で行い,低流量麻酔時間は8時間33分であった.手術は問題なく終了したが,同麻酔器を使用した次症例の麻酔導入中に麻酔器の換気量計の故障が生じた.換気量計センサーのある麻酔器内部回路には多量の水が認められた.新鮮ガス流量1L/min以下で長時間低流量麻酔を行う場合は,水産生の影響に注意を払う必要がある.
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(918K)
腹腔鏡下低位前方切除術直後に腕神経叢損傷をきたした1例に対する検証実験による原因検索
榊原 賢司, 松浪 勝昭, 岸本 朋宗, 柳谷 忠雄
2015 年 35 巻 7 号 p. 729-733
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
DOI
https://doi.org/10.2199/jjsca.35.729
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腹腔鏡下低位前方切除術直後に右腕神経叢損傷をきたした1例を経験したので報告する.症例は60歳の男性.直腸癌に対し,放射線化学療法後に腹腔鏡下低位前方切除術を施行した.第12胸椎-第1腰椎間で硬膜外カテーテルを挿入後,プロポフォール,レミフェンタニルによる麻酔導入,維持を行った.手術中の体位は下肢支持器を用いた砕石位で,10°の頭低位,右側低位で行った.手術終了直後より右腕神経叢障害を認めた.検証実験を行った結果,肩支持器の圧迫に加え,皮下血腫が腕神経叢を圧迫し,神経障害をきたしたと考えられた.腹腔鏡下手術は,長時間となる場合や,特殊な体位で行われる場合があるため,神経障害には細心の注意が必要である.
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(1240K)
短報
ヘパリン抵抗性患者の開心術においてアルガトロバンを使用して人工心肺管理を行った1症例
高野 類, 松島 桃子, 林 智絵, 河手 良一
2015 年 35 巻 7 号 p. 734-737
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
DOI
https://doi.org/10.2199/jjsca.35.734
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44歳の男性.大動脈弁置換術において,人工心肺開始時にヘパリン投与,アンチトロンビン製剤投与しても,活性化凝固時間(activated clotting time:ACT)は400秒以下であった.ヘパリン抵抗性と判断しアルガトロバンを0.25mg/kg投与して人工心肺を開始した.人工心肺中,アルガトロバンは5〜8μg/kg/minで持続投与し,合併症はなかった.人工心肺からの離脱は順調で,止血に難渋することなく手術を終了した.
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(385K)
日本臨床麻酔学会第34回大会 シンポジウム ─周術期管理チーム最前線─ここまで来たチーム医療──
「周術期管理チーム最前線 ─ここまで来たチーム医療─」によせて
落合 亮一
2015 年 35 巻 7 号 p. 738
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
DOI
https://doi.org/10.2199/jjsca.35.738
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(122K)
手術室看護師の役割─日本手術看護学会として─
石橋 まゆみ
2015 年 35 巻 7 号 p. 739-743
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
DOI
https://doi.org/10.2199/jjsca.35.739
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日本麻酔科学会・日本手術看護学会は協働チームメンバーとして,相互の職務を理解し,連携してチーム医療の推進,手術医療安全に貢献している.厚生労働省はチーム医療推進の中のキーパーソンは看護師であるとしている.麻酔科医も同様に認識している.私たちは,患者安全を第一とする看護実践者の役割を担っている.患者の術中安全管理と術後侵襲最小限のために,術前アセスメントした計画を立案する.また倫理的視点で患者の代弁者の役割もある.看護師の各々の質向上への姿勢や努力とともに現場においてメンバーが相互に学べる関係が重要である.またそのために各施設の業務整理も必要となる.
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周術期管理チームにおける多職種の連携と看護師の役割 ─チームで取り組む術前外来を中心に─
山本 千恵
2015 年 35 巻 7 号 p. 744-749
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
DOI
https://doi.org/10.2199/jjsca.35.744
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周術期の課題を解決するために多職種で連携する周術期管理チーム(perioperative management team:以下PMTと略す)を立ち上げ,PMTで行う術前外来(PMT外来と命名)を始めた.PMT外来の特徴は,オペナースを中心にトレーニングを受けた看護師(以下,PMTナース)が2名1組で身体診査や周術期に必要な指導を行い,看護アセスメントをしていることである.PMT外来の質を保証するために,①PMTナース育成プログラムに沿った人材育成,②外来前に全症例のカンファレンスを行っている.外来では多職種が専門性を活かし入院前に課題解決を図る.PMTが課題解決機関として機能し,チームの連携が強化できた.PMT外来を導入したことで,休薬が守れないことによる手術中止や気管挿管時の脱落歯はゼロになった.
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周術期管理チームにおける薬剤師の役割 ─術前,術後管理について─
堀内 賢一, 五味 知之
2015 年 35 巻 7 号 p. 750-757
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
DOI
https://doi.org/10.2199/jjsca.35.750
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当院は2014年3月に専門医療と救急・急性期医療に特化した予約・紹介型の病院として新設された.DPCが導入され入院期間の短縮が図られているが,入院後の管理を中心とした周術期患者管理は,もはや限界である.周術期患者管理を取り扱う専門部署として入退院支援室,周術期外来,持参薬管理室などがあり,その他の職種や他部門のスタッフと協働し,周術期のチーム医療を行っている.持参薬管理室では,持参薬・常用薬情報や薬学的管理情報を収集し,周術期管理チームへその情報を提供している.ICUの担当薬剤師が術後管理を実施している.退院後には心臓血管外科術後の患者を中心に心臓リハビリ外来や心臓リハビリ教室にも薬剤師が関与している.
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薬剤師による鎮痛薬の調製と術後痛管理への関与
長谷川 哲也, 大岩 彩乃, 寺田 享志, 落合 亮一, 小杉 隆祥, 西澤 健司
2015 年 35 巻 7 号 p. 758-764
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
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https://doi.org/10.2199/jjsca.35.758
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早期離床,術後回復能力強化には,術後痛を十分にコントロールすることが重要である.術後痛をコントロールするには,多職種により構成されたチームで総合的に疼痛管理を行うことと,薬理学的に作用機序の異なる多様な薬物を組み合わせて行うマルチモーダル鎮痛法が有効である.東邦大学医療センター大森病院では,多職種からなる術後急性痛サービス(Acute Pain Service:APS)チームを立ち上げた.その中で薬剤師は,鎮痛薬の調製,効果・副作用の評価,効果的な薬物治療の提案を行っている.
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周術期管理チームにおける臨床工学技士の役割 ─基本業務指針2010からの展望─
萱島 道徳
2015 年 35 巻 7 号 p. 765-771
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
DOI
https://doi.org/10.2199/jjsca.35.765
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臨床工学技士法施行からすでに27年の歳月が経ち,臨床工学技士の社会的な期待も幅広くなり,業務指針にない新たな業務への対応が課題となり,2010年に臨床工学技士基本業務指針2010が作成された.この臨床工学技士基本業務指針2010においては,生命維持管理装置の操作業務から治療業務へと常に患者と装置の両面の状態を把握することが明記された.「周術期管理チーム」に参加するための認定制度を構築していくためには,臨床工学技士基本業務指針2010を踏まえての認定制度とし共通言語である第3版『周術期管理チームテキスト』にその内容も記し,その上で公益社団法人 日本臨床工学技士会の専門制度も併せて構築していく必要がある.
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周術期における機械式PCAポンプの管理
木内 耕己
2015 年 35 巻 7 号 p. 772-779
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
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https://doi.org/10.2199/jjsca.35.772
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機械式PCAポンプ(PCA:Patient Controlled Analgesia)の使用は,術後疼痛管理に有効な手法の一つである.PCAの設定調整や記録が可能となる一方,実際の運用には機器,薬剤の準備,患者の状態把握,設定変更,データ管理,トラブル対応など対応事項が多く,多職種が関与したチーム医療が必要となる.当院では,炎症性腸疾患手術後における細やかな疼痛管理を目的として,2009年から機械式PCAポンプを5台導入し運用を開始した.本稿では,機械式PCAポンプの特徴,当院における導入の経緯,各職種の役割,臨床工学技士の役割およびトラブル対応事例,機器管理の必要性について述べる.
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周術期チームにおける口腔機能管理システムと効率よい管理のための方策─術前管理期間を左右する2つの因子と4つの管理タイプ,地域における医科歯科連携─
関谷 秀樹, 福井 暁子, 高橋 謙一郎, 堀江 彰久, 寺田 享志, 落合 亮一
2015 年 35 巻 7 号 p. 780-789
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
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https://doi.org/10.2199/jjsca.35.780
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周術期における多職種連携チームの必要性が周知されつつある中で,口腔機能管理においては,システム化され術前に十分な管理時間を割くことができる施設は実際には多くない.システム化がなされていない場合,短期間に依頼患者が集中し,一見,人的資源の不足のような状態が起こる.われわれはさまざまな病院の見学や文献的渉猟を行うことで,そのシステムを分類した.手術までの口腔管理実施期間を左右する因子としては,①術前に周術期管理部門(または麻酔科外来)を受診するか否か,そして,②全員受診または手術実施診療科からの依頼受診かの2因子であった.今回,その組み合わせによる4つの管理タイプについて論じ,その中の1タイプとしての当院周術期センターでの「口腔トリアージ」による口腔機能管理方式について触れながら,他のシステムとの比較を行った.また,周術期口腔機能管理のもう一つの問題点として,歯科・口腔外科のない病院とその周辺の歯科医院との連携体制が進んでいないことがあげられる.今回,本学附属病院や関連研修病院での医科歯科連携状況を検証し,その問題点を探る.
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周術期センター情報支援部門の取り組み
河辺 紳司, 落合 亮一, 吉田 実知
2015 年 35 巻 7 号 p. 790-794
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
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https://doi.org/10.2199/jjsca.35.790
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DPCの導入以来,手術室の運用は病院経営において重要度が増しており,正確な情報管理が必須であるため,当院では運営・物流・医事情報の一括管理を目的とし,周術期センター情報支援部門が開設された.医療材料供給業務委託について,委託業務評価責任者を適切に配置しなかったことで,物流体制に不備が確認されたため,支出面だけでなく収入面にも適正な評価に影響を及ぼしていた.そこで,周術期センター所属の事務職員が委託業務を監督することで,委託費を低減するとともに,委託業務の拡大(看護業務の軽減),在庫削減,医事請求精度向上等の効果が得られた.限られた資源の中で手術室の情報を管理するには,事務職員の活用が有用であると考えられる.
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講座
麻酔科医だからこそできる覚醒下開頭手術の術中管理
鎌田 ことえ
2015 年 35 巻 7 号 p. 795-803
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
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https://doi.org/10.2199/jjsca.35.795
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覚醒下開頭手術は脳高次機能を温存した手術を可能にする.特に病変が言語野に近接する症例では,術中に言語機能が保たれていることを確認できる唯一の方法である.しかし,患者覚醒時には言語タスクの完遂を目的として患者の気道は確保されず,頭蓋内操作による嘔吐やけいれんなどの急変リスクも伴う.その上,手術目的を達成しうるだけの明瞭な覚醒状態を長時間にわたって維持しなければならないことから,麻酔科医には通常の全身麻酔以上にきめ細かな術中管理が求められる.本稿では,われわれの施設における過去300症例以上の経験をもとに,周術期管理の基本および術中合併症への対応について述べたい.
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〔エピドラスコピー研究会〕第14回エピドラスコピー研究会 特別講演
脊椎脊髄のMRI─痛みの画像化を目指して─
末吉 健志
2015 年 35 巻 7 号 p. 806-813
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
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https://doi.org/10.2199/jjsca.35.806
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椎間板ヘルニアなどの退行性疾患に対するMRIの意義は,椎体椎間板などの形態評価と腫瘍などの他疾患除外とされてきた.ペインクリニック医にとって最も重要である疼痛責任部位の同定は神経学的評価に委ねられてきたが,大きな進歩を遂げた現在のMRI技術と最近の知見を踏まえた読影を行えば,画像側からの疼痛責任部位の推定もある程度可能と思われる.撮影に関して重要なのは,連続撮影と脂肪抑制T2強調画像であり,読影に関して重要なのは詳細な解剖学的検討に加えて,椎間板突出部の信号,椎体信号,末梢神経所見,傍脊柱筋信号の確認と考える.
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〔エピドラスコピー研究会〕第14回エピドラスコピー研究会 症例報告
硬膜外麻酔後の脊髄硬膜外血腫
五十嵐 孝, 平 幸輝, 島田 宣弘, 村井 邦彦, 丹羽 康則, 竹内 護
2015 年 35 巻 7 号 p. 814-818
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
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https://doi.org/10.2199/jjsca.35.814
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硬膜外麻酔後に発生した脊髄硬膜外血腫について報告する.症例は,81歳女性で,硬膜外麻酔を併用した全身麻酔下に行ったイレウス手術の術後第3病日に脊髄硬膜外血腫を発症した.緊急椎弓切除術を施行し,下肢の麻痺は改善した.硬膜外麻酔や硬膜外腔内視鏡の後に腰背部や下肢の痛みが出現した場合は,硬膜外血腫を念頭に置き厳密に神経所見を観察し,麻痺が出現したときは早期の検査と治療が必要である.
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硬膜外腔内視鏡の繰り返し施行で長期間治療を行っている脊椎手術後痛症候群の1症例
境 徹也, 樋田 久美子, 原 哲也
2015 年 35 巻 7 号 p. 819-823
発行日: 2015/11/14
公開日: 2015/12/04
DOI
https://doi.org/10.2199/jjsca.35.819
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患者は71歳の男性.4年前,腰部脊柱管狭窄症による左腰下肢痛に対して,椎弓切除術を受けて痛みは軽快した.その後,痛みが再発したため,当科を受診した.痛みはL5およびS1神経根痛であり,硬膜外ブロックと神経根ブロックの効果は一時的であったため,硬膜外腔内視鏡を行った.L5-S1椎間レベルで癒着があり,左L5椎間孔付近では高度であった.慎重に癒着剥離および局所麻酔薬とステロイド注入を行い,痛みは軽減した.その後の6年間で,下肢の神経根痛の増強時に硬膜外腔内視鏡の繰り返し施行を計6回行った.痛みの軽減も初回と同様に得られ,合併症も起こっていない.
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