Pericapsular nerve group block(PENGブロック)と外側大腿皮神経ブロックにより,良好な鎮痛が得られた肝硬変合併患者の人工股関節置換術を経験した.症例は49歳男性.Child-Pugh分類Cのアルコール性肝硬変と診断されていたが両側股関節痛のため整形外科を受診,両大腿骨骨頭壊死と診断され右人工股関節置換術が予定された.全身麻酔にPENGブロック,外側大腿皮神経ブロックを併用し,良好な鎮痛,術後経過を得た.3カ月後に同様の麻酔にて左人工股関節置換術が施行されたが,経過は良好で術後3カ月で退院となった.
腹腔鏡下大腸手術の周術期管理の体位に関連した3つの主な合併症,神経障害,Well Leg Compartment Syndrome,褥瘡について述べた.それらの発生要因,危険因子,その予防対策について概説した.合併症予防のために,術前に危険因子について理解し,術中は無理のない体位で過度の圧力がかからないように配慮する.筆者らの術中に体圧モニタリングをしたデータからは,長時間の圧負荷も問題となることが推察された.合併症は早期発見・早期対処が重要であり,発症した場合は,要因と今後の対策を検討することも必要である.