末梢組織に損傷が起こると,一次求心性神経の感受性の亢進が起こる(末梢性感作).これが脊髄への入力をいっそう増加させる.連続性のC線維の発火により脊髄後角では,C線維末端からグルタミン酸が放出され脊髄後角細胞のNMDA-receptorが活性化され,細胞内にCa
++が流入する.これによりサイクロオキシゲナーゼ,一酸化窒素合成酵素が活性化されプロスタグランディンE
2,一酸化窒素が産生される.これらの物質は細胞外に拡散し,近隣のC線維に作用し,神経伝達物質の放出を促す.その結果,末梢からの侵害刺激に対する後角細胞の応答は増幅される(中枢性感作).鎮痛を行なう際には求心性入力,末梢および中枢性感作の制御を考慮することが重要である.
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