日本臨床麻酔学会誌
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29 巻 , 4 号
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日本臨床麻酔学会第28回大会 教育講演
  • 西野 卓
    2009 年 29 巻 4 号 p. 341-350
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      生理学的に呼吸困難と疼痛には多くの点で共通することが多く, 疼痛の生理学に精通している麻酔科医には呼吸困難は比較的研究しやすいテーマと思われる. 呼吸困難は異常な呼吸感覚であり, その発生にはいくつかの感覚受容器の働きが重要である. 呼吸困難の発生機序としては, 感覚受容器からの求心性入力と中枢からの運動出力とに解離が存在する場合に呼吸困難感が発生するという考え方, すなわち中枢-末梢ミスマッチ説が最も有力である. さらに, 最近の画像分析研究で呼吸困難感発生には疼痛発生と同様に帯状回 (Gyrus cinguli) , 島 (Insula) など情動に関連した大脳部位の重要性が指摘されている. がん患者の呼吸困難の治療に関しては, 疼痛と比較して選択できる薬物や方法の幅はきわめて狭く, 今後の研究が必要となっている.
日本臨床麻酔学会第28回大会 シンポジウム—中枢神経保護—
  • 坂部 武史, 西川 俊昭
    2009 年 29 巻 4 号 p. 351
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 清貴, 加藤 正人
    2009 年 29 巻 4 号 p. 352-357
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      脳保護を目的とした全身低体温療法は1955年から行われている. 体温30℃以下での脳外科手術が多くの症例で行われたが, 循環合併症が多く, 1970年頃から行われなくなった. 1987年, 軽度低体温の脳保護効果が実験的に示され, 1990年頃から臨床応用された. 脳動脈瘤手術, 頭部外傷, 脳梗塞, 蘇生後脳症などで軽度低体温管理が行われ, 2001年以降大規模臨床試験の結果が発表された. 心停止後の蘇生後脳症, 新生児低酸素脳症では有効性が確認されたが, 脳動脈瘤手術, 頭部外傷ではnegativeの結果であった. 脳温の低下は脳保護的に作用することは明確であるが, 全身の体温低下は感染, 出血など合併症の原因となり, 最終的な予後を必ずしも改善しない. 現在のところ, 短期間の軽度低体温は蘇生後脳症などで適応となる. 脳局所の温度下降が可能となれば, さらに有効な治療手段となる可能性がある.
  • 川口 昌彦, 古家 仁
    2009 年 29 巻 4 号 p. 358-363
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      麻酔薬による脳保護作用として, 吸入麻酔薬, プロポフォールおよびバルビツレートなどの脳保護効果が動物実験で報告されているが, そのメカニズムは麻酔薬により異なる. また, その効果は一過性である場合も多く, 再灌流早期に他の治療法を開始することが重要である. しかし, 臨床例においては麻酔薬の脳保護作用は示されていないのが現状である. 一方, 新生児モデルなどで麻酔薬を長時間曝露した場合に, アポトーシスを誘発するなどの神経毒性があることが報告されている. 特にケタミンや亜酸化窒素などのNMDA受容体拮抗薬, 吸入麻酔薬, ベンゾジアゼピン, プロポフォールなどのGABA-A受容体活性作用をもつ麻酔薬の組み合わせではその作用が大きくなる. 臨床例における麻酔薬の神経毒性の可能性についても検討が開始されている. 今後, 麻酔薬についてはその脳保護作用と神経毒性の両面について検討していく必要がある.
  • 合谷木 徹
    2009 年 29 巻 4 号 p. 364-376
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      動物実験において脳保護効果があるとされた薬物も, 実際の臨床においては有効性が乏しいことが多いのが現状である. 麻酔関連薬のなかで, 脳保護効果があるとされている薬物には, 局所麻酔薬のリドカイン, β受容体遮断薬, α2受容体刺激薬のデクスメデトミジン, ケタミン, Rhoキナーゼ阻害薬, スタチン (HMG-CoA還元酵素阻害薬) などがあげられる. 今回はそのなかで, リドカイン, デクスメデトミジン, β遮断薬に焦点を当てた.
    1. リドカイン: 動物実験においては脳保護効果の報告が多数みられる. 前脳虚血や局所脳虚血においても脳保護効果があり, アポトーシスを抑制した報告や虚血時のグルタミン酸濃度の低下の報告もある. 臨床例では, 心臓の弁置換術を受ける患者に術中から術後に持続投与した時に術後の認知機能を改善した報告がある.
    2. デクスメデトミジン: 鎮静薬として臨床使用されているが, 動物実験においては脳保護効果の報告が多数みられる.
    3. β遮断薬: 動物実験では, プロプラノロール, カルベジロールの報告がある. われわれは, 短時間作用性β遮断薬の脳保護効果をラットで検討してきた. 臨床例では, プロプラノロールとアテノロールを急性脳梗塞に使用した際に, β遮断薬により死亡率が増加した. しかし, β遮断薬投与群ではより高齢で重症の患者が多かった報告がある. 最近では, 重症頭部外傷受傷患者において, β遮断薬服用患者では死亡率が減少し, 予後を改善した報告がある.
    本稿では, われわれの研究結果を交えて, これらの薬剤の脳保護効果に関して報告する.
  • 松本 美志也, 内田 雅人, 歌田 浩二, 福田 志朗, 石田 和慶
    2009 年 29 巻 4 号 p. 377-384
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      集中治療が必要な重症患者に対する強化インスリン療法が報告されて以来, 脳・脊髄保護における血糖管理に注目が集まっている. しかし, 脳・脊髄保護における血糖管理の重要性は以前から認識されており, その研究には30年の歴史がある. 今までの動物実験の結果からは, 虚血直前の高血糖が神経学的予後を増悪させるということは間違いないと思われる. 高血糖の程度に関しては, 軽度の高血糖 (正常範囲より40mg/dLの上昇) でも予後を増悪させることが報告されている. したがって, 虚血前の血糖コントロールは厳密に行うべきであると思われる. しかし, 脳梗塞患者や頭部外傷患者にも厳密な血糖コントロールが有益かどうかは明らかではない. このような患者では, 著しい高血糖は避けるべきであるが, 厳密な血糖コントロールは脳障害を増悪することが明らかな低血糖を生じる危険もあるので, 現段階では厳密な血糖コントロールに固執しない方がよいと思われる.
  • 内野 博之, 福井 秀公, 野口 将, 宮下 亮一, 武田 明子, 芝崎 太
    2009 年 29 巻 4 号 p. 385-405
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      臨床における中枢神経障害への迅速な対応は, 重要である. その理由は, 一過性の脳虚血が時として脳神経細胞死を誘発し重篤な後遺症を残すからである. 長年にわたる研究にもかかわらず, 中枢神経障害へと至る病態の進行を完全に阻止する有効な治療法の確立はなされていない. これまで, 中枢神経障害形成にはグルタミン酸-Ca2+説が重要な役割を果たすと思われてきたが, 真の標的分子は明らかではなかった. 本稿では, 虚血性神経細胞死形成におけるカルシニューリン・イムノフィリン情報伝達系とミトコンドリア機能不全 (MPT) の重要性にふれた. さらに, ヒト脳におけるミトコンドリア機能不全についても述べてみた. また, 中枢神経障害捕捉のための脳機能モニタリングとしてのバイオマーカーの現状に言及し, 麻酔科医として脳保護の可能性ならびに臨床での脳保護・神経再生のあり方を検討した.
日本臨床麻酔学会第28回大会 パネルディスカッション—効率的手術室運営における麻酔科医の役割—
  • 鈴木 利保, 小西 敏郎
    2009 年 29 巻 4 号 p. 406
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 利保
    2009 年 29 巻 4 号 p. 407-417
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      東海大学医学部付属病院リニューアルにおける効率的な手術室運営の実際をハード面から言及した. 手術室を有効に利用するためには, 以下の工夫が必要である. (1)手術室を増やし, 一部の手術室では, 1部屋に2台の手術台を置き, 1人の術者が次々と手術のできる環境を作る, (2)Convertibleな手術室に代表される連続して手術を可能にする手術室の構築, (3)一足制, 手術進捗管理システム等の患者の出し入れをスムーズに行うための工夫, (4)入院医療の外来化および麻酔科医の有効利用, (5)短期入院手術センター (SSSC) を利用した日帰り手術, 短期入院手術化の推進.
  • 小西 敏郎
    2009 年 29 巻 4 号 p. 418-426
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      いま全国の多くの地域基幹病院やセンター病院などの急性期病院には手術患者が集中しつつあり, 麻酔体制や手術室の整備が必要とされている. しかし手術室数が限られたまま, 増員することの不可能な麻酔科や外科の医師, 手術室看護師の自己犠牲的な粉骨砕身の努力で, ようやく急増する手術をこなしているのが実情である. 医療安全の面からは, 手術室での安全性の確保はきわめて重要である. ミスが少なく安全に効率よく手術室を運営するには, 多職種の医療者が協力してチーム医療を推進することが重要であるが, そのためにも手術室においては麻酔科医が強力なリーダーシップを発揮することが必要であると外科医として実感している. そこでNTT東日本関東病院における手術室の運営の実際, 電子カルテやパスの普及による麻酔科医と外科医および手術室看護師とのチーム医療の展開の現況を紹介し, 安全で効率的な手術室運営を行うにあたっての麻酔科医の役割の重要性について, 外科医の立場から述べた.
  • 米井 昭智
    2009 年 29 巻 4 号 p. 427-432
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      術前診察と術後回診を効率的に行うことは麻酔科医の過重労働を軽減するために必要と考えられる. われわれは麻酔説明用のアニメーションビデオを業者と共同開発した. 2008年10月より, 手術予定の患者・家族に麻酔科外来にて医師の診察が始まる直前にビデオを鑑賞してもらうことを開始した. これにより医師の説明時間が短縮し, 患者・家族の理解が促進されたと考えられる. 一方, 術後回診の効率化はいまだ課題として残っている.
  • 横田 美幸, 塩谷 賢一, 関 誠
    2009 年 29 巻 4 号 p. 433-442
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      最近の医療制度改革により, 手術室の効率的運営が求められている. このためにはユーザーである外科系各科の要望分析が必要である. まず, 入院期間の分析 (入院後手術までの期間に無駄がないか?) , 待機患者数の月別変動, 入院待ち日数を各科別に分析する. 次に各科の手術枠使用の評価を行い, 手術枠配分の適正化を図る. また, 手術部への業務負担の大きな, 緊急手術や夜間・休日手術の時間, 内容の分析を行う. これらの情報をもとに, 麻酔科医は麻酔業務のみならず手術部の業務であるスケジューリングの適正化, スタッフの適正配置, 人員計画, そして薬剤師や臨床工学技士, 助手への業務の分業化, 手術件数の将来予測, ひいては手術室増設計画など, 広汎な仕事に積極的にかかわっていく必要がある. このように広い視野に立つことにより, 効率的な手術室運営が可能である.
  • 坂本 篤裕
    2009 年 29 巻 4 号 p. 443-446
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      手術室運営の効率化と医療安全管理対策として, 手術室に専任の臨床工学技士と薬剤師を配置した. 手術数の増加とともに, 配置後のアンケート調査から看護師および麻酔科医の過重労働軽減と患者管理の安全性が向上したことが確認され, 手術室における適正な業務分担の重要性が示唆された.
  • 内田 陽子, 鈴木 利保
    2009 年 29 巻 4 号 p. 447-454
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      東海大学医学部付属病院では, コーディネートナースといわれる手術室看護師が, 予定手術患者に対しさまざまな調整を行うことで, 効率的な手術室運営を行っている. 主な内容として, (1)外来での術前情報収集およびリスクアセスメント, (2)短期入院手術センターからの手術室入室・退室の場合には, リカバリー室を利用した周術期管理, (3)患者を取り巻くさまざまな医療者との橋渡し的な役割, があげられる. また当院の短期入院手術センターでは術前のリスクチェックを主治医だけが行うのではなく, コーディネートナースが麻酔科医と連携をとり, 予定した日に予定した日数で退院できるよう工夫している. このコーディネートナースを導入するには, コーディネートナース自体の能力はもちろん, 院内における周知や協力が不可欠である.
講座
  • 小板橋 俊哉
    2009 年 29 巻 4 号 p. 455-466
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      レミフェンタニル麻酔がストレス反応を抑制する可能性が報告されている. 一方で, レミフェンタニルに関連するいくつかの問題点が指摘されている. 導入時の徐脈は0.5μg/kg/minで投与すると20%に生じた. アトロピンの併用やレミフェンタニルの減量が有効である. シバリングには非体温調節性因子も関与している. 急性耐性や痛覚過敏については現在も研究が続いており賛否両論である. 循環抑制以外の問題点は, レミフェンタニルの急激な作用消失に起因する可能性があることから, transitional opioidが重要となる. 具体的には, モルヒネ0.15mg/kg, あるいはフェンタニル200~300μgを投与する.
原著論文
  • 三村 真一郎, 高田 知季, 金丸 哲也, 赤池 達正, 加藤 茂, 藤本 久実子
    2009 年 29 巻 4 号 p. 467-473
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      塩酸ランジオロール (以下, ランジオロール) 持続投与が麻酔覚醒時の循環動態に及ぼす効果を検討した. 麻酔薬投与中止後にランジオロールまたは生理食塩水の持続投与を開始し, 心拍数, 血圧, RPP (Rate Pressure Product) の変化を気管チューブ抜去前後で測定した. ランジオロールの投与速度は0.01mg/kg/minと0.02mg/kg/minとした. ランジオロール投与群の心拍数とRPPは非投与群に比べて減少し, 効果は用量依存性であることが示唆された. 平均動脈圧については, 投与群と非投与群とで変化を認めなかった. ランジオロール持続投与は, 麻酔覚醒時の血圧を変化させずに頻脈発生を抑制することから, 心筋酸素需給バランスの悪化を予防することが示唆された.
症例報告
  • 高田 康輔, 小田 真也, 岡田 真行, 岩渕 雅洋, 高岡 誠司, 川前 金幸
    2009 年 29 巻 4 号 p. 474-479
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      成人発症 II 型シトルリン血症に対する生体部分肝移植術の麻酔を経験した. SLC25A13遺伝子の異常により診断が確定した. 主訴は突然の意識障害で, 術前は分枝鎖アミノ酸製剤の投与で改善した. 麻酔はミダゾラム, フェンタニル, ベクロニウム, イソフルランを使用した. 術中の高アンモニア血症の予防として, 分枝鎖アミノ酸製剤を投与した. また, 術中は高アンモニア血症の早期発見のため, 2~3時間ごとに血清アンモニア値を測定した. 無肝期にアンモニア値が一過性に上昇したが, 再灌流後低下し特に治療は要さなかった. 本症例は肝硬変の合併がなく, 術中出血量は少量であった.
  • 大森 景子, 奥山 克巳, 星合 美奈子, 佐藤 宏明, 松川 隆
    2009 年 29 巻 4 号 p. 480-483
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      内頸静脈穿刺の際にシースが誤ってくも膜下腔へ迷入した症例を経験したので報告する. 先天性拡張型心筋症の小児に, ラリンジアルマスク (LMA) を用い全身麻酔下で術後の心臓カテーテル検査を行った. 本症例ではLMAにより総頸動脈が通常より外側に偏位したこと, 拍動の触知のみで穿刺を行ったことにより, 椎骨静脈を穿刺した後シースがくも膜下腔へ迷入したと推察された. 小児では組織が脆弱であり各臓器の位置関係が近接しているため, カテーテル等の安全な挿入のためにはエコー・ドップラー等の併用が推奨される.
  • 花田 真紀, 河野 博充, 小島 圭子, 北原 雅樹, 大村 昭人
    2009 年 29 巻 4 号 p. 484-488
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      塩酸トラマドールを長期間有効に使用できた難治性慢性疼痛患者4症例を報告する. 通常の鎮痛療法が, 無効であったか, 副作用や合併症のため使用できなかったため, 塩酸トラマドールを経口投与した. 塩酸トラマドールの経口投与により, 6段階のverbal pain relief score (VPRS) が0~1となり, activities of daily living (ADL) の著明な改善がみられた. 年齢は33~93歳で, 投与継続期間は24~52ヵ月, 最大投与量は50~400mg/日であった. 副作用は, 便秘, 眠気, 投与開始初期の嘔気などであったが, コントロール可能であった.
短報
  • 川崎 政紀, 霜 知浩, 畑島 淳
    2009 年 29 巻 4 号 p. 489-492
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      症例は55歳, 女性. 身長160cm, 体重74kg. 右乳癌に対して右乳房温存術が予定された. 既往歴に高血圧があり, 手術1週間前から循環器内科でβ遮断薬が処方されていた. 手術室入室直前に患者本人から数年前に一度の喘息既往の申告があったが, 担当医が喘息患者と認識せずに麻酔導入したところ, 喘息発作を生じた. 発作の誘引は, 喘息患者として認識しなかったことにより, β遮断薬, チオペンタール投与の回避ができなかったことと考える. 最も基本的である術前診察・問診の重要性を再認識した.
紹介
ロピバカインの上手な使い方(第1回)
  • 岩崎 寛, 佐藤 重仁
    2009 年 29 巻 4 号 p. 508
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
  • 山本 健
    2009 年 29 巻 4 号 p. 509-518
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      ロピバカイン (商品名: アナペイン®) は光学異性体の研究によってもたらされた長時間作用性の局所麻酔薬 (局麻薬) であり, 特に高濃度溶液を使用すると, ブピバカインと同等の麻酔効果と作用時間をもたらす. 分離麻酔効果についてはブピバカインと差を認めないとの臨床報告が多く, ロピバカインの利点とはいえない. ブピバカインと比較してロピバカインが明らかに優れているのは, 心毒性が低いことである. したがって投与量が多くなるときや持続注入が必要なとき (区域ブロックや持続硬膜外鎮痛) に適する. ロピバカインはこれまでに開発された長時間作用性局麻薬のなかで, 最も安全域が広い薬物と考えられる.
  • 小田 裕
    2009 年 29 巻 4 号 p. 519-527
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      長時間作用型局所麻酔薬ロピバカイン (商品名: アナペイン®) は主として肝臓で代謝を受けるため, 肝機能が低下している場合は血中濃度の上昇や作用時間の延長が生ずる可能性がある. ロピバカインの半減期はラセミ体ブピバカイン (以下, ブピバカイン) よりも短く, 硬膜外投与後の半減期は約5.5時間である. 実験動物においてくも膜下腔に直接投与した場合の神経毒性はリドカインやブピバカインに比べて低く, 硬膜外麻酔や伝達麻酔に安全に用いることができると考えられる. 血中濃度の上昇によって生ずる中枢神経症状はリドカインやロピバカインの場合と類似しているが, 中枢神経毒性, 心毒性はいずれもブピバカインよりも低く, レボブピバカインとほぼ同程度である.
  • 松永 万鶴子, 若崎 るみ枝, 比嘉 和夫, 櫻井 (池田) 静佳, 柴田 志保
    2009 年 29 巻 4 号 p. 528-535
    発行日: 2009/07/15
    公開日: 2009/08/10
    ジャーナル フリー
      胸部手術では胸腔鏡下の手術が増加し, 麻酔法, 術後鎮痛法は変化してきた. しかし, 術後の体動時や咳嗽時の鎮痛は局所麻酔薬とオピオイドの硬膜外鎮痛に勝るものはない. ロピバカインは, 持続硬膜外投与中に感覚神経ブロック範囲が長時間保持される. 開胸肺切除術では術中は0.375%ロピバカインまたはフェンタニル含有0.2%ロピバカインを持続注入する. 傍脊椎ブロックは硬膜外鎮痛と同様の鎮痛が得られる. 胸腔鏡下肺部分切除では胸腔鏡挿入部に0.75%ロピバカインで局所浸潤麻酔を行う. 食道手術では硬膜外カテーテルを中部胸椎に留置し, 術中・術後鎮痛は硬膜外patient-controlled analgesia (PCA) と静脈内PCAで対処している.
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