日本臨床麻酔学会誌
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27 巻, 4 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
講座
  • 川村 隆枝
    2007 年 27 巻 4 号 p. 293-303
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/12
    ジャーナル フリー
      ラリンジアルマスク (LMA) は, 気管挿管とフェイスマスクの中間に位置する気道確保の一手段である. 利点としては, 侵襲が少なく, 操作が簡単であり, 咽頭喉頭を損傷することが少ないこと, 欠点としては, 誤嚥の危険性, シール圧の限界があげられる. 確実性・安全性に関しては, 気管挿管には及ばないが, フェイスマスクに比べればはるかに優れており, 特に挿管困難症例に有益である. しかし, 残念なことにLMAの利点を経験することなく遠ざけている麻酔科医も多い. 本稿では特に未使用者のためにLMA誕生の歴史と背景, 使用方法の実際的なコツとポイントに重点をおいて記述した. 開発者Dr. Brainの意図を理解し, 一人でも多くの麻酔科医がその恩恵にあずかれることを期待する.
  • 飯島 毅彦
    2007 年 27 巻 4 号 p. 304-309
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/12
    ジャーナル フリー
      セボフルランは血液/ガス分配係数が0.63と低く, 導入覚醒が早い麻酔薬である. 麻酔の維持には広く使用されているが, 麻酔の導入には小児以外ではそれほど使用されていない. ハロタンの時代では緩徐導入といわれるように吸入麻酔による導入は時間がかかり, そのため, 血圧の低下や喉頭痙攣に悩まされてきた. 「ハロタンの呪い」 ともいえる悪い印象が麻酔科医に残っていると思われる. セボフルランのone breath inductionはきわめて速やかに就眠し, 喉頭痙攣, 血圧の低下も少ない方法であり, その速さは静脈麻酔薬に匹敵する. セボフルラン吸入による導入法のさらなる評価が望まれる.
  • 工藤 一大
    2007 年 27 巻 4 号 p. 310-316
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/12
    ジャーナル フリー
      最近, 短期間の周術期管理・集中治療管理が術後1~2年の予後を左右するという驚くべき研究報告が相次いでいる. 麻酔科領域における新時代を開く報告であると思われる. この因子として, 周術期のβ遮断薬, α2アゴニストやスタチンの投与, 周術期の血糖や体温の厳重な管理, 揮発性麻酔薬によるプレコンディショニング, 麻酔深度など, 多くの因子が具体的に生命長期予後に影響する, あるいはその可能性が次々と報告され始めた. また, 集中治療室における鎮静方法が精神的予後を変える, 麻酔方法によりがんの転移の頻度が変わるなどの可能性もあることが報告されている. これらについて, 最近の文献を紹介する.
総説
原著論文
  • 栗山 陽子, 内村 彩子, 佐伯 智恵子, 廣島 奈津子, 工藤 一大, 大村 昭人
    2007 年 27 巻 4 号 p. 326-331
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/12
    ジャーナル フリー
      当院における麻酔術前説明に対する患者の満足度, 不安感の調査を行った. 調査対象104例のうち, 集計できた99例で検討した. 麻酔術前説明で満足と回答した患者は98例, 不満と回答したのは1例であった. 詳しい麻酔術前説明を希望した患者は81例, 簡単でいいと回答したのが15例, 怖いから術前説明は聞きたくないと回答した患者は3例であった. 男性より女性, 初回手術患者, 全身麻酔を受ける患者に不安を感じる人が多かった. また, 内視鏡手術に対する麻酔および手術に対し不安とする患者が他の手術に比べ有意に多かった. このことについては時期的に内視鏡手術の医療過誤報道の影響によると考えられた. 患者個々の希望に沿った, より理解してもらいやすい術前説明を工夫する必要性を感じた.
  • 佐藤 剛, 岡本 学, 本間 隆幸, 馬場 洋
    2007 年 27 巻 4 号 p. 332-338
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/12
    ジャーナル フリー
      術後硬膜外鎮痛にかかわる医師・看護師を対象に, 硬膜外麻酔の合併症や周術期の抗凝固療法および抗血小板療法中の対応をどの程度認識しているかアンケート調査を行った. その結果, 医師・看護師とも周術期の硬膜外麻酔の合併症や硬膜外麻酔 (カテーテル留置) 時における抗凝固薬と抗血小板薬の休薬期間に関する認識が全体的に低く, 回答した医師の約67%が今まで抗凝固療法中に抗凝固薬の投与を中止せずに硬膜外カテーテルを抜去していた. この結果をふまえ, 麻酔科から病棟へ積極的に硬膜外麻酔全般の教育と指導を行うことで, 麻酔科を中心とした病院全体の問題として, より安全な術後硬膜外鎮痛を目指していく必要があると考えられた.
症例報告
第13回日本静脈麻酔・Infusion Technology研究会
すぐ役に立つレミフェンタニル(アルチバ)の使用法(第1回)
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