中心静脈穿刺時の合併症を機にEhlers-Danlos症候群(EDS)と診断された1症例を経験した.患者は20歳の女性で,易出血性の既往からvon Willebrand病と診断されていた.特発性結腸穿孔の診断で造設された人工肛門を閉鎖後,結腸腹壁痩となったため結腸部分切除術が予定された.麻酔導入後,鎖骨下静脈穿刺を行ったが,動脈穿刺となり血胸となった.出血性ショックをきたしたため手術を中止し,lCUに収容した.その後の凝固系検査,身体特徴からEDS IV型と診断された,ICU入室7日目,結腸部分切除術が施行されたが,術後,低換気状態が続き,抜管までに2週間を要した,EDS患者では結合織の脆弱性があり,出血性合併症を避けるために術前診断が重要である.呼吸器合併症を引き起こすと換気障害があるため,術後呼吸管理などに難渋することがある.
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