心筋収縮に対するムスカリン様アセチルコリン受容体 (mAChR) のアゴニストによる抑制効果は, 一過性でありshort-term desensitizationとして知られている.この機序を解明するために, モルモット心室筋をカルバコールにて10分間灌流し, [
3H] QNBを用いたradioligand assayによりmAChRの変化を検討した.
short-term desensitization時には, [
3H] QNBの心室筋膜分画への結合には変化がなく, mAChRの数には変化がないと考えられた.しかし, [
3H] QNB結合のカルバコールによる阻害曲線はshort-term desensitizationにより右方に偏位し, アゴニストに対する親和性の低下が認められた.阻害曲線の解析から, この親和性の低下はアゴニスト結合状態のサブクラスの変換によりもたらされていると考えられた.
したがって, アゴニスト刺激によるmAChRのshort-term desensitization時には, 受容体数の減少ではなく, アゴニストに対する親和性の低下が起きていると考えられた.
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