結核
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80 巻, 10 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 三上 礼子, 豊田 恵美子, 石塚 直樹, 森野 英里子, 仲 剛, 吉澤 篤人, 放生 雅章, 川名 明彦, 小林 信之, 慶長 直人, ...
    2005 年 80 巻 10 号 p. 631-636
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕結核病棟の退院基準を培養陰性化から塗抹陰性化へ変更したことにより,入院日数に及ぼす影響とその妥当性を検討した。〔対象と方法〕2003年1月~12月に新基準により入院治療し退院した245例(1群)と2000年1月~2002年12月に旧基準により退院した469症例(II群)を対象とした。I群とII群の入院日数を比較し,I群における基準の適用率を算定した。〔結果〕入院日数の中央値は1群70日およびII群83日であった。その短縮効果は20歳代,30歳代,および70歳代,軽~ 中等症に認められたが,中高年層,重症例,高度排菌例,耐性結核では差がなかった。塗抹陰性化による退院基準は44%に適用されていた。〔考察〕約半数の症例は新基準でより早期に退院が可能であったが,社会的要因や合併症を有する患者では必ずしも退院基準が適用できなかった。退院後の治療継続や安全性,周囲への感染防御を考慮すると,入院の短縮に伴ってDOTSの拡大が必要と思われた。〔結論〕退院基準の主体を塗抹陰性化に変更すると44%の症例でより早期に退院が可能となり,全体として約2週間短縮された。
  • 佐々木 結花, 山岸 文雄, 八木 毅典
    2005 年 80 巻 10 号 p. 637-642
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    〔目的〕本邦の多剤耐性肺結核患者の接触者検診と化学予防の現状を検討すること。〔対象と方法〕1998年から2002年の5年間に,本邦の政令指定都市において施行された多剤耐性肺結核患者接触者検診についてアンケートを行った。〔結果〕アンケートの回答は13政令指定都市中9都市(69.2%)であった。過去5年聞に経験された多剤酎性肺結核症例259例中.1998年から2002年までに新規に多剤耐性肺結核が発病した症例は189例であった。189例中潜在性結核ないしは発病者を生じた多剤耐性肺結核患者は33例(17.5%)で,659例の接触者(20.0例/1多剤耐性肺結核患者)が存在した。化学予防を考慮された接触者は58例(8.8%)で,58例中実際に化学予防が行われた症例は41例であった。化学予防を行った症例からの発病はなかった。発病例は13例で,接触者1750例中の0.7%であった。13例中,発病時に問題があったとされた症例は9例で,その問題は,長期の発見の遅れ,入院拒否例からの感染発病,再排菌時発病,感染判明後の化学予防未施行であった。〔結論〕多剤耐性結核菌は,感性菌と同様に接触者に感染発病を生じることが推測され,化学予防など検診事後措置について検討する必要があると考えられた。
  • 谷口 浩和, 泉 三郎
    2005 年 80 巻 10 号 p. 643-646
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は66歳女性で,悪露が大量に出たため,産婦人科を受診。子宮MRIや腹部超音波検査にて子宮留水腫が認められた。子宮内膜組織生検より類上皮肉芽腫が証明され,膣分泌物と子宮内膜組織の抗酸菌培養は陽性,ナイアシン陽性であり,子宮内膜結核と診断した。INH,RFP,EBで9カ月間治療し,子宮内貯留物の消失を認めた。
  • 山岸 文雄
    2005 年 80 巻 10 号 p. 647-653
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
    わが国の公費負担による化学予防の対象者は,結核患者と最近接触し,感染を受けたと判断された29歳以下の者である。一方,ATSICDCでは,化学予防を潜在結核感染症の治療と呼び,結核発病のリスクの高い者では年齢によらず治療を行うこととしている。潜在結核感染症の治療は,通常イソニアジドを投与し,その期間は6カ月でも効果はあるが,9カ月間がより望ましいとした。最近,欧米で,抗腫瘍壊死因子αであるインフリキシマブ投与例から結核が多発している。わが国では,関節リウマチにインフリキシマブ投与後,6カ月間の評価期間の終了した2,000例中11例に結核を発病した(10万対550)。インフリキシマブ投与前のツベルクリン反応は,未実施が2例,陰性は4例であった。また陽性例でも発赤径の小さなものが多かった。これに対し日本結核病学会と日本リウマチ学会から合同で勧告が出された。免疫抑制作用のある薬剤を使用している者では,ツベルクリン反応陽性の者,あるいは胸部X線上結核感染の証拠となる所見のある者,その他結核感染を受けた可能性が大きい者(例えば年齢が60歳以上の者など)で,医師が必要と判断した者については,結核の化学療法を受けたことがない者では,積極的に化学予防を行うことが望ましいとした。年齢に関係なく積極的な化学予防が実施されることにより,結核発病のリスクの高い者からの結核が減少することが望まれる。
  • 2005 年 80 巻 10 号 p. 655-674
    発行日: 2005年
    公開日: 2011/05/24
    ジャーナル フリー
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