日本応用動物昆虫学会誌
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21 巻, 2 号
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  • 宮原 義雄, 島津 光明, 和田 節
    1977 年 21 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 1977/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    処女雌トラップを用いてハスモンヨトウ雄成虫の消長を調べるとともに,誘殺消長とほ場における発生との関連を明らかにするため,サトイモにおける産卵を1972年から1975年までの4年間,筑後市で調べた。その結果,処女雌トラップによる誘殺は早い年では3月末からみられ,その後誘殺はつづき,その終期は12月上旬でった。この間,5世代の発生が推定された。これらの世代の誘殺数は,季節の進行にしたがって増加した。処女雌トラップの誘殺数を20Wのブラックライトのそれと比べると,処女雌トラップにはブラックライト(雄)の81倍の誘殺がみられた。両トラップの誘殺消長には類似性はみられず,処女雌トラップでは世代が識別できたが,ブラックライトでは識別できなかった。処女雌トラップはブラックライトに比べた場合,野外の低密度時により効率的に誘殺した。サトイモへの産卵は7月以降に第3回成虫による産卵から発見され,8月下旬から9月上旬の第4回成虫による産卵がもっとも多かった。第4回成虫の処女雌トラップによる誘殺とサトイモにおける産卵との間には,産卵50%日が誘殺50%日より4日から10日先行する傾向がみられた。第5回成虫による産卵は例年非常に少なかったが,これは気温の低下が原因の一つと考えられる。
  • 桜谷 保之
    1977 年 21 巻 2 号 p. 66-73
    発行日: 1977/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    無防除のトウモロコシ畑で,その重要害虫であるアブラムシ類の個体数変動と空間分布構造を3年間調査した。
    1) 毎年ムギクビレアブラムシ,トウモロコシアブラムシ,ムギヒゲナガアブラムシの3種が見られたが,それらの個体群密度は常にきわめて低く,小さなコロニーが部分的に形成されたにすぎない。また,毎年6月下旬には急激な減少を示し,7月上旬にはほとんど0となった。秋季の個体群も高密度に達しないまま,青刈りが行なわれた。ほ場全体としてみても,アブラムシによる実害は全く認められなかった。
    2) これら3種のアブラムシの分布様式は,有翅虫では区(20株),株,葉といういずれの空間単位でも,ランダムないし一様分布であった。しかし,これら有翅虫に由来する無翅虫(幼虫も含む)は,いずれの空間単位でも著しい集中分布を示した。
    3) 有翅虫,無翅虫とも特定の部位の葉(やや下位)に集中して寄生する傾向を示した。しかし,3種間の葉位によるすみ分けは認められなかった。
    4) このような分布様式はアブラムシの低密度個体群の特色で,その意義について考察した。
  • 伊戸 泰博
    1977 年 21 巻 2 号 p. 74-78
    発行日: 1977/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    各種厩肥中に生息する3種の中気門類ダニに対し,給餌(線虫)量と投与回数を制限した場合のダニ増殖率およびステージ別構成比率の変化につき調べた。
    M. muscaedomesticae雌成虫は培地に線虫を加えると繁殖し,給餌後短期間で密度を高めたが,日数の経過と共に雌成虫の比率が高まった。
    P. gregariusでは培地に線虫を加えると,第2若虫は成虫化し,繁殖が認められたが,高密度に達した後,第2若虫主体の構成となった。
    U. marginataは線虫なしでも繁殖したが,線虫給餌回数が多いほど増殖率は高まった。本種の個体群構成は,給餌回数が多い場合第2若虫および第1若虫が,少ない場合第1若虫が,それぞれ比率を高めた。また,これら発育の遅延した若虫は,線虫給餌後高率に成虫化した。
  • 松井 正春, 前田 進, 渡部 仁
    1977 年 21 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 1977/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    In order to investigate some properties of a small flacherie virus (SFV) of the silkworm, Bombyx mori L., the virus was isolated and purified from a mixed virus suspension of SFV and a flacherie virus (FV). A light radioautographic studies of larval midgut infected with SFV revealed that DNA synthesis occurred predominantly in the infected nucleus of columnar cell during the SFV multiplication, whereas no essential difference in the pattern of RNA synthesis was demonstrated between healthy and diseased midguts. By means of polyacrylamide-gel electrophoresis a comparison of polypeptides of structural viral proteins was made. The result indicated that SFV protein was composed of two polypeptides with molecular weight of about 49, 200 and 73, 500, while FV protein consisted of one polypeptide with molecular weight of about 35, 000. Immunoelectrophoretic studies of SFV, FV and a small flacherie virus strain (Ina strain) revealed that SFV was serologically different from FV, but was all the same to Ina strain.
  • I. 雄性不妊化をもたらす感温期間
    勝野 貞哉
    1977 年 21 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 1977/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    家蚕を用い,蛹期に雄蛹を24時間間隔で一定数選出し,38°Cの高温で24, 48および72時間処理し,処理期以外の期間は25°Cに保護することにより,蛹期に雄性不妊化をもたらす感温期間が存在することを明らかにした。
    1) 24時間処理では,死蛹および交尾不能蛾は処理時期によって異なるが,全くみられなかったか,みられた場合でも少なく,また成虫の形態は,いづれの時期に処理した場合でも正常であった。しかし,化蛹後144時間目に処理した雄蛾を正常雌蛾に交尾させると,不受精卵歩合は94.2%を示した。
    2) 48時間処理では,化蛹後48時間目に処理した場合は死蛹はみられず,交尾不能蛾は少なく,また成虫の形態は正常であった。しかし,この雄蛾を正常雌蛾に交尾させると,不受精卵歩合は93.9%を示した。化蛹後144時間目に処理した場合は死蛹歩合は39.6%,および交尾不能蛾歩合は75.9%で,また成虫は腹部が膨大し,翅は著しく萎縮していた。なお,この雄蛾を正常雌蛾に交尾させると,不受精卵歩合は92.0%を示した。
    3) 72時間処理では,化蛹後168時間目に処理した場合は死蛹歩合は53.5%を示した。また,化蛹後48時間目以降に処理した雄蛾は,上記と同様な異常形態となり,すべて交尾不能であった。なお,化蛹直後および化蛹後24時間目に処理した雄蛾を正常雌蛾に交尾させると,不受精卵歩合はそれぞれ57.7%, 85.1%を示した。
    4) 上記の24および48時間処理の結果から,化蛹後48∼96時間目および144∼192時間目は,高温処理により雄性不妊化をもたらす感温期間に当り,さらに,化蛹後144∼192時間目は48∼96時間目より,雄蛹に対する高温感受性の高い期間に当っていることが明らかとなった。なお,72時間処理の結果からは,高温処理により雄性不妊化をもたらす感温期間を定めることはできなかった。
  • I. 変態のための脳ホルモン分泌時期
    八木 繁実, 本多 隆
    1977 年 21 巻 2 号 p. 90-93
    発行日: 1977/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    蛹休眠するヨトウガにおいて,とくに蛹化および成虫化発育におよぼす脳ホルモン(前胸腺刺激ホルモン)の分泌時期について検討した。
    1) 蛹化に必要な脳ホルモンの分泌は,非休眠および休眠に条件づけた幼虫とも,蛹化2日前にはその臨界に達することがわかった。非休眠個体では,終令4日目に低率ではあるが頭胸間結さつしても蛹化がみられた。
    2) 成虫化発育のための脳ホルモン分泌時期は,非休眠蛹の場合かなりのばらつきが認められ,除脳後も成虫化発育を起す個体は蛹化後3日目に初めて出現し,その後11日目まで次第に増加することがわかった。一方,低温接触により休眠蛹の脳ホルモン分泌は斉一化することが確かめられた。
    3) 蛹化後の休眠を支配するのは脳そのものであり,しかもすでに終令幼虫期にはその休眠性決定がなされていることがわかった。
  • 桑原 雅彦
    1977 年 21 巻 2 号 p. 94-102
    発行日: 1977/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    東京都北区西ヶ原で採集したカンザワハダニの1個体群を2分し,それぞれESPで淘汰ならびに逆淘汰を行ない,ESP淘汰系統(リン剤抵抗性系統)と逆淘汰系統(リン剤感受性系統)を育成し,これら両系統に対する有機リン系殺虫剤とカーバメート系殺虫剤および過去に共力剤として報告されている化合物の混合施用による共力効果を検討した。
    1) ESP淘汰系統は5回,逆淘汰系統は7回の処理でそれぞれESPに対する感受性が均一な個体群である抵抗性系統ならびに感受性系統になったものと思われる。
    2) ESPと他の有機リン剤は交差抵抗性関係が認められたが,カーバメート剤とは判然とした交差抵抗性関係が認められない。
    3) 有機リン剤とカーバメート剤の混合施用で共力効果が認められたのは,マラチオンまたはPAPとカーバメート剤の組合わせであった。
    4) マラチオンまたはPAPとカーバメート剤の混合施用では,有機リン剤とAPCの組合わせを除き,単剤として殺ダニ活性の高いカーバメート剤と有機リン剤の組合わせで高い共力効果が認められた。
    5) 有機リン剤とカーバメート剤の混合施用による共力効果は抵抗性系統のみならず,その程度は低いが,感受性系統においても認められた。
    6) マラチオンとSCPEのK-1の組合わせで高い共力効果を認めたが,PAPとK-1のそれではほとんど共力効果が認められない。
    7) 有機リン剤とSynepirin 500の組合わせで低い共力効果を認めたが,その他の共力剤とはほとんど共力効果が認められない。また,piperonyl butoxideとは拮抗作用が認められた。
    8) マラチオンまたはPAPとPHCの混合比を変えて処理した場合,いづれも1:1の混合比で施用した時に最も高い共力効果を示した。
    以上,2, 3の有機リン剤とカーバメート剤および共力剤との共力効果について検討した結果,本実験で供試したESP淘汰系統(リン剤抵抗性系統)のマラチオンまたはPAPに対する抵抗性機構の一要因として解毒分解が重要であり,また,ハダニと昆虫の共力剤に対する基質特異性には若干の差異があることが示唆された。
  • 小山 光男
    1977 年 21 巻 2 号 p. 103-105
    発行日: 1977/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 玉木 佳男, 湯嶋 健, 小田 道宏, 喜田 和男, 北村 憲二, 矢吹 正, J.H. TUMLINSON
    1977 年 21 巻 2 号 p. 106-107
    発行日: 1977/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 行成 正昭
    1977 年 21 巻 2 号 p. 108-110
    発行日: 1977/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
    人工飼料飼育のチャノコカクモンハマキで飼育したハマキアリガタバチは,発育途中で死亡する個体が多く,クワ葉飼育の寄主で育った場合と比較し羽化率が著しく低下し,人工飼料飼育によるチャノコカクモンハマキで本種を増殖させることの難しさを明示した。
  • 菅野 紘男, 金 武祚, 石井 象二郎
    1977 年 21 巻 2 号 p. 110-112
    発行日: 1977/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 嘉昭
    1977 年 21 巻 2 号 p. 112-113
    発行日: 1977/06/25
    公開日: 2009/02/12
    ジャーナル フリー
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