間質性肺炎(IIP)を合併した肺癌手術症例11例について検討した.平均年齢は68.7歳,男性が9例であった.そのうち肺癌進行例が8例,IIP重症例が6例,拡大手術施行例が5例と侵襲が大きく,11例中6例が死亡した.死亡原因は呼吸不全で,全例がIIPの急性増悪をきたした.
麻酔は酸素毒性を考慮して行なったが,IIPの増悪に関与した因子は周術期における肺合併症に関連するものが多かった.
IIPを合併した肺癌症例の手術適応に関しては,結論はでないと思われるが,IIPおよび進行した肺癌の予後を考慮すると,手術に際しては縮小手術の方針を選択すべきで,かつ,患者の予備力を考慮し,余計なストレスを与えず,確実で厳重な周術期管理が必要と思われる.
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