手術・麻酔関連の請求漏れを調査するために,1998年4月から約2,900件の手術で保険機関に送る前の段階でのレセプト調査を行なった.結果的に369件の手術・麻酔関連の算定ミス・請求漏れが回避でき,その総額は2,120万円にのぼった.総額の内訳は,手術の算定に関するものが82%,ついで麻酔に関するものが13%を占め,残りの5%は保険材料と薬剤の請求漏れが占めた.この原因は,総額の約1/3が伝票を書き込んだ看護婦あるいは医事課職員の初歩的・単純なミス.他の1/3はミスではあるが,医学知識と保険請求の知識双方があれば防げたもの等,複合的な問題があるもの.残りの1/3は算定判断の非常に難しいものが占めた.
この問題は医師・看護婦側の保険請求の知識,そして医事請求に従事する側の医学知識の欠如によるものが大きい.しかしながら,保険システムにおける手術・麻酔の算定方法自体にも問題があるように思われた.
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