におい・かおり環境学会誌
Online ISSN : 1349-7847
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ISSN-L : 1348-2904
38 巻, 1 号
JANUARY
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
研究論文
  • 平井 光代, 梅垣 祐哉, 鄭 義淳, 正田 誠
    2007 年 38 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/22
    ジャーナル フリー
    pH 7.0の中性域でスチレンを除去できる菌株を一次スクリーニングしその中からpH 4.0でもスチレン分解能を失わないスチレン分解菌Pseudomonas sp. No. 14を取得した.この菌株の密閉フラスコバッチ実験におけるスチレン除去速度は,1.95×10-8μmol/h/cell(pH 5.5),1.81×10-8μmol/h/cell(pH 7.0)とpHが低くても中性付近と同様の除去を示した.この菌株をバイオフィルターに適用したところ,完全除去容量は高濃度スチレン分解菌として取得したPseudomonas sp SR-5株の192g/m3/hの結果と比べると,中性付近では低いスチレン除去能であったが,SR-5株のスチレン除去活性がほとんどなくなるpH 3.0近くでも150g/m3/hという高い除去能と1011cfu/g-dry packing materialの高い菌濃度を維持していた.バイオフィルターは負荷が高くなるとスチレン代謝中間体の蓄積でpHが低くなることからNo. 14株は安定したスチレン除去バイオフィルターの設計に適用できるものと思われる.
技術論文
研究論文
  • 戸田 英樹, 斉藤 幸子, 杉山 東子, 後藤 なおみ, 小早川 達
    2007 年 38 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/22
    ジャーナル フリー
    特定悪臭物質の酢酸エチル,硫化水素,アンモニアについて,臭気への認知要因を教示で実験操作して,臭気の快不快度への影響度合いを調べた.実験では,臭気の濃度と提示時間を制御して提示し,実験参加者がスライドバーによって連続的に評定した強度応答をリアルタイムで収録する臭気順応計測システムを用いた.154人の実験参加者は,提示される臭気について「健康によい」「健康に悪い」「どちらでもない」のうち,どれかひとつの教示を受けた直後,いずれかの悪臭の感覚的強度を10分間リアルタイムで評定し,終了後,快不快度を評価した.その結果,特定悪臭物質の快不快度においても,教示の影響が現れたが,影響の程度は悪臭物質やその濃度によって異なった.酢酸エチルでは教示の効果が有意で,「健康によい」というポジティブ教示群は,「健康に悪い」というネガティブ教示群よりも快に感じた.硫化水素では,低濃度の場合にのみ,教示の効果がみられ,ネガティブ教示群はポジティブ教示群よりも,また,コントロール教示群はポジティブ教示群よりも不快に評定された.アンモニアについては教示要因の影響はみられなかった.これらの結果は,公害臭気の対策で難題であった快不快の個人差の問題の解明に一歩踏み込むことができた.今後,臭気に対する順応過程の個人差やそれに関わる認知的要因を考慮することによってより実情に則した臭気対策が期待される.
研究論文
  • 福山 丈二, 増田 淳二
    2007 年 38 巻 1 号 p. 24-35
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/22
    ジャーナル フリー
    種々の活性炭の吸着特性を明らかにするために,下水処理場においてパイロット規模の脱臭実験を3回実施した.使用した活性炭は酸性ガス(硫化水素,メチルメルカプタンなど)用の添着炭,中性ガス(硫化メチル,二硫化メチルなど)用の添着炭,塩基性ガス(アンモニアなど)用の添着炭および無添着炭である.本実験では,三段の充填床からなるPVC製の吸着塔を使用した.各カラムの大きさは,高さが約1.5mで直径が280mmである.また,処理ガス能力は0.75m3/分である.ほぼ10ppmの硫化水素を含有する臭気を連続して空塔速度0.2m/秒で3つの吸着塔に送った.各実験の期間は約100日間で,臭気の測定は通常1週間に一回の頻度で行った.
    活性炭の充填組み合わせは9種類あり,それぞれの条件で臭気除去効率のデータが得られた.これらの結果を基に,各添着活性炭について破過するまで供給した総臭気物質の負荷量を計算した.実験で得られた吸着容量の値は,実験室で求められた値よりも低かった.フィールド実験で値が低いのは,吸着塔に供給されるガスに多種類の臭気物質が含まれていることが原因として考えられる.処理対象ガスにアンモニアが含まれていると,酸性ガス用の添着炭で硫化水素の吸着容量が高くなるが,中性ガス用の添着炭では何らかの反応で腐食が発生した.このパイロット実験の結果は吸着脱臭設備の設計および維持管理のための多くの有用な情報を提供したと思われる.
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