本研究では低濃度,高濃度で臭気質が変化する物質である硫化メチルを対象とし,臭気質変化の起こる濃度を求め,その濃度を基点としてどのように臭気質が変化するか,臭気質の特徴を明らかにすることを目的とした.濃度差により臭気質が変化する現象は嗅覚受容レベルで起こるため,個人の嗅覚閾値が寄与することが推測される.本研究では被検者10名に対し,三点比較式臭袋法を用いて個人の嗅覚閾値を測定し,臭気強度,快不快度の傾向を明らかにした.また,25名に対し,官能試験を行い,臭気質が変化する濃度および臭気質の特徴について明らかにした.得られた結果を以下に示す.
1)硫化メチルの個人の嗅覚閾値に100倍の差がみられた.
2)臭気強度は,におい物質濃度よりも,臭気指数との相関が高く,臭気質の検討には,感覚量である臭気濃度および臭気指数を用いる必要があることを示した.
3)嗅覚閾値から80倍の濃度で臭気質の変化を感じ,100倍の濃度で明確にうっとうしさ,鋭さが上昇することが明らかとなった.
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